2300年未来への旅   LOGAN'S RUN

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

(米Film Score Monthly / FSM Vol.5 No.2)

cover
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1976年製作のアメリカ映画。監督は「暁の出撃」(1954)「80日間世界一周」(1956)「生きていた男」(1958)「さらばベルリンの灯」(1966)「オルカ」(1977)等のマイケル・アンダーソン。出演はマイケル・ヨーク、ジェニー・アガター、ピーター・ユスティノフ、ファラ・フォーセット=メジャース、ロスコー・リー・ブラウン、リチャード・ジョーダン他。ウィリアム・F・ノーランとジョージ・クレイトン・ジョンソンの原作を基にデヴィッド・ジーラグ・グッドマンが脚本を執筆。撮影はアーネスト・ラズロ、SFXはベテランのL・B・アボットが担当。

1966年に発表された原作小説の映画化権を1968年に押さえたMGMは、当初「宇宙戦争」等で有名なベテランのジョージ・パルに映画化を委任したがこれは実現せず、1970年に「タワーリング・インフェルノ」等のプロデューサーとして知られるアーウィン・アレンを雇って、20世紀フォックスとの合作として再度映画化を試みた。が、これも途中で頓挫し、1976年になってソウル・デヴィッドのプロデュースによりようやく映画化にこぎつけた。増えすぎた人口を抑制するため、あらゆる者が30歳になると“再生”への儀式という名目で人為的に抹殺されてしまう管理社会と化した西暦2274年の未来社会。コロニーからの脱走者の取締官ローガン5(ヨーク)は、脱走者の一人ジェシカ6(アガター)と知り合ったことから、この管理社会の実態に疑問を抱くようになり、彼女と共にコロニーからの脱走を試みる・・。後に「未知への逃亡者/ローガンズ・ラン」としてTVシリーズ化された。1976年度アカデミー賞の撮影賞と美術監督・装置賞にノミネートされ、SFXのL・B・アボットが特別業績賞(視覚効果)を受賞。SFXのレベルはこの時点ではそれなりに優れたものだったのだろうが、わずか1年後の1977年にジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ」が公開され、特別業績賞を受賞したアボットのSFXは一気に陳腐化してしまった。

音楽はジェリー・ゴールドスミスで、ここでは、コロニー内のシーンにシンセサイザーとストリングス、キーボードを主体にした音楽、コロニーの外に出てからはフル・オーケストラによる音楽をつけることで明確な効果を出している。冒頭の「The Dome / The City / Nursery」はシンセのイントロから、いかにも彼らしい乾いたテンションを感じさせるオープニングへと続く。「Flameout」「Fatal Games」「The Assignment / Lost Years」等はシンセを主体とした音楽だが、今聴くとさすがに少し時代を感じさせる。「On the Circuit」ではラブテーマの主題が部分的に登場する。「A Little Muscle」「They're Watching / Doc Is Dead」「Ice Sculpture」等はゴールドスミスが初期に担当したTVの「ミステリー・ゾーン」の音楽に似たハードでサスペンスフルなタッチで、非常に面白い。「Intensive Care」「The Key / Box」等のサスペンス音楽も上手い。「The Sun」はコロニーの外に出るシーンの音楽で、フル・オーケストラによる高らかな響きが純粋に映画的な興奮をもたらす。「The Monument」は、8分以上にわたるカラフルな展開によるアンダースコアで、リリカルなラブテーマや、オーケストラによるスケールの大きい盛り上がりが印象的。「You're Renewed」はブラスとパーカッションを効かせたオーケストラによる激しいアクションスコアで、ゴールドスミスの真骨頂。ラストの「End of the City」でのラブテーマの盛り上がりも良い。最後に収録された「Love Theme from "Logan's Run"」は、ラブテーマをジミー・ハスケルが編曲したもので、この主題はゴールドスミスの作品中でも最も親しみやすいメロディの一つだろう。

このスコアの一部は、2000年10月27日のゴールドスミス来日コンサートでも演奏された(曲目は「The Monument」と「End of the City」)が、その日のプログラム中でも最もアンダースコア的で興味深い選曲だった。また、このスコアは公開当時にMGMレーベルから発売されたサントラLP(全12曲)と同じ内容のCDが、アメリカのBay Citiesレーベル(BCD 3024)とChapter IIIレーベルから2度リリースされているが、今回Film Score Monthlyからリリースされた限定盤CDは、未発表曲を追加しストーリーのシークエンスに並べ替えた全23曲/約74分のコンプリート・スコアとなっている。参考までに本CDの収録曲は以下の通り。

1. The Dome * / The City / Nursery (3:05)
2. Flameout (3:23) *
3. Fatal Games (2:26)
4. On the Circuit (3:49) *
5. The Assignment / Lost Years (5:59)
6. She'll Do It / Let Me Help (2:41)
7. Crazy Ideas (2:38)
8. A Little Muscle (2:22)
9. Terminated in Cathedral (1:28)
10. Intensive Care (3:00) *
11. Love Shop (3:43) *
12. They're Watching / Doc Is Dead (2:45)
13. The Key / Box (4:22)
14. Ice Sculpture (3:35) *
15. The Sun (2:15) *
16. The Monument (8:12) *
17. The Truth (2:03) *
18. You're Renewed (2:58) *
19. The Journey Back / The Beach (1:36)
20. Return to the City / Apprehensions (2:30)
21. The Interrogation (3:58)
22. End of the City (2:23) *
23. Love Theme from "Logan's Run" (2:27) *
Total Time 74:18

(* 印はサントラLPに収録されていた曲)

(2002年3月)

Jerry Goldsmith

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