年下のひと
LES ENFANTS DU SIECLE 作曲・指揮:ルイス・バカロフ 演奏:ローマ管弦楽団 (英DECCA / 466 817-2) |
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「女ともだち」(1983)「ア・マン・イン・ラブ」(1987)「セ・ラ・ヴィ」(1990)「愛のあとに」(1992)「彼女たちの関係」(1994)等のフランスの女流監督ディアーヌ・キュリスが1999年に製作・監督した恋愛ドラマ。出演はジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル、ステファノ・ディオニジ、ロビン・レヌーチ、キャリン・ヴィアール、イザベル・カレ、アルノー・ジョヴァニネッティ、デニス・ポダリデス、オリヴィエ・フォベール、マリー=フランス・ミグナル、パトリック・シェスネ、ヴィクトワール他。脚本はキュリスとマレー・ヘッド、フランソワ=オリヴィエ・ルソーが担当。撮影はヴィルコ・フィラチ。
19世紀ロマン主義と革命の空気に溢れるフランスを舞台に、奔放な恋の遍歴で名を馳せた女流作家ジョルジュ・サンドと、6歳年下の詩人ミュッセの愛の行方を描く、実話をベースにしたドラマ。サンドを演じたビノシュとミュッセを演じたマジメルは、この映画をきっかけに実生活でも結ばれ、既に1児をもうけているという(マジメルはビノシュより12歳年下)。
ディアーヌ・キュリスは、これまでにジョルジュ・ドルリュー(「ア・マン・イン・ラブ」)、フィリップ・サルド(「セ・ラ・ヴィ」)、イヴ・シモン(「愛のあとに」)、マイケル・ナイマン(「彼女たちの関係」)といった様々な映画音楽作曲家と仕事をしているが、ルイス・バカロフとは「女ともだち」でも組んでおり、この「年下のひと」は2度目のコラボレーションとなる。
ここでのバカロフの音楽は、彼の傑作である「(未公開)Interdit アンテルディ/禁じられた愛」(1984)にも通ずる官能的で美しい主題を、この映画の時代背景にふさわしいクラシック音楽的なタッチで纏め上げた上質なスコア。冒頭の「Les enfants du siecle」は、ファビオ・ザノンのギター・ソロによるメインテーマにオーケストラを絡めた、情感豊かでしっとりとした音楽。同じ主題が、続く「Les confessions」では、レオニッド・クズミンによるピアノ・ソロとオーケストラにより演奏され、更に「La premiere fois」では、ギター・ソロからピアノとオーケストラへと展開する。中盤の「Cafe Tortoni」「La flute desenchantee」といった室内楽風の曲や、ロマンティックなラブテーマ「L'amour en fuite」等も美しい。このアルバムには、バカロフのオリジナルスコアに加えて、シューマン、シューベルト、ベリーニ、ラナー、アイヒナーといったクラシック音楽の作曲家による既製の器楽曲も収録されているが、クラシカルなタッチのオリジナルスコアと違和感なく融合しており、全体に一貫した印象がある。
ルイス・エンリケス・バカロフ(1933〜)は、アルゼンチン出身だがイタリアを中心に作曲活動を続けており、「群盗荒野を裂く」(1966)「続・荒野の用心棒」(1966)「必殺の用心棒」(1966)といったマカロニ・ウエスタンや、ピエロ・パオロ・パゾリーニ監督の「奇跡の丘」(1964)、フェデリコ・フェリーニ監督の「女の都」(1980)、フランチェスコ・ロージ監督の「遥かなる帰郷」(1996)等の音楽を担当しているベテラン。「奇跡の丘」で1966年度アカデミー賞音楽賞にノミネートされ、1995年に「イル・ポスティーノ」で同賞を受賞している。
(2000年5月)
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