ギャラクシー・クエスト GALAXY QUEST

作曲・指揮:デヴィッド・ニューマン
Composed and Conducted by DAVID NEWMAN

(米Super Tracks / DNCD 02)


ドリームワークスSKGが1999年に製作した「(TV)スター・トレック」のパロディ。といってもテレビシリーズそのものの単なるパロディではなく、シリーズの熱烈なファンによるコンヴェンションや、シリーズ終了後の主演俳優たち実生活までをパロディにしているところがミソ。監督はテレビ畑のディーン・パリソット。出演はティム・アレン、シガーニィ・ウィーヴァー、アラン・リックマン、トニー・シャルホーブ、サム・ロックウェル、ダリル・ミッチェル、エンリコ・コラントーニ、ロビン・サックス、パトリック・ブリーン他。脚本はデヴィッド・ハワードとロバート・ゴードン、撮影はジャージィ・ジーリンスキーが担当。SFXはスタン・ウィンストン・スタジオとILM。

「スター・トレック」に酷似した70年代のSFテレビシリーズ「Galaxy Quest」の主演スターたち(アレン、ウィーヴァー、リックマン等)は、シリーズの終了から18年たった今でも、SFコンヴェンションにゲストとして登場し、サインを売ったりして生計を立てている。ところがサーミアンズと呼ばれるエイリアンが、テレビの「Galaxy Quest」の電波を傍受してその内容を現実と勘違いしたことから、主演俳優たちは宇宙に連れ出されサーミアンズの宿敵セリスとの宇宙戦争に巻き込まれることになる。ティム・アレン扮するピーター・クインシー・タガート司令官はジェームズ・カーク船長の、アラン・リックマン扮するドクター・ラザラスはミスター・スポックのパロディと思われるが、シガーニィ・ウィーヴァーはブロンドの髪に身体にぴったりフィットしたコスチュームという独自のキャラクターで登場し、スティルを見ても一瞬彼女だとは判らない。

デヴィッド・ニューマン作曲の音楽は、SFアドヴェンチャーもののスピリットをうまく表現した効果的なスコア。冒頭の「Galaxy Quest: The Classic TV Theme」は、軽めのオーケストラによるチープな響きの演奏がいかにも70年代のテレビシリーズ的だが、同じ曲が最後の「The New Galaxy Quest」では迫力あるフル・オーケストラによる豪華な演奏に発展しており、演奏自体もパロティになっているところが楽しい。「Red Thingie, Green Thingie」「Rock Monster」「Omega 13 / Heroic Guy」「The Battle」等でのブラスを効かした迫力あるアクション・スコアや、「The Launch」「Goodbye, Serris」等での勇壮でエモーショナルなオーケストラの盛り上がりも聴き応えがある。全体にゴールドスミスやウィリアムスがスペースオペラに書いたスコアのタッチを、オーケストラ、コーラス、シンセサイザーの組合せによって巧みに再現している。あまり強い個性は感じられないが、きちんとツボを押さえたドラマティック・スコアで好感がもてる。尚、このCDは作曲家のプロモーション用にリリースされたもの。

デヴィッド・ニューマンは巨匠アルフレッド・ニューマンの息子であり、これまでに「アナスタシア」(1997)「(未公開)ザ・ファントム」(1996)「アイ・ラブ・トラブル」(1994)「ホッファ」(1992)「MR.デスティニー」(1990)「ヘザース/ベロニカの熱い日」(1989)等の音楽を手がけているが、同世代の作曲家中ではどちらかと言えば地味な存在である。ロバート・レッドフォードのサンダンス・インスティテュートがプロデュースしたクラシック・フィルムスコアの新録音「SUNDANCE FILM MUSIC SERIES」ディミトリ・ティオムキン作曲の「素晴らしき哉、人生!」等を収録)では、ロイヤル・フィルの指揮を担当しているが、冒頭の短い「サンダンス・ファンファーレ」も作曲しており、これがなかなか良かった。この人にはもっとメジャーになってもらいたい。
(2000年4月)

David Newman

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