メカニック THE MECHANIC

作曲・指揮:ジェリー・フィールディング

Composed and Conducted by JERRY FIELDING

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume55)

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1972年製作のアメリカ映画。監督は「脱走山脈」(1968)「追跡者」(1970)「チャトズ・ランド」(1972)「スコルピオ」(1973)「シンジケート」(1973)「狼よさらば」(1974)「リベンジャー」(1979)「ロサンゼルス」(1982)「スーパー・マグナム」(1985)等、アクション映画を得意とする職人マイケル・ウィナー。出演はチャールズ・ブロンソン、ジャン=マイケル・ヴィンセント、キーナン・ウィン、ジル・アイアランド、リンダ・リッジウェイ、フランク・デコヴァ、ジェームズ・デヴィッドソン、リンゼイ・クロスビー、スティーヴ・コーリィ、タク・クボタ、パトリック・オムーア、マーティン・ゴードン、セレステ・ヤーナル、アセナ・ロード他。原案・脚本はルイス・ジョン・カーリーノ、撮影はリチャード・H・クラインとロバート・ペインターが担当。100通りの殺し方を知り、正確無比に仕事を遂行することから“メカニック”と呼ばれるプロの殺し屋アーサー・ビショップ(ブロンソン)は、犯罪組織の依頼により、組織の幹部で古くからの友人であるハリー・マッケンナ(ウィン)を暗殺する。ハリーの息子スティーヴ(ヴィンセント)と知り合ったビショップは、彼を弟子にしてプロの殺し屋に育てていくが、やがてスティーヴが自分を殺そうと計画していることを悟る……。監督のマイケル・ウィナーチャールズ・ブロンソン「メカニック」以外にも「チャトズ・ランド」(1972)「シンジケート」(1973)「狼よさらば」(1974)「ロサンゼルス」(1982)「スーパー・マグナム」(1985)と計6本の映画で組んでいるが、実は彼はブロンソンの妻の女優ジル・アイアランド(この映画にも出演している)と若い頃に付き合っており、そのことを1990年にアイアランドが癌で亡くなるまでブロンソンには秘密にしていたという。

音楽は「追跡者」(1970)「妖精たちの森」(1971)「チャトズ・ランド」(1972)「スコルピオ」(1973)「(未公開)大いなる眠り」(1978)でもマイケル・ウィナー監督と組んでいるジェリー・フィールディング。明確な主題のない、極めてハイテンションなサスペンス・アクション音楽で、フィールディングの傑作スコアの1つ。「Main Title」は、不協和音によるイントロからアブストラクトなピアノによるサスペンスフルなパッセージへと展開するメインタイトル。このアブストラクトなピアノは「Death of McKenna」等でも登場する。続く「The Mark Comes Home; The Big Wait」「Special Delivery; How's My Pulse; Strange Feelings」「Strange Madness; Hello Steve」「Revelation; Italian Job」「The Set Up」等は、うねるようなストリングス、突き刺すようなブラス、ミリタリスティックなスネアドラムが特徴的な、フィールディング独特のサスペンス音楽が連続。「The Meeting」「The Letter」「Suicide」「The Mechanic」「The Pick Up; No Way In」等も、抑制されたタッチのサスペンス音楽。「Never Ride a Motorbike; The Man」は、ミリタリスティックなパーカッションによるイントロから、後半はダイナミックでビジーなアクション音楽へと展開。クライマックスの「The Big Chase; The Big Drop」も、フィールディングが得意とするハイテンションな追跡音楽。「Steve Takes Over」は、スティーヴがビショップを殺害するシーンの音楽。「End Titles – Version 2 (Bang, You're Dead)」は、ラストのどんでん返しの唐突なエンディング。ボーナストラックとして、フィールディングが監修した劇中のソース音楽(ビショップが聴いているベートーヴェンの弦楽四重奏、ラジオから流れてくるビッグバンド・ジャズ等)と、エンドタイトルの別バージョン2曲を収録。

この「メカニック」のサントラについては、米Citadelレーベルが1978年にフィールディング作曲の「追跡者」「メカニック」「チャトズ・ランド」「わらの犬」の組曲を収録したLP2枚組のプロモーション盤をリリースしており、その後、米Bay Citiesレーベルが1990年に「追跡者」「メカニック」「(未公開)大いなる眠り」「わらの犬」「チャトズ・ランド」「妖精たちの森」の組曲を収録したCD2枚組/1500セット限定プレスのプロモーション盤をリリースしている。今回米IntradaレーベルがリリースしたCDは、MGM保管のオリジナル・マスターからリミックス/リマスターされたコンプリート・スコアの初リリースで、1500枚の限定プレス。

因みに、過去のBay Cities盤の収録曲は以下の通り。

「JERRY FIELDING FILM MUSIC」(米Bay Cities / BCD-LE4001/2)

THE MECHANIC
・Anatomy of the Assassin (9:53)
・Two Soliloquies (4:31)
・The Contract in Naples (4:56)
・Approach, Assault, Pursuit, Conquest (7:20)
(他に「Lawman」「The Big Sleep」「Straw Dogs」「Chato's Land」「The Nightcomers」の組曲を収録)

(2008年1月)

Jerry Fielding

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