(未公開/TV) SALLY HEMINGS: AN AMERICAN SCANDAL

作曲・指揮:ジョエル・マクニーリー
Composed ans Conducted by JOEL McNEELY

(ベルギーPrometheus / PCD 149)


「(未公開/TV)FBI/復讐の挽歌」(1991)「(未公開/TV)ウイニングボール」(1992)「白銀に燃えて」(1993)等のチャールズ・ヘイドが2000年に監督したCBSテレビのミニシリーズ。出演はサム・ニール、カーメン・イジョゴー、ディアハン・キャロル、メア・ウィニンガム、マリオ・ヴァン・ピーブルズ、レネ・オーベルジョノワ、ゼリーコ・イヴァネック、クレア・スコット、ジェシカ・タウンゼンド、ラリー・ギリアード,Jr.、ケヴィン・コンウェイ、アメリア・ヘインル他。脚本はティナ・アンドリュース、撮影はドナルド・M・モーガンが担当。歴史上の人物である第3代米国大統領トーマス・ジェファーソン(ニール)と、彼の奴隷だったサリー・ヘミングス(イジョゴー)という女性が実は恋愛関係にあり、二入の間には子供もいた、という説に基づくドラマ。

音楽は監督のヘイドと「白銀に燃えて」でも組んだジョエル・マクニーリーが担当。2時間15分に及ぶオーケストラル・スコアを5週間で作曲し録音したという(このアルバムには約74分のスコアを収録)。彼が「白銀に燃えて」でも聞かせた壮大なアメリカーナと、一部フランスを舞台にしたシーンでのヨーロッパ調の音楽の組合わせによる正統派ドラマティック・スコア。冒頭の「I Was Born Sally Hemings」「Returning Home」「Sally and Tom」「Monticello - End Credits」等での雄大でエモーショナルな盛り上がりは、リー・ホールドリッジの傑作「(TV)エデンの東」を思い起こさせる。「Journey to Paris」「At Versailles」「The French Revolution」では、より繊細でクラシカルなタッチのスコアを書いている。スキャンダルをテーマにしているせいか、全体にやや重苦しいトーンだが、非常に堂々とした力強いスコアである。

ジョエル・マクニーリーは、TVシリーズ「インディ・ジョーンズ/若き日の大冒険」の音楽をベテランのローレンス・ローゼンタールと共同で作曲したことで注目され、その後も「白銀に燃えて」(1993)「(未公開)笑撃生放送!ラジオ殺人事件」(1994)「ターミナル・ベロシティ」(1994)「(未公開)ゴールド・ディガーズ/伝説の秘宝を追え!」(1995)「フリッパー」(1996)「Born to be ワイルド」(1997)「ヴァイラス」(1998)「ソルジャー」(1998)「アベンジャーズ」(1998)等のスコアを手がけている。非常にオーソドックスでしっかりとしたドラマティック・アンダースコアを書く作曲家で、「白銀に燃えて」等での極めてアメリカ的な明るく勇壮なスコアや、「ヴァイラス」「ソルジャー」等での緊迫感に満ちたサスペンス・アクション音楽は、同世代のハリウッド・コンポーザー中でも抜きんでた才能を感じさせるが、優等生すぎてあまり強烈な個性がないのが難点。未だにハリウッドのメジャー作品の仕事があまり廻ってこないのはそのせいかもしれない。
(2000年8月)

Joel McNeely

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2000  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.