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アントニーとクレオパトラ Antony and Cleopatra

作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by John Scott

演奏:ベルリン放送交響楽団・合唱団
Performed by Berlin Radio Symphony Orchestra and Choir

(米JOS / JSCD114)

★TOWER.JPで購入 

ウィリアム・シェイクスピアの原作を基にチャールトン・ヘストンが監督・脚本・主演の3役を兼ねた史劇。共演はヒルデガード・ニール、エリック・ポーター、フェルナンド・レイ他。アントニーとクレオパトラのラブ・ストーリーを主題とした映画なので、ジョン・スコットのスコアも重厚なスペクタクル音楽ばかりでなく、メインタイトルで流れるLove Theme等が実に美しい。このCDは作曲家自身が自費でComplete Scoreを録音し直したもので、特に冒頭の9分以上に及び序曲(オリジナルのLPには未収録)が非常に力強く感動的。スコット自身の運営するJOSレーベルからは彼の傑作スコアが多数リリースされているが、エピック・スコアでは、この作品に加え、「King of the Wind」(JSCD109)と「William the Conqueror」(JSCD110)が特に素晴らしい。

John Scott

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南から来た用心棒 Arizona Colt

作曲・指揮:フランチェスコ・デ・マージ
Composed and Conducted by Francesco De Masi

(伊RCA / 74321-21424-2)

★TOWER.JPで購入(Beat盤) 

ミケレ・ルーポが監督し、ジュリアーノ・ジェンマ、フェルナンド・サンチョ他が出演したマカロニ・ウエスタン。フランチェスコ・デ・マージはイタリアのベテラン作曲家で、「七人の特命隊」「黄金の三悪人」「情無用のならず者」「地獄から来たプロガンマン」「荒野のお尋ね者」等のウエスタンや、「空爆大作戦」「コブラ・ミッション」等の戦争アクション、「鉄腕マチステ」「スパルタカスの復讐」「砂漠の反乱」等の史劇スペクタクル、「テキサスSWAT」「マッド・ドッグ」「サンダー怒りの復讐」等のアクション、「ザ・リッパー」等のホラー、「チコと鮫」等のドラマといったように、あらゆるジャンルの作品を器0用にこなすバイタリティ溢れる名手である。この「南から来た用心棒」は数あるデ・マージのウエスタンの中でもポピュラーな作品の1つで、ラオールが大らかに唄い上げる明るいタッチの主題歌が印象的。名曲。このCDは'94年にイタリアでリリースされたもので、Nora Orlandi作曲の「皆殺し無頼(Johnny Yuma)」とカップリングになっている。

Francesco De Masi

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ミラクルマスター/7つの大冒険 The Beastmaster

作曲・指揮:リー・ホールドリッジ
Composed and Conducted by Lee Holdridge

演奏:サンタ・チェチェリア・アカデミー管弦楽団、ローマ放送交響楽団
Performed by the Members of the Orchestra of the Academy of Santa Cecelia and of the Radio Symphony Orchestra of Rome

(LHCD-01)

★TOWER.JPで購入(Dragon's Domain盤)

★TOWER.JPで購入(Quartet盤) 

ドン・コスカレリが監督したヒロイック・ファンタジー映画で、出演はマーク・シンガー、タニア・ロバーツ、リップ・トーン他。動物と交信できる能力を持ったヒーローが、父の仇である邪悪な司教に立ち向かうというストーリー。音楽は、リー・ホールドリッジの作品中でも最もスケールが大きく、カラフルでエモーショナルな迫力のあるシンフォニック・スコア。特に最初と最後に流れる「Legend of Dar」というメインテーマが極めて勇壮かつパワフルで、センス・オブ・ワンダーを感じさせる傑作。これは作曲家自身のプロモーション用にリリースされたCDで、「ニューヨークの美女と野獣(Beauty and the Beast)」とカップリングになっている。

Lee Holdridge

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赤と黒の接吻 Le brasier

作曲・指揮:フレデリック・タルゴーン
Composed and Conducted by Frédéric Talgorn

演奏:ユーロピアン管弦楽団、パリ・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by The European Orchestra、Paris Philharmonic Orchestra

(独Alhambra / A8939)

1991年製作のフランス=ポーランド=ベルギー合作映画。監督はエリック・バルビエ、出演はジャン=マルク・バール、マルーシュカ・デートメルス、ウラジミール・コトリアロフ他。1930年代の北フランスの炭鉱を舞台に、ポーランド移民の青年と地元の娘との恋愛を描くドラマ。音楽は題材にふさわしく非常にドラマティック。冒頭に収録された「Farewell Scene」やエンドクレジットに流れる「ヴィオラとオーケストラのためのエレジー」は大編成オーケストラによる美しく悲哀感に満ちた感動的な音楽。ストライキのシーンの曲も力強い。作曲のフレデリック・タルゴーンはフランス出身、ハリウッド在住の作曲家で、この作品以外に「ロボ・ジョックス」(1986)「デルタフォース2」(1990)「フォートレス」(1992)「(未公開)派遣秘書(The Temp)」(1993)等のサントラCDがリリースされているが、どれも上質のオーケストラル・スコアで、地味ながら優れた作曲家である。もっとメジャーな作品を担当してもらいたい。

Frédéric Talgorn

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ブリット Bullitt

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by Lalo Schifrin

(SLC / SCC-1015)

cover
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★TOWER.JPで購入(FSM盤) 

ピーター・イエーツ監督、スティーヴ・マックィーン主演によるポリス・アクションの傑作。共演はロバート・ヴォーン、ジャクリーン・ビセット、ドン・ゴードン、ロバート・デュヴァル他。ロバート・L・パイク「Mute Witness」が原作だが、パイクはロバート・L・フィッシュの別名であり、フィッシュというとホームズ物の傑作パロディ「シュロック・ホームズ」シリーズや「殺人同盟」シリーズが実に楽しいコミカル・ミステリの名手で私の大好きな作家である。「ブリット」は一転してハードなタッチのクライム・ノヴェルだが、映画の方は何といってもマックィーンのクールなカリスマと、サンフランシスコの急勾配な坂を効果的に利用した激しいカーチェイス・シーンが見所。シフリンのスコアはこれまたクールなジャズで、「メインタイトル」「サン・マテオへの道」「シフティング・ギアー」(カーチェイスの冒頭の音楽)「エンドタイトル」等、ハードボイルドな魅力に満ち溢れている。オリジナルLPのマックィーンのイラストのジャケットも渋い(故和田康弘氏のSLCレーベルがリリースしたCDも同じデザイン)。

新録音盤のレビュー(2000年7月追加)

Lalo Schifrin

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カミーユ・クローデル Camille Claudel

作曲:ガブリエル・ヤレ
Composed by Gabriel Yared

指揮:ハリー・ラビノウィッツ
Conducted by Harry Rabinowitz

(仏Virgin / 30673)

彫刻家ロダンの弟子となり愛人となったカミーユ・クローデルの悲惨な生涯を描く1988年製作のフランス映画。監督はブルーノ・ニュイッテンで、出演はイザベル・アジャーニ、ジェラール・ドパルデュー他。作曲のガブリエル・ヤレは、初期の作品「溝の中の月」のスコアを初めて聴いた時に、フィリップ・サルドのベストスコアに匹敵する繊細かつ華麗な優れた音楽性に驚かされたが、その後も、「アデュー・ボナパルト」「(未公開)Agent Trouble」「IP5 愛を探す旅人たち」「愛人」「イングリッシュ・ペイシェント」等、非常に優れたスコアを書いているフランスの実力派である。この「カミーユ・クローデル」の音楽は悲劇的なストーリーにふさわしい美しく哀感に満ちたクラシカルなスコア。

Gabriel Yared

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カプリコン・1 Capricorn One

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by Jerry Goldsmith

(米GNP Crescend / GNPD 8035)

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職人ピーター・ハイアムズ監督・脚本による傑作サスペンス・アクション。彼のベスト作だろう。出演はエリオット・グールド、ジェームズ・ブローリン、サム・ウォーターストン、O・J・シンプソン、ハル・ホルブルック、ブレンダ・ヴァッカロ、デヴィッド・ハドルストン、デニース・ニコラス、アラン・ファッジ、デヴィッド・ドイル他。カレン・ブラックとテリー・サヴァラスがゲストでチラっと顔みせしている。撮影はビル・バトラー。初の有人火星探査船カプリコン・1の打ち上げ直前にトラブルが発生し、3人の宇宙飛行士は国家プロジェクトの失敗を隠蔽するために地上のスタジオで宇宙飛行の芝居を強制される。ヒッチコック的な巻き込まれ型スリラーに激しいアクションを詰め込んだ一級のエンターテインメント。ジェリー・ゴールドスミスの音楽は猛スピードで突っ走る重戦車のようなダイナミックなスコアで、この手のサスペンスアクション映画における彼独特のスタイルを確立した傑作。ハイアムズとは後の「アウトランド」でも組んでいるが、こちらはシンセとオーケストラによるシャープなサスペンススコアだった。このGNPレーベルのCDは「カプリコン・1」「アウトランド」をカップリングにしたもの。尚、「カプリコン・1」のスコアはサントラではなく、アルバム用に作曲家自身が再録音したものである。

= 2005年8月13日追加 =

米Intradaレーベルより、このスコアの完全盤サントラCDがリリースされている。上記GNP Crescend盤は再録音だが、こちらは映画の音源によるサントラ盤。
 ・米Intrada / Intrada Special Collection Vol.21
 ・全26曲/56分32秒収録
 ・3,000枚限定プレス

= 2015年7月26日追加 =

米Intradaレーベルより、上記完全盤サントラCDをリマスターし内容を若干修正したバージョンがリリースされている。

★TOWER.JPで購入

・米Intrada / MAF7142
・限定なし
・収録曲は以下の通り

1. Main Title (1:11)
2. Abort 1 (1:33)
3. Abort 2 (0:34)
4. Capricorn Control (0:27)
5. Mars 1:20)
6. Docking (2:49)
7. Working Overtime (0:45)
8. We Have Landed (1:01)
9. The Message (3:54)
10. Kay's Theme [Trio Source] (3:38)
11. Elliot Is Missing (0:14)
12. The Letter (2:57)
13. Break Out (5:07)
14. The Desert (0:30)
15. Bedtime Story (2:36)
16. The Helicopters (1:07)
17. Hide And Seek (1:25)
18. No Water (2:48)
19. Flare No. 1 (0:30)
20. The Long Climb/Flare No. 2 (3:54)
21. The Snake (3:34)
22. To Bru From Kay (1:49)
23. The Station (5:31)
24. The Celebration (1:41)
25. End Title (2:07)

Score Total Time: 53:30

Bonus Tracks
26. Fanfare Source (0:13)
27. Docking (Original) (2:50)
28. Break Out (LP imitation) (3:05)

Total Extras Time: 6:12

Total Disc Time: 59:48

Jerry Goldsmith

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カサンドラ・クロス The Cassandra Crossing

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by Jerry Goldsmith

演奏:ウニオーネ・ムジチスティ・ディ・ローマ
Performed by Unione Musicisti di Roma(UMR)

(伊RCA / OST 102)

「ランボー怒りの脱出」「トゥームストーン」等のジョルジュ・パン・コスマトスが監督したサスペンス。出演はソフィア・ローレン、リチャード・ハリス、バート・ランカスター、マーティン・シーン、エヴァ・ガードナー、イングリッド・チューリン等国際的オールスター・キャスト。ジュネーヴのWHO本部を襲撃し、逃走の過程で病原菌を身体に浴びたテロリストがジュネーヴ発のヨーロッパ大陸縦断列車に逃げ込み、乗り合わせた乗客たちに病原菌が伝染しはじめる、というストーリー。列車を舞台にしたサスペンス映画としては割と良く出来ていた。ジェリー・ゴールドスミスの音楽は冒頭のジュネーヴ上空のヘリコプターショットによる長廻しにかぶさるメインタイトルや、ラストのエンドタイトルが非常に美しいが、テロリストがWHOを襲撃するシーンや、列車が走り出してからの連続アクション・スコアが極めてハイ・テンションで、まさに息つく暇もない激しさ。彼の得意とするジャンルであり、職人的な巧さを見せる。尚、このスコアはローマで録音されており、モリコーネがよく利用するUMRオーケストラが演奏している。また、オリジナルLPはイタリア、フランス、アメリカ、日本でリリースされており、全てジャケットデザインが異なる。

= 2009年1月追加 =

2008年にベルギーのPrometheusレーベルよりコンプリート・スコア(モノラル)のCDがリリースされている。

Prometheus盤CDのレビュー

Jerry Goldsmith

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(未公開)ソフィー・マルソーの 愛、革命に生きて Chouans!

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by Georges Delerue

(仏Carrere / 96 538)

フィリップ・ド・ブロカ監督が、フランス革命時のふくろう党(反革命王党派)を舞台に、若い男女3人が巻き込まれていく悲劇を描く1988年製作のコスチュームプレイ。出演はフィリップ・ノワレ、ソフィー・マルソー、ランベール・ウィルソン、ステファン・フリース、ジャン=ピエール・カッセル他。重苦しく厳しいタッチのストリングスによるイントロからフル・オーケストラによる勇壮なテーマへと発展するメインタイトル(Generique)や、ドルリューの得意とする中世音楽によるメヌエット等、非常に上質でドラマティックなスコア。メインタイトルで登場するストイックなタッチの印象的なテーマが全編を通して様々なアレンジで繰り返され、スコア全体の重厚なトーンを決定付けている。ジョルジュ・ドルリューの作品中ではオーケストラの編成も大きめであり、同じド・ブロカ監督の「L'Africain」「La revolution Francaise」「The Black Stallion Returns」等と同系列のクラシカルで力強いタッチのスコア。ジャケットのイラストもセンスが良い。この映画は日本で劇場公開されておらず、上記タイトルはビデオ・リリース時のものだが、トップビリングでもないのに「ソフィー・マルソーの」となるところがいかにも安易。

= 2018年6月追記 =

仏Music Box Recordsより30周年記念盤としてリマスターされ、26分の未発表音楽を追加した39曲/約78分の拡張盤CDがリリースされている。1200枚限定プレス。収録曲は以下の通り。

★TOWER.JPで購入

★AMAZON.CO.JPで購入

1. Générique Début (1:46)
2. Prologue (1:00)
3. L'Envol de la Montgolfière (1:21)
4. Les Naissances (2:26)
5. Menuet (1:53)
6. La Fête au Château (1:44)
7. L’Ile de Pleumeur (1:26)
8. Aurèle et Céline (1:27)
9. Va vers la Joie (1:13)
10. Le Village Incendié (1:43)
11. La Machine Volante (1:42)
12. Laudamus (2:49)
13. Pavane (1:27)
14. Thème des Chouans (2:20)
15. Les Chouans devant le Château (4:59)
16. La Lanterne Magique (1:08)
17. Bouchard (1:04)
18. La Séparation (1:36)
19. Embuscade et Promenade (2:05)
20. Aurèle s'enfuit (1:06)
21. L'Adieu à Viviane (1:55)
22. L'Armée Risling (1:07)
23. Le Départ de Tarquin (2:34)
24. L'Envol (2:09)
25. Laisse-moi Rêver (1:12)
26. Danse Paysanne (2:08)
27. La Mort du Baron (1:21)
28. Retrouvailles (1:35)
29. De Profondis, Gloria et Marseillaise (2:58)
30. La Lettre Perdue (2:32)
31. La Mort de Viviane (2:22)
32. Le Camp des Chouans (1:22)
33. La Mort de Tarquin (1:21)
34. La Bataille (1:50)
35. Dans la Nuit (1:26)
36. L'Envol (2e version) (1:06)
37. Aurèle, le Chouan (1:22)
38. L'Évasion de Céline (6:29)
39. Générique Fin (3:06)

Total Time: 77:46

Georges Delerue

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狼の血族 The Company of Wolves

作曲・指揮:ジョージ・フェントン
Composed and Conducted by George Fenton

(英TER / CDTER 1094)

cover
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★TOWER.JPで購入(Jay Records盤) 

1984年製作のイギリス映画。グリム童話の「赤頭巾ちゃん」のストーリーをベースにしたアンジェラ・カーターの小説を、「クライング・ゲーム」等のニール・ジョーダン監督が映画化したファンタジー作品。出演はアンジェラ・ランズベリー、デヴィッド・ワーナー、ミシャ・バージス、サラ・パターソン、スティーヴン・レイ、テレンス・スタンプ他。特殊メイクはクリストファー・タッカーが担当。ジョージ・フェントン作曲の音楽はオーケストラとシンセサイザーの組合わせによるリッチなスコアだが、冒頭のナレーションから、美しく幻想的なストリングスによる主題へと続き、フル・オーケストラによる不吉な不協和音へと発展していくメインタイトルが印象的。ヴァイオリン・ソロによるスウェーデン民謡を取り入れた曲や、ベートーベンの弦楽三重奏をベースにした結婚式の音楽も面白い。フェントンは、「The Jewel in the Crown」等、イギリスのTV映画の音楽を多数担当しているが、映画ではリチャード・アッテンボロー監督の「ガンジー」(1982)のスコアでアカデミー賞の作曲賞にノミネートされ、その後も「(未公開)チャーリング・クロス街84番地」「プランケット城への招待状」「メンフィス・ベル」「永遠の愛に生きて」「英国万歳!」「ラブ・アンド・ウォー」「ユー・ガット・メール」等多数の作品を手がけているベテラン。「ガンジー」の他に「遠い夜明け」「危険な関係」「フィッシャー・キング」でもオスカーにノミネートされている。

George Fenton

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警視の告白 Confessione di un commissario di polizia al procuratore della repubblica(Confessions of a Police Captain)

作曲・指揮:リズ・オルトラーニ
Composed and Conducted by Riz Ortolani

(伊RCA / OST 114)

1971年製作のイタリア映画。監督がダミアーノ・ダミアーニで、出演はマーティン・バルサム、フランコ・ネロ、マリル・トロ、クラウディア・ゴーラ他。マフィアの幹部を執念の鬼と化して追う警視(バルサム)が、彼らの策謀にはまり警察を解雇されるが、事件に疑惑を抱いた検事補(ネロ)が独自の調査により警察権力にはびこるマフィアの影の支配をつきとめる、というクライムドラマ。リズ・オルトラーニの音楽は、いかにも犯罪スリラー的なダークたタッチだが、暗い影を帯びたメインタイトルが極めて印象的で美しく、耳にこびりついて離れなくなる。オルトラーニはドキュメンタリー映画「世界残酷物語」の主題歌「モア」がアカデミー賞歌曲賞にノミネートされたことで有名だが、「ブラザー・サン・シスター・ムーン」「バラキ」「戦争と友情」「アマゾネス」のような美しい音楽や、「騎兵隊最後の砦」「栄光の野郎ども」「怒りの荒野」等の豪快なウエスタン・スコア、「(TV)クリストファー・コロンブス」でのオペラティックで壮大なスペクタクル音楽(プラシド・ドミンゴによる主題歌が素晴らしい)等、非常にはっきりしたラテン的な個性をもった作曲家である。このCDはオルトラーニによる「Nella stretta morsa del ragno」という未公開ホラー映画のスコアとのカップリングになっている。

Riz Ortolani

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予告された殺人の記録 Cronaca di una morte annunciata(Chronicle of a Death Foretold)

作曲・指揮:ピエロ・ピッチオーニ
Composed and Conducted by Piero Piccioni

(英Virgin / CDV2441)

1987年製作のイタリア映画。ノーベル賞受賞作家のガブリエル・ガルシア=マルケスの小説を、「シシリーの黒い霧」「真実の瞬間」「イタリア式奇跡」「コーザ・ノストラ」等の社会派作品で有名なフランチェスコ・ロージ監督が映画化した作品。出演はルパート・エヴェレット、オルネラ・ムーティ、ジャン・マリア・ヴォロンテ、イレーネ・パパス、アンソニー・ドロン、アラン・キュニー他。南米のある町で、名家の息子と結婚した娘(ムーティ)が処女でないことに怒った兄達が、娘の相手の青年(ドロン)をつきとめ、名誉を守るために彼を殺害することを公然と予告する。音楽を担当したのはロージ監督の大半の作品を手がけているイタリアのベテラン、ピエロ・ピッチオーニで、この「予告された殺人の記録」は彼の作曲したロージ監督作品中でも、最も濃厚で情感豊かなオーケストラル・スコア。特に冒頭に収録された「Bolero Lento」と、最後の「Suite Final」でのゆったりとしたボレロのリズムによる重厚なテーマが美しく哀しい。ピッチオーニは、ロージ監督とのコンビ以外にも、アルベルト・ソルディ主演のコメディ映画や、「逆襲!大平原」「闘将スパルタカス」等の史劇、「ミネソタ無頼」等のウエスタン等、幅広いジャンルの作品を多数手がけている名手。

Piero Piccioni

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終電車 Le dernier métro(The Last Metro)

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by Georges Delerue

(ベルギー Prometheus / PCD 113)

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フランソワ・トリュフォーが製作、監督、脚本を手がけた1980年製作のフランス映画。出演はカトリーヌ・ドヌーヴ、ジェラール・ドパルデュー、ジャン・ポワレ、ハインツ・ベネット、ジャン=ルイ・リシャール他。ドイツ軍占領下のパリで、夫であるユダヤ人の劇場主をナチスからかくまいながらも、パリ解放の日まで上演を続ける美しい女優(ドヌーヴ)を描くドラマ。1980年度アカデミー賞の外国映画賞にノミネートされた。音楽はトリュフォーとのコンビが有名なジョルジュ・ドルリューで、パリ市民のLivelyなエスプリを感じさせるワルツによるメインタイトル(Generique)が、いかにもドルリューらしいGentleなタッチで非常に美しい。中盤のサスペンスフルな劇伴音楽も効果的。このCDは同じトリュフォー=ドルリューのコンビによる「隣の女」とのカップリングになっており、サントラ専門誌「Soundtrack!」を発行しているベルギーのLuc Van de Ven氏のプロデュースによるPrometheusレーベルからのリリース。

Georges Delerue

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恋のエチュード Les deux Anglaises et le continent(Two English Girls)

作曲・指揮:ジョルジュ・ドルリュー
Composed and Conducted by Georges Delerue

(仏Hortensia / CD FMC 600)

★TOWER.JPで購入(Universal盤) 

アンリ=ピエール・ロシェの原作をフランソワ・トリュフォー監督が映画化した1971年製作のフランス映画。出演はジャン=ピエール・レオー、キカ・マーカム、ステイシー・テンデター、フィリップ・レオタール他。2人の美しいイギリス人姉妹(マーカム、テンデター)を同時に愛してしまったフランス人作家(レオー)を描く極めて情感豊かなラブストーリーで、トリュフォー監督による傑作の1つ。名手ネストール・アルメンドロスによる撮影も素晴らしい。ジョルジュ・ドルリューの音楽は、ピアノ・ソロが淡い恋心を想わせる美しい主題を奏でるメインタイトル(Anne et Claude au musee)や、しっとりとしたタッチのミュリエルのテーマ等、彼の個性が非常に良く現われた名スコア。尚、この映画には、ドルリューが主人公クロード(レオー)のエージェント役でチラっと出演しており、彼の役者としての才能(?)を垣間見ることができる。

Georges Delerue

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続・荒野の用心棒 Django

作曲・指揮:ルイス・バカロフ
Composed and Conducted by Luis Bacalov

(独Alhambra / A 8930)

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★TOWER.JPで購入(GDM盤) 

1966年製作のスパゲッティ・ウェスタン。監督は「豹・ジャガー」「殺しが静かにやって来る」等のセルジオ・コルブッチ。邦題は「続・荒野の用心棒」だが、セルジオ・レオーネ監督の「荒野の用心棒」とは全く無関係。主役の流れ者ガンマン、ジャンゴをフランコ・ネロが演じ、彼の出世作となった。いつも棺桶をずるずると引きずっていて中にガトリング式のでかい機関銃が入っている。共演はロレダナ・ヌシアク、エドゥアルド・ファヤルド、ホセ・ボダロ他。両手を潰されたジャンゴが町の権力者と対決するラストシーンが見せ場。この作品以降、ジャンゴという名のガンマンが登場するイタリア製ウェスタンが無数に作られたが、この映画とは関係がない。音楽のルイス(・エンリケス)・バカロフは、これ以外にも「群盗荒野を裂く」「必殺の用心棒」といったウェスタンのスコアがあるが、この「続・荒野の用心棒」が代表作で、鋭いギターのイントロから始まる主題歌(ロベルト・フィアが熱唱)が実にかっこいい。この曲のイタリア語の歌詞によるバージョンは日本でもリリースされていたが、このアルバムに収録されているのは英語版である。バカロフはフェリーニ監督の「女の都」の音楽を書いたり、「サマータイム・キラー」等のアクション映画も担当しているが、80年代のフランス映画に優れたスコアをいくつか残していて、特に「(未公開)Interdit アンテルディ/禁じられた愛(Un amour interdit)」(1984)の妖しい美しさに満ちたスコアが素晴らしい。このスコアの一部は「Luis Bacalov: Mes films Francais」(仏Odeon / 493838 2)というバカロフ作曲のフランス映画を集めたコンピレーションCDに含まれている。'95年には「イル・ポスティーノ」のスコアでアカデミー賞の作曲賞を受賞し、メジャーな存在となった。

Luis Bacalov

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シザーハンズ Edward Scissorhands

作曲:ダニー・エルフマン
Composed by Danny Elfman

指揮:シャーリー・ウォーカー
Conducted by Shirley Walker

(米MCA / MCAD-10133)

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★TOWER.JPで購入(Intrada盤) 

鬼才ティム・バートンが監督した1990年製作の心優しきファンタジー/ラブ・ストーリー。両手がハサミの人造人間エドワード(ジョニー・デップ)は、彼を発見し家に連れて帰ってくれたエイヴォン・レディ(ダイアン・ウィースト)の娘キム(ウィノナ・ライダー)に恋するが、ハサミの手をした彼には永遠に彼女を抱くことができない……。エドワードの生みの親である発明家に、ホラー映画の帝王、故ヴィンセント・プライスが扮しているが、これは彼の晩年のベストの役柄である。ティム・バートンは少年時代からプライスの大ファンで、彼が主演したロジャー・コーマン監督の一連のポー原作のホラー映画に強い影響を受けて育った。バートンはディズニーのアニメ部門で働いていた頃、プライスに憧れる7歳の少年ヴィンセントを主人公にしたストップモーション・アニメによる「Vincent」という短編映画を監督し、この中で自分の書いた詩の朗読をプライス本人に依頼した。プライスは当時まだ20歳そこそこだったバートンの監督としての才能に深く感銘を受け、この「シザーハンズ」の役も引き受けた。その後も、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」でサンタクロースの声を演じるはずだったが、プライスの健康状態が悪化し実現しなかった。
この「シザーハンズ」の音楽は、「ピーウィーの大冒険」(1985)以来バートンとコンビを組んでいるダニー・エルフマンが担当。私はUCLAで映画音楽デビュー間もない頃のエルフマンの話を聞いたことがあるが、ロックバンド「オインゴ・ボインゴ」出身で、バーナード・ハーマンとニーノ・ロータの影響を強く受けており、「ピーウィーの大冒険」もロックではなくオーケストラル・スコアだった。バートンとのコンビで「ビートルジュース」「バットマン」を担当して互いにメジャーになったが、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の後で喧嘩別れし、バートンの次作「エド・ウッド」はハワード・ショアがスコアを担当。その後仲直りして、「マーズ・アタック!」でコンビを復活した。今やエルフマンはハリウッドきっての売れっ子作曲家で、彼の特徴的な作風を真似する若手まで現われているが、この「シザーハンズ」は初期の傑作であり、とてもジェントルでファンタスティックなスコア。

Danny Elfman

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ダブル・ボーダー Extreme Prejudice

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by Jerry Goldsmith

演奏:ハンガリー州立歌劇管弦楽団
Performed by Hungarian State Opera Orchestra

(米Intrada / MAF 7001 D)

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「ザ・ドライバー」「ロング・ライダーズ」「48時間」「ストリート・オブ・ファイヤー」「レッドブル」「ラストマン・スタンディング」等のバイオレンス映画で知られるウォルター・ヒル監督が1987年に撮ったクライム・アクション。ジョン・ミリアスとフレッド・レクサーの原案をデリック・ウォッシュバーンとハリー・クライナーが脚色。テキサスとメキシコの国境を舞台に、かつては親友だった2人の男が、かたやテキサス・レンジャーの捜査官(ニック・ノルティ)、かたや麻薬密売組織の首領(パワーズ・ブース)となって対決する。これにマイケル・アイアンサイド率いる政府特殊部隊が絡み、三つ巴の戦いを繰り広げる。共演はマリア・コンチタ・アロンゾ、リップ・トーン、クランシー・ブラウン、ウィリアム・フォーサイス他。ウォルター・ヒルは、チャールズ・ブロンソンとジェームズ・コバーンが共演した「ストリート・ファイター」で監督デビューする以前に、「ゲッタウェイ」「マッキントッシュの男」「殺人者にラブ・ソングを」「新・動く標的」といった犯罪映画の脚本を書いており、特に「ゲッタウェイ」の監督であるサム・ペキンパーと、ペキンパーの師匠であるドン・シーゲル監督の影響を少なからず受けている。「ロング・ライダーズ」でのハイスピード撮影によるアクションシーンや、この「ダブル・ボーダー」でのラストの集団銃撃戦は、ペキンパー監督の「ワイルドバンチ」を模倣しているし、「レッドブル」のストーリーはシーゲル監督の「マンハッタン無宿」の焼き直しである。が、監督としての力量はいまだにシーゲルやペキンパーのレベルに達していないように思う。彼の作品では「(未公開)ブラボー小隊・恐怖の脱出」と「トレスパス」が面白かったが、後者は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のロバート・ゼメキス=ボブ・ゲイルのコンビが脚本を書いているのが大きい。ヒルの作品は、ライ・クーダーがスコアを付けることが多いが、この「ダブル・ボーダー」の音楽は、ジェリー・ゴールドスミスが担当している。シンセとオーケストラの組合わせによる極めてパワフルかつサスペンスフルなスコアで、アクションのジャンルでの彼の作品中では最も暴力性を感じさせるダイナミックな音楽。特に特殊部隊のメンバーが空港に集結するアヴァンタイトル・シーンからメインタイトルへとなだれ込む部分の音楽(Arrivals)は最高にかっこよく、強烈な映画的興奮を覚える。エンド・クレジットに流れる曲(A Deal)のストイックなタッチも良い。

= 2005年3月追加 =

2005年に米La-La Landレーベルより、全20曲/64:12収録の完全盤CDがリリースされている。
(米La-La Land / LLLCD 1028)

Jerry Goldsmith

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爆走! Fear is the Key

作曲・指揮:ロイ・バッド
Composed and Conducted by Roy Budd

(SLC / SLCS-5020)

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「ナバロンの要塞」「荒鷲の要塞」等のアリステア・マクリーンの傑作小説「恐怖の関門」を名プロデューサーのエリオット・カストナーが映画化。監督はマイケル・タックナーで、出演はバリー・ニューマン、スージー・ケンドール、ジョン・ヴァーノン他。「ガンジー」でオスカーの主演男優賞を受賞し一躍有名になる前のベン・キングスレーが陰湿な殺し屋役で登場する。暴力事件で逮捕された潜水艇操縦士(ニューマン)が、裁判中に警官の銃を奪い、居合わせた石油王の娘(ケンドール)を人質にして逃走する。途中で捕まった主人公は、石油王の家に連れて行かれ、メキシコ湾に沈んだ小型機に積まれている莫大な密輸品を回収するために潜水艇を操縦せよと強要される。ラストで主人公の真の目的が明らかになるまで、マクリーンの小説に特有の二重三重のどんでん返しが用意されている。主役のバリー・ニューマンは「バニシング・ポイント」というカーチェイス映画で有名になった役者だが、この「爆走!」にも延々と続くカーチェイス・シーンがあったので、公開時にはまるで「バニシング・ポイント」の続編のような宣伝がなされた。原作小説はマクリーンのベストの1つだと思うが、映画の方はバジェットの制約のせいか全体的に貧相な作りで、B級アクション映画的な印象が強い。ロイ・バッドの音楽はクールなジャズと重厚なオーケストラのコンビネーションであり、力強いイントロで始まるメインテーマや、中盤のアクションシーンの音楽が最高にかっこいい。アルバム中のハイライトは10分近くに及ぶカーチェイス・シーンのアクション・スコアで、スペクタキュラーなジャズが迫力満点。この曲にはタイヤのスキッドやパトカーのサイレンのS.E.が含まれているが、できればCD化の際にS.E.を除いた音楽だけのバージョンも収録してほしかった(イギリスのCinephileレーベルからCDが再発されているが、中身はこのSLC盤と全く同じ)。バッドのアクション・スコアでは「シンジケート」「ドラブル」「マルセイユ特急」等と並ぶ傑作スコアである。

Roy Budd

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フランスの女 Une femme française

作曲:パトリック・ドイル
Composed by Patrick Doyle

指揮:デヴィッド・スネル
Conducted by David Snell

(仏WEA / 4509 99630-2)

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1995年製作のフランス映画。第二次世界大戦から植民地戦争にかけてのフランスを舞台に、軍人である夫の出兵中に出会った青年と激しい恋におちていくフランス人の人妻(エマニュエル・ベアール)を描くドラマ。監督は「インドシナ」レジス・ヴァルニエ。共演は、ダニエル・オートゥイユ、ガブリエル・バリリ、ジャン=クロード・ブリアリ、ジュヌヴィエーヴ・カシュ他。脚本はヴァルニエとアラン・ル・アンリ、撮影はフランソワ・カトンヌが担当。音楽は「インドシナ」でもヴァルニエと組んだイギリスの名手パトリック・ドイル。ケネス・ブラナー監督の「ヘンリー五世」にクラシカルで荘厳なスコアを書いて突然現われ、その後もブラナー監督の諸作品や、ブライアン・デ・パルマ監督の「カリートの道」、アン・リー監督の「いつか晴れた日に」等に優れた映画音楽を提供している実力派である。マイナーな作品にも、ノルウェーで製作された冒険活劇「(未公開)冒険の島/海賊メリックをやっつけろ! (Shipwrecked)」のように正統派のドラマティック・アンダースコアを書いている。「インドシナ」のスコアを聴いた時には、ドルリューやサルドを想わせる繊細で情感豊かな音楽性に驚かされたが、この「フランスの女」は更に深みを感じさせる極めて上質なスコアで、今のところドイルのベストだと思う。憂いを帯びた物悲しいタッチの主題が非常に美しい。このフランス製CDはジャケット自体が立派な装丁のブックレットになっていてカラーのスティルが数ページに渡って掲載されている豪華なもの。

Patrick Doyle

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(TV)フライング・ドクター The Flying Doctors

作曲:ゲリー・マクドナルド & ローリー・ストーン
Composed by Garry McDonald & Laurie Stone

指揮:ゲリー・マクドナルド
Conducted by Garry McDonlad

(豪1M1 / CD1015)

1984年製作のオーストラリアのTVミニシリーズ。監督はピノ・アメンタ。出演はブルース・バリー、スティーヴ・ビズレー、マックス・カレン、キース・エデン、パット・エヴィソン、モーリー・フィールズ他。オーストラリアでのロイヤル・フライング・ドクター・サービスを描くドラマ。音楽を担当しているマクドナルド=ストーンはオーストラリア出身で'82年よりコンビを組んで作曲活動を行っているようだが、マクドナルドはラロ・シフリンヘンリー・マンシーニ等に映画音楽を師事しており、ストーンはロック・グループのヴォーカル出身という組合わせ。ストーンがメロディラインを考え、マクドナルドがそれに肉付けしてオーケストラル・スコアに仕上げているという感じだろうか。この「フライング・ドクター」の音楽は、TV番組ということもあって明快でCatchyなメインテーマが非常に爽やかで親しみやすいが、単に明快なだけでなくパワフルな躍動感を感じさせるしっかりとしたドラマティック・アンダースコアになっているところが良い。この作曲家コンビは、サム・ニール主演のオーストラリア製西部劇「Robbery Under Arms」のサントラが同じオーストラリアの1M1レーベルからリリースされており(1M1/CD1013)、こちらも豪快・爽快・明快なアクション・スコア。この2枚以外には、「Second Time Lucky」(1M1レーベル)、「The Thornbirds II: The Missing Years」(米Varese Sarabandeレーベル)のサントラCDがリリースされている。

Garry McDonald & Laurie Stone

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フォート・サガン Fort Saganne

作曲:フィリップ・サルド
Composed by Philippe Sarde

指揮:カルロ・サヴィーナ
Conducted by Carlo Savina

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(仏Milan / CDFMC 9)

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1984年製作のフランス映画。第一次大戦前のサハラ砂漠を舞台に青年士官シャルル・サガン(ジェラール・ドパルデュー)の活躍を描くドラマ。監督は「真夜中の刑事」等のアラン・コルノー。共演はソフィー・マルソー、カトリーヌ・ドヌーヴ、フィリップ・ノワレ、ミシェル・デュショーソワ、イポリット・ジラルド、ロジェ・デュマ、ジャン=ルイ・リシャール他。ルイ・ガルデルの原作小説をアンリ・ドゥ・トゥルンヌとガルデル自身、監督のコルノーが脚色。撮影はブルーノ・ニュイッテンが担当。フィリップ・サルドは、コルノー監督と「(未公開)武器の選択」という犯罪ドラマでも組んでおり、こちらもロンドン交響楽団の演奏による極めて上質なシンフォニック・スコアだったが、この「フォート・サガン」は更に深遠かつスケールの大きいドラマティック・スコア。砂漠の神秘性を想起させる繊細で美しいメインテーマが特に印象深い。サルドは初期の「すぎ去りし日の・・・」「夕なぎ」「ひきしお」「離愁」といったスコアも素晴らしいが、80年代に「武器の選択」「フォート・サガン」「ギャルソン!」等に優れた映画音楽を提供していた時期が1つのピークだったように思う。

Philippe Sarde

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フューリー The Fury

作曲・指揮:ジョン・ウィリアムス
Composed and Conducted by John Williams

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(米Varese Sarabande / VSD-5264)

ジョン・ファリスの原作小説をブライアン・デ・パルマが映画化した超能力テーマのホラー(1978年製作)。出演はカーク・ダグラス、ジョン・カサヴェテス、エイミー・アーヴィング、チャールズ・ダーニング、アンドリュー・スティーヴンス、フィオナ・ルイス他。無名の頃のダリル・ハンナとジェームズ・ベルーシがチラっと出ている。特殊メイクは名手リック・ベイカー。テレキネシス能力を持つ息子(スティーヴンス)を誘拐された元情報部員(ダグラス)が、息子と同様の能力を持つ少女(アーヴィング)の助けを得て、影の組織に立ち向かう。デ・パルマというと、一時期ヒッチコックの模倣ばかりやっているB級ホラー映画監督という印象があり、「愛のメモリー」「殺しのドレス」「ボディ・ダブル」等はモロにヒッチコックのパクリであまり感心しなかったが、「アンタッチャブル」でメジャーなエンターテインメント作品を任せられる一流監督に格上げされたといった感じがある。この「フューリー」はまだB級レベルだった頃に撮った作品で、凝ったカメラワークや延々と続くスローモーション等技巧ばかりに走っており、肝心のストーリテリングは今一つ。UCLAでリチャード・クラフトの講義を受けた際に、彼が「殺しのドレス」の美術館のシーンを最初は音楽なしで、次に音楽付きで見せていかに印象が異なるかを示していたが、ここでのピノ・ドナジオのスコアは必要以上にエモーショナルでドラマティックなもので、これはこの映画の編集を担当したポール・ハーシュによると「死人に息を吹き込む」効果があるという。つまりデ・パルマの映像があまりに機械的で冷たい印象を受けるので、音楽は少々大袈裟めでちょうどバランスが取れるというのである。この「フューリー」のジョン・ウィリアムスのスコアも同様である。これは彼の作品中でも最も重厚なタッチのスコアで、個人的には彼のベストスコアの1つだと思うが、とにかく映像なしで音楽だけを聴くとこれは一体どんな凄まじいシーンなのだろうと思うくらい仰々しく響く。特に遊園地のシーンからエンドタイトルにかけてのパワーは強烈である。その後に続くこの上なく悲痛なエピローグも素晴らしい。尚、ここで紹介しているCDは映画公開当時にAristaレーベルから出ていたLPのCD化(ボーナストラックを1曲追加)で、これは実際に映画に使われたサントラ音源ではなく、アルバム用にロンドン交響楽団によって再録音されたものである。2002年に同じVarese Sarabandeレーベルより映画のサントラ音源を収録したCDが新たにリリースされている。

新盤CD(米Varese Sarabande / VCL 0702 1011)のレビュー

John Williams

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(未公開/TV)ゲーム、セット、マッチ Game, Set and Match

作曲・指揮:リチャード・ハーヴェイ
Composed and Conducted by Richard Harvey

(英Chrysalis / CCD 1692)

「国際諜報局」「10億ドルの頭脳」等で知られるベストセラー作家レン・デイトンのスパイ小説3部作、「ベルリン・ゲーム」「メキシコ・セット」「ロンドン・マッチ」をジョン・ハウレットの脚色により映像化した英グラナダTVのミニシリーズ。監督はケン・グリーヴパトリック・ローで、主人公であるベルリン生まれの英国諜報員バーナード・サムソンを「フィフス・エレメント」等のベテラン俳優イアン・ホルムが演じる。共演はマイケル・アルドリッジ、アンソニー・ベイト、マイケル・カルヴァー、メル・マーティン他。ロンドンのオフィスでデスクワークに従事していた諜報員のサムソンが、諜報局内でモスクワに情報を流しているらしい二重スパイを探し出すため、かつての勤務地である東ベルリンへと向かう……。実際のTVシリーズは未見だが、批評によるとデイトンの原作を忠実に映像化しているらしい。音楽を担当しているリチャード・ハーヴェイはイギリスのTV、映画の音楽を多数手がけているベテラン作曲家だが、サントラCDはあまりリリースされていない。非常に抑制されたタッチのアンダースコアを書く作曲家で、この「ゲーム、セット、マッチ」の音楽も寂寥感に満ちた非常に繊細かつドラマティックなスコア。ロジャー・チェイスによるヴィオラ・ソロが耳にこびりつくような美しさ。正にレン・デイトンのリアリスティックなスパイ小説の世界にふさわしい抑制された渋いタッチのスコアである。ハーヴェイの優れた映画音楽は、下記のSilva ScreenレーベルによるコンピレーションCD(P・D・ジェイムズ原作のアダム・ダルグリッシュ警視もの「ナイチンゲールの屍衣」等を収録)でも聴くことができる。

「Shroud for a Nightingale: The Screen Music of Richard Harvey」
(Silva Screen / FILMCD 172)

Richard Harvey

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ギャルソン! Garçon!

作曲:フィリップ・サルド
Composed by Philippe Sarde

指揮:ピーター・ナイト
Conducted by Peter Knight

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(仏Milan / CDCH 318)

「すぎ去りし日の・・・」「夕なぎ」「愛を弾く女」「リュミエールの子供たち」等で知られるフランスのクロード・ソーテ監督が1983年に撮ったコメディタッチのドラマ。イヴ・モンタンが、海辺に遊園地を造ることを夢見ながら、パリのレストランで働くギャルソンを演じる。共演はニコール・ガルシア、ベルナール・フレッソン、マリー・デュボワ他。脚本はソーテとジャン=ルー・ダバディ、撮影はジャン・ボフェティが担当。音楽はソーテ監督の殆どの作品を手がけているフィリップ・サルド。ピアノをベースとした弾むようなイントロからロンドン・シンフォニーによる明るく軽快なタッチの主題へと続くメインタイトルが素晴らしい。賑やかなパリのレストランで活き活きと動き回るギャルソンたちを想わせる楽しい音楽で、どちらかといえば物悲しいスコアの多いサルドの陽の部分が全開した傑作。彼の作品中でもスケールの大きい華やかさと、明るくコミカルなタッチを最も感じさせるスコア。これはフランスのMilanレーベルからリリースされているクロード・ソーテ監督とサルドのコラボレーション作品を集めたCDで、「ギャルソン!」の他に「僕と一緒に幾日か(Quelques jours avec moi)」「すぎ去りし日の・・・(Les choses de la vie)」「(未公開)はめる/狙われた獲物(Max et les ferrailleurs)」「夕なぎ(Cesar et Rosalie)」「友情(Vincent, Francois, Paul et les autres)」「(未公開)Mado」「ありふれた愛のストーリー(Une histoire simple)」「(未公開)Un mauvais fils」が収録されている。この内、「すぎ去りし日の・・・」「夕なぎ」「Max et les ferrailleurs」「友情」はイタリアのCAMレーベルから個別にCDがリリースされている。どの音楽も素晴らしいが、個人的には「友情」と「Une histoire simple」のしっとりとしたタッチが特に気に入っている。

Philippe Sarde

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(未公開/TV)ゲティスバーグの戦い/南北戦争運命の三日間 Gettysburg

作曲・指揮:ランディ・エデルマン
Composed and Conducted by Randy Edelman

(米Milan / 73138 35654-2)

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マイケル・シャーラのピュリツァー賞受賞小説「The Killer Angels」を映画化した1993年製作のTVムービー。監督・脚本はロナルド・F・マックスウェルで、出演はトム・ベレンジャー、ジェフ・ダニエルズ、マーティン・シーン、C・トーマス・ハウエル、リチャード・ジョーダン、リチャード・アンダーソン、ジョージ・レイゼンビー、ロビー・ベンソン、スティーヴン・ラング、ジェームズ・ランカスター、サム・エリオット(ジョン・ビュフォード将軍役)他。題名の通り南北戦争におけるゲティスバーグの戦いを描く歴史劇。アーミステッド将軍を演じたリチャード・ジョーダンの遺作でもある。ランディ・エデルマン作曲の音楽は、極めてパワフルかつエモーショナルなオーケストラル・スコア。全体的にマーチをベースとしたミリタリー調の音楽となっているが、雄大なスケールの「メインタイトル」をはじめ、「Battle of Little Round Top」「March To Mortality(Pickett's Charge)」「Reunion and Finale」等、一貫した力強いタッチでスペクタキュラーなエピック・スコアを展開している。エデルマンはこれまでに「ダラスの熱い日」「愛と哀しみの旅路」等のドラマや「キンダガートン・コップ」「ホワイトハウス狂騒曲」「ベートーベン」等のコメディを担当しているが、「ドラゴン/ブルース・リー物語」あたりから明確なスタイルを持った非常にエモーショナルなドラマティック・アンダースコアを書くようになり、「マスク」「クエスト」「デイライト」「ドラゴンハート」と、個性のはっきりした優れた映画音楽を提供し続けている。特に「ドラゴン/ブルース・リー物語」と「ドラゴンハート」の音楽は日本で全然無関係な映画の予告編にさんざん使用されたので、エデルマン作曲とは知らなくても、聴けば「この曲か」とわかるはずである。この「ゲティスバーグの戦い」は、エデルマンの個性が特に強く現われた傑作で、彼のベストスコアの1つ。

Randy Edelman

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夕陽のギャングたち Giù la testa(Duck, You Sucker)

作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by Ennio Morricone

(伊Cinevox / CD-CIA 5003)

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「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」等で知られるセルジオ・レオーネ監督が1970年に撮ったイタリア製西部劇。レオーネは個人的に大好きな監督で、彼のウェスタン映画は華麗なオペラのようなカタルシスを堪能できる傑作ばかりだが、この「夕陽のギャングたち」は男の友情を叙情味たっぷりに描いた彼のベスト作。出演はロッド・スタイガー、ジェームズ・コバーン、ロモロ・ヴァリ、マリア・モンティ、リック・バタリア、フランコ・グラツィオシ、アントワン・ドミンゴ、ジョン・フレデリック他。脚本はルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ、セルジオ・ドナティとレオーネの共作。20世紀初頭のメキシコを舞台に、山賊のミランダ(スタイガー)と、アイルランド革命の闘士で爆発物のエキスパートであるマロリー(コバーン)がメキシコ革命に巻き込まれ、反政府軍のために戦うことになる……。原題名の「Duck, You Sucker」は、いつのまにか爆薬を仕掛けたマロリーが、爆発寸前にミランダに対して言う「頭を伏せろ」という決まり文句。全身にダイナマイトやニトログリセリンを仕込んだマロリー役のコバーンが渋い。1996年にアメリカでリリースされたノーカット版のLDには劇場公開版とは異なるエンディングも収録されていた。音楽は「荒野の用心棒」以降のレオーネ作品を全て手がけているエンニオ・モリコーネで、この「夕陽のギャングたち」は彼のベストスコアの1つでもある。口笛や男声を効果的に使ったとぼけたタッチのイントロから、女声とオーケストラによる美しい主題へと展開するメインタイトルが実にユニークで、これは彼の全作品中でも最も人気のある曲の1つ。しみじみと切ないタッチの「Mesa Verde」やエンディングの「Dopo l'esplosione」、ユーモラスな「Marcia degli accattoni」等、モリコーネらしい独創性に満ちた音楽が散りばめられた映画音楽史上に残る傑作スコア。

Ennio Morricone

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ゴッドファーザー PART II The Godfather Part II

作曲:ニーノ・ロータ、カーマイン・コッポラ
Composed by Nino Rota and Carmine Coppola

指揮:カーマイン・コッポラ
Conducted by Carmine Coppola

(米MCA / MCAD-10232)

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★TOWER.JPで購入(Music On Vinyl LP盤) 

アカデミー賞を受賞した1972年製作の「ゴッドファーザー」の続編として、フランシス・フォード・コッポラ監督が1974年に撮った作品で、こちらもアカデミー賞を受賞。マリオ・プーゾの原作を基にコッポラとプーゾが脚色。撮影のゴードン・ウィリス、特殊メイクのディック・スミス等のスタッフは前作と同様。出演はアル・パチーノ、ロバート・デュヴァル、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ、タリア・シャイア、モーガナ・キング、ジョン・カザール、マリアンナ・ヒル、リー・ストラスバーグ、トロイ・ドナヒュー、ハリー・ディーン・スタントン、ダニー・アイエロ、ロジャー・コーマン、ジェームズ・カーン、ロビー・ベンソン他。前作で亡き父の後を継ぎコルレオーネ・ファミリーのドンとなったマイケル(パチーノ)のエピソードと、彼の父ビトーの少年時代からニューヨークへ移住しファミリーを築くまでのエピソードを交差させながら描く。若きビトー・コルレオーネ(前作でマーロン・ブランドが演じた役柄)をロバート・デ・ニーロが見事に演じ、アカデミー賞の助演男優賞を受賞。この映画は作品賞、助演男優賞の他に、監督、脚本、音楽、美術の合計6部門で受賞している。コッポラは、後に1作目と2作目を一貫したストーリーに再編集した「ゴッドファーザー・サガ」「ゴッドファーザー 1901-1959/特別完全版」を製作した。音楽はフェデリコ・フェリーニ監督とのコラボレーションや、「太陽がいっぱい」「ロミオとジュリエット」「山猫」「戦争と平和」「ナイル殺人事件」等で知られるイタリアの巨匠ニーノ・ロータ(一部音楽の作曲と全体の指揮をコッポラの父カーマインが担当)。前作にロータが書いたスコアは、有名な「ゴッドファーザー 愛のテーマ」がこの映画のためのオリジナル曲ではなかったため、アカデミー作曲賞の対象外となってしまったが、このPART IIでは新たな音楽を作曲し、見事オスカーを受賞している。冒頭の「メインタイトル/移民」で、前作のスコアを反映した長めのイントロに続いてフルオーケストラで流れるメインテーマがこの上なく美しく感動的。このテーマは映画の中でアレンジを変えて何度か現れるが、個人的には前作の有名な「愛のテーマ」より、こちらのテーマの方が好みである。ダイアン・キートン演じるマイケルの妻ケイのテーマも静かに美しい。

Nino Rota

Carmine Coppola

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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 The Good, the Bad and the Ugly(Il buono, il brutto, il cattivo)

作曲:エンニオ・モリコーネ
Composed by Ennio Morricone

指揮:ブルーノ・ニコライ
Conducted by Bruno Nicolai

(米EMI / 748408-2DIDX2469)

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★TOWER.JPで購入(EMI盤)

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「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」に続いて、セルジオ・レオーネ 監督がクリント・イーストウッド主演で撮った傑作ウェスタン(1966年製作)。共演はリー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラック、ラダ・ラシモフ、マリオ・ブレガ、チェロ・アロンゾ、ルイジ・ピスティッリ他。脚本はルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ、トニオ・スカルペリとレオーネの共作。撮影はトニーノ・デリ・コリが担当。懸賞金のかかったお尋ね者のトゥーコ(ウォラック)と、彼を捕まえて賞金を得ては、処刑の寸前に突然現われて逃がしてやるブロンディー(イーストウッド)。このやり口でコンビを組んで懸賞金を騙し取っていた彼らは、ある日、逃走中の瀕死の強奪犯から大金が隠された場所を知らされる。互いに相手を信用せず、隙を見ては裏切り合う二人だが、片方が大金の隠された墓地の名前を、他方が墓標の名前を知っていることから、またもコンビを組んで金を奪うことになる。そこに冷酷な凄腕ガンマン・エンジェル(クリーフ)が絡み、大金をめぐって三つ巴の決闘となる。南北戦争のスペクタクルを背景に、3時間近くにわたって展開する一大オペラティック・ウェスタン。特にラスト近くで荒野に延々と広がる墓地をウォラックが走り回って金の隠された墓石を探すシーンと、クライマックスのイーストウッド=クリーフ=ウォラック3者決闘シーンは、シネマスコープの画面サイズを効果的に使った華麗な映像と、畳み掛けるようなモンタージュが陶酔的ともいえるレオーネ演出の真骨頂。エンニオ・モリコーネの音楽は、レオーネのウェスタン中で最も重厚でワイルドなタッチのメインタイトルも良いが、何といっても上記の「墓石探しシーン」に流れる音楽(L'estasi dell'oro)と、ラストの決闘シーンの音楽(Il triello)が素晴らしく、特に前者は「夕陽のギャングたち」のメインテーマと並んでモリコーネのウェスタン・スコア中のベストの1つだろう。

= 2004年11月追加 =

2004年に20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパンよりリリースされたDVD「続・夕陽のガンマン アルティメット・エディション」は、未公開シーンを追加・復元した178分の完全版となっており、イタリア語音声しか存在しなかった追加シーンには、クリント・イーストウッド、イーライ・ウォラック他が新たにアテレコするという凝りよう(リー・ヴァン・クリーフは故人のため、サイモン・プレスコットが吹替)。また、日本でTV放映された際の日本語吹替音声(イーストウッド=山田康雄、ウォラック=大塚周夫、ヴァン・クリーフ=納谷悟朗)も収録されている。
興味深いのは、特典に収録されているジョン・バーリンゲームによる「モリコーネの音楽と『続・夕陽のガンマン』」というドキュメンタリーで、これによると、監督のセルジオ・レオーネとエンニオ・モリコーネの証言では、イーライ・ウォラックがサッドヒル墓地でアーチ・スタントンの墓標を探すシーンの「ゴールドのエクスタシー」と、その後の三つ巴の決闘のシーンの「トリオ」は、撮影の前にモリコーネによって作曲され、撮影中に実際に流されたという(但し、クリント・イーストウッドを含めた俳優たちは音楽が流れていたことを覚えていないらしい)。
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Ennio Morricone

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グッドモーニング・バビロン! Good Morning Babylone

作曲・指揮:ニコラ・ピオヴァーニ
Composed and Conducted by Nicola Piovani

(仏Milan / CD 300)

パオロとヴィットリオのタヴィアーニ兄弟が監督した、1987年製作のイタリア=フランス=アメリカ合作映画。出演はヴィンセント・スパーノ、ヨアキム・デ・アルメイダ、グレタ・スカッキ、デジレ・ベッカー、オメロ・アントヌッティ、チャールズ・ダンス、マルガリータ・ロサーノ他。ロイド・フォンヴィエルの原案をタヴィアーニ兄弟とトニーノ・グエッラが脚色。撮影はジュゼッペ・ランチ。著名なプロデューサーのエドワード・プレスマンが製作に係わっている。映画草創期のハリウッドを舞台に、イタリアから渡米したニコラとアンドレア兄弟(スパーノ、アルメイダ)が、映画の父と言われるD・W・グリフィス監督(ダンス)が製作中の超大作「イントレランス」のセット建設に参加する。映画製作の舞台裏で活躍する人々や、その後の第一次世界大戦を通じて主人公たちの兄弟愛を描いた人間ドラマ。音楽は、「ライフ・イズ・ビューティフル」でオスカーを受賞して世界的に有名となったイタリアのベテラン作曲家ニコラ・ピオヴァーニ。タヴィアーニ兄弟とは「サン・ロレンツォの夜(La notte di San Lorenzo)」「カオス シチリア物語(Kaos)」「太陽は夜も輝く(Il sole anche di notte)」「フィオリーレ 花月の伝説(Fiorile)」等で組んでおり、その他にもジュゼッペ・トルナトーレ監督の初期の作品「教授と呼ばれた男(Il camorrista)」や、フェデリコ・フェリーニ監督の「ジンジャーとフレッド(Ginger e Fred)」「インテルビスタ(Intervista)」等を担当している。独特の悲哀感を帯びた陰りのある音楽を書く作曲家で、個人的には「凱旋行進(Marcia trionfale)」でのストイックな行進曲が最初に強く印象を受けた曲だった。その後も「サン・ロレンツォの夜」「カオス シチリア物語」といったピオヴァーニ節とも呼べるもの哀しいタッチの美しいスコアを次々と手がけたが、この「グッドモーニング・バビロン!」の音楽でそのスタイルが1つの完成の域に達したと感じる。ノスタルジックなタッチからフルオーケストラによる悲哀感に満ちたメインテーマへと展開する冒頭の音楽は、彼のスコア中でも最も深みとスケールの大きさを感じさせる傑作である。逆にこの映画以降の作品には、なぜか今一つインパクトに欠ける印象の薄いものが多い。

Nicola Piovani

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殺しが静かにやって来る Il grand silenzio

作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by Ennio Morricone

(伊Beat / CDCR 27)

★TOWER.JPで購入(Beat盤) 

「続・荒野の用心棒」等のセルジオ・コルブッチ監督による異色ウェスタン。出演はジャン=ルイ・トランティニアン、クラウス・キンスキー、ヴォネッタ・マギー、フランク・ウォルフ、ルイジ・ピコラッリ、マリオ・ブレガ他。脚本はコルブッチとヴィットリアーノ・ペトリリ、マリオ・アメンドラ、ブルーノ・コルブッチの共作。撮影はシルヴァーノ・イッポリティ。残虐な無法者集団に夫を殺された未亡人が、“サイレンス”と呼ばれる賞金稼ぎ(トランティニアン)に復讐を依頼するが、彼自身、かつてその無法者たちのボスに両親を殺され、自分も声帯を切り裂かれて声を失っていた。彼の命を狙う賞金稼ぎに、怪優クラウス・キンスキーが扮する。一面が真っ白な雪に覆われた町で展開する陰鬱なタッチのウェスタンで、救いようのない唐突なエンディングにも唖然とさせられる。エンニオ・モリコーネの音楽は、冒頭のメインテーマが映画の陰惨さとは対照的に極めて情感豊かで美しい。彼がセルジオ・レオーネ監督のウェスタン作品に書いたスコアのようなダイナミックさやワイルドさはないが、彼の全ウェスタン・スコア中でも特筆すべき叙情性を持った名曲。尚、このイタリアのBeatレーベルのCDは同じモリコーネの「さらば恋の日(Un bellissimo novembre)」とカップリングになっている。

Ennio Morricone

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グレイストーク -類人猿の王者- ターザンの伝説 Greystoke: The Legend of Tarzan, Lord of the Apes

作曲・指揮:ジョン・スコット
Composed and Conducted by John Scott

演奏:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
Performed by the Royal Philharmonic Orchestra

(Monkey Music / MM-CD 14389)

1983年製作のイギリス映画。監督は「炎のランナー」等のヒュー・ハドソン。出演はサー・ラルフ・リチャードソン(遺作)、イアン・ホルム、クリストフ・ランベール、アンディ・マクダウェル、シェリル・キャンベル、ジャームズ・フォックス、イアン・チャールソン、ナイジェル・ダヴェンポート、リチャード・グリフィス他。エドガー・ライス・バローズの有名な原作小説をマイケル・オースティン、P・H・ヴァザック、ロバート・タウンが脚色。撮影はジョン・オルコット、特殊効果はアルバート・J・ホイットロックが担当。特殊メイクは猿やゴリラを得意とする名手リック・ベイカー。猿に育てられた孤児が、成長してからベルギー人の探検家に発見され、文明社会へと連れ戻されるが、スコットランドの名家グレイストークの継承者だった彼は、文明を捨て、蛮勇ターザンとしてジャングルに戻っていく。音楽を担当したジョン・スコットは、ここでエルガーの交響曲第1番を効果的に使用しているが、スコット自身の書いたスコアもクラシック音楽的な美しく格調の高いものであり、エルガーの音楽と違和感なくつながっている。ところで、このCDは残念ながら正規盤ではなく、作曲家の許可なくリリースされたBootleg(海賊盤)である。スコットは、自身の運営するJOSレーベルからこのスコアのCDをリリースすべく、様々な権利関係を処理してやっと実現しかけたところに、このBootlegが市場に出回ってしまったために経済的に大きな打撃を受けたという。スコットの素晴らしい音楽をCDで聴くことができるのはファンとしても喜ばしいが、一方で、こういうアルバムを購入してBootleggerに利益を落とすのはスコットのファンとして心苦しいものがある(このアルバムがいくら売れても作曲家に印税は入らない)。

= 2010年10月追加 =

米La-La Land Recordsレーベルより正規盤のCDが初リリースされた(米La-La Land Records / LLLCD 1144)。ボーナストラックとして「序曲」と「クロージング」を収録。3000枚限定プレス。内容は以下の通り。

 ★TOWER.JPで購入

1. The Family (2:52)
2. Greystoke (3:31)
3. Catastrophe (2:57)
4. Child of the Apes (2:30)
5. Pygmy Attack (1:16)
6. D'arnot's Vision (1:31)
7. Tarzan, Lord of the Apes (2:13)
8. Tarzan Leaves the Jungle (1:32)
9. Edge of the World (3:09)
10. (Gardens of Greystoke) Chanson de Matin (0:55)
11. The Weight of Greystoke (2:50)
12. (The Dancing Lesson) Sontag Polka (1:07)
13. Dance of Death (3:10)
14. Half of Me Is Wild (1:06)
15. Return to the Jungle (3:11)

Bonus Tracks:
16. Overture (1:41)
17. Closing (End Titles) (2:59)

John Scott

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ヘル・レイザー Hellraiser

作曲:クリストファー・ヤング
Composed by Christopher Young

指揮:ポール・フランシス・ウィット
Conducted by Paul Francis Witt

(英Silva Screen / FILMCD 021)

★TOWER.JPで購入(Lakeshore Records盤) 

1987年製作のイギリス映画。ホラー小説のベストセラー作家、クライヴ・バーカーが、自らの原作を基に脚本を書き、監督したもの。出演はアンドリュー・ロビンソン、クレア・ヒギンズ、アシュレイ・ローレンス、ショーン・チャップマン、オリヴァー・スミス、ロバート・ハインズ、アントニー・アレン、レオン・デイヴィス、マイケル・キャシディ他。撮影はロビン・ヴィジョンが担当。ロビンソン(ドン・シーゲル監督の「ダーティハリー」で凶悪犯サソリを演じた性格俳優)とヒギンズが移り住んだ家の屋根裏部屋では、死んだと思われていたロビンソンの義兄(ヒギンズの元愛人)が隠れ棲み、肉塊から復元し始めていた……。極限の快楽を得られるというパズル・ボックスがストーリーのキーとなっており、その彼方の異空間に住む魔道師たちのグロテスクな特殊メイクが痛々しい作品。音楽のクリストファー・ヤングはB級ホラー映画ばかりを担当しているという印象があったが、この手のジャンルにありがちなシンセサイザーによる安易な音楽ではなく、しっかりとしたオーケストラル・スコアを書く実力派である。「スペース・インベーダー」「フライ2 二世誕生」「屋根裏部屋の花たち」といったホラーばかりでなく、「コピーキャット」「ホワイトハウスの陰謀」等のサスペンスや、「バット21」等のアクション、「告発」等のドラマの音楽も担当しており、最近では「フラッド」「エントラップメント」といったメジャーな作品も手がけている。この「ヘル・レイザー」はヤングの個性が強く出た重厚なホラー音楽で、特にピアノ・ソロからフルオーケストラへと発展する「Resurrection」という曲はゴールドスミスの「オーメン」に迫る「怖い」音楽。彼は、続編の「ヘル・レイザー2(Hellbound: Hellraiser II)」も担当しているが、こちらは更にパワーアップしたヘビーなスコアだった(米GNP Crescendo / GNPD 8015)。

Christpher Young

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ヘンリー五世 Henry V

作曲:パトリック・ドイル
Composed by Patrick Doyle

指揮:サイモン・ラトル
Conducted by Simon Rattle

演奏:バーミンガム市交響楽団
Performed by the City of Birmingham Symphony Orchestra

(英EMI / CDC 7 49919 2)

cover
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1989年製作のイギリス映画。15世紀イギリスでの若きヘンリー五世の活躍を描くウィリアム・シェークスピアの戯曲を基に、ケネス・ブラナーが監督・脚本・主演をこなした作品。この映画でブラナーは、過去に同様のシェークスピア史劇を監督・主演した名優サー・ローレンス・オリヴィエの再来と言われた。共演は、エマ・トンプソン、ポール・スコフィールド、イアン・ホルム、デレク・ジャコビ、ジュディ・デンチ、ロバート・スティーブンス、クリスチャン・ベイル、クリストファー・レイブンスクロフト、ブライアン・ブレッスド、ロビー・コルトレーン他。撮影はケネス・マクミランが担当。パトリック・ドイルは映画音楽作曲家としての活動を始める以前に、ブラナーのルネッサンス・シアター・カンパニーに役者の1人として参加しており、この映画にもCourt役で出演している。しかも、このアルバム中の「Non nobis, Domine」と「End Title」ではバリトン歌手としてソフトな歌声まで披露している。長編映画の音楽を作曲するのはこれが初めてとのことだが、とてもデビュー作とは思えない非常に風格のある立派な劇音楽であり、オリヴィエの諸作品に音楽を提供していたサー・ウィリアム・ウォルトンのスコアを少し想起させる。ドイルがシンセサイザーで作成したスコアのデモテープを聴いたクラシック音楽の指揮者サイモン・ラトルが、彼の率いるバーミンガム市交響楽団によってこのスコアを録音することに同意し、その見事な演奏によってさらに格調高いアルバムとなった(CD自体もクラシックのEMIレーベルから出ている)。ドイルはこの作品での鮮烈なデビュー以降、ブラナーの諸作品や、レジス・ヴァルニエ監督の作品等に優れたスコアを提供し、すっかり売れっ子作曲家になったが、この「ヘンリー五世」は依然として彼のベストスコアの1つだと思う。

Patrick Doyle

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勝利への旅立ち Hoosiers (a.k.a. Best Shot)

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by Jerry Goldsmith

(英TER / CDTER 1141)

cover
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ジェリー・ゴールドスミスのベストスコアの1つ。1986年製作。この映画を監督のデヴィッド・アンスポーとゴールドスミスの解説付きで見た時の詳細は「Film Music Seminar in UCLA」をご参照願いたいが、映画・音楽ともに素晴らしい傑作である。出演は、ジーン・ハックマン、バーバラ・ハーシー、デニス・ホッパー、シェブ・ウーリー、ファーン・パーソンズ、ブラッド・ボイル、スティーヴ・ハラー、ブラッド・ロング、デヴィッド・ニードルフ他。脚本は監督の盟友アンジェロ・ピッツォ。撮影はフレッド・マーフィが担当。アメリカ公開時の原題名「Hoosiers」はインディアナ州民のことだが、欧州ではこれが通じないので「Best Shot」という題名で公開された。1951年のインディアナ州の田舎町を舞台に、無名の高校の弱小バスケットボールチームが、新任コーチの強力な指導とリーダーシップにより州大会で優勝するまでを描いた実話に基づく感動作。バスケットボールはインディアナで最もポピュラーなスポーツであり、州大会で優勝することは非常に名誉あることらしい。ゴールドスミスの音楽は、シンセサイザーとオーケストラの組合わせによるダイナミックなスコアで、メインテーマやトレーニングシーン、ゲームシーンでの躍動感溢れるタッチが素晴らしい。インディアナの美しい情景をバックにしたタイトルシーンや、コーチと選手たちの交流を描いたシーンでの静かな音楽も印象的。このスコアのCDは日本とイギリスでリリースされているが、このイギリス盤は上記事情でタイトルが「Best Shot」になっている。音楽とは関係ないが、この映画の中で非常に印象的なセリフがある。ストーリーの中盤で、よそ者のコーチ、ハックマンを追放しようという町民投票が行われるシーンがあり、一旦多数決で彼の追放が決まったところへ、個人的な理由でしばらくプレーすることを拒否していたスター選手が現われ、「そろそろプレーを再開しようと思う」と言って町民が拍手喝采となる。ところが彼は「One condition. Coach stays, I play. He goes, I go」と言って、今度は皆がシーンとなる。つまりコーチを追放するなら俺もプレーしないぞ、という条件を出したわけで、これで彼の首はつながるわけだが、しかし何という簡潔でインパクトのあるセリフだろう(しかも「stay」と「play」が韻を踏んでいる)。こういうセリフは翻訳すると、元の英語のもつ切れ味がなくなってしまうものだ。

Jerry Goldsmith

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白銀に燃えて Iron Will

作曲・指揮:ジョエル・マクニーリー
Composed and Conducted by Joel McNeely

(米Varese Sarabande / VSD-5467)

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★TOWER.JPで購入 

1993年製作。監督はチャールズ・ヘイド。この映画の脚本は、ヒッチコックの「裏窓」を書いたベテラン脚本家ジョン・マイケル・ヘイズによるオリジナルに、ジョルジェ・ミリチェヴィクとジェフ・アーチが更に手を加えて完成稿としたもの(ハリウッドでは「Script Doctor」と呼ばれる影の脚本家がいて、スタジオが「問題あり」と考える脚本に後から色々と手を加えてPolish Upすることがよくある。但し、その場合彼らは通常クレジットされない)。出演は、マッケンジー・アスティン、ケヴィン・スペイシー、デヴィッド・オグデン・スタイアーズ、オーガスト・シェレンバーグ、ブライアン・コックス、ジョージ・ガーデス、ジョン・テリー他。撮影はウィリアム・ウェイジズが担当。第一次大戦中に行われた賞金1万ドルのウィニペッグ=セント・ポール間犬ぞりレースを舞台に、父の残した犬たちと共にレースに挑戦する少年を描いた実話に基づくドラマ。作曲のジョエル・マクニーリーは、この作品以外にも「ゴールド・ディガーズ 伝説の秘宝を追え!」「ターミナル・ベロシティ」「フリッパー」「アベンジャーズ」「ソルジャー」「ヴァイラス」といった映画のスコアを手がけている若手の実力派だが、非常にしっかりとしたオーケストラによるドラマティック・アンダースコアを得意とするわりには、あまり強烈な個性が感じられず、優等生的な無難なスコアを書くといった印象がある。この「白銀に燃えて」は比較的初期に手がけたスコアだが、そんな彼の作品中でも最も情熱とパワーを感じさせる佳作。ディズニー映画にふさわしい軽快なタッチのメインタイトルも良いが、西部劇調の「The Race Begins」や「Race to the Finish」、コープランド的な「Crossing the Line」等の純粋に映画音楽的な響きも良い。ただ、このVareseのCDは収録時間が短くアっという間に終わってしまう。

Joel McNeely

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追跡者 Lawman

作曲・指揮:ジェリー・フィールディング
Composed and Conducted by Jerry Fielding

(米Bay Cities / BCD-LE 4001/02)

「狼よさらば」等で知られるイギリスの職人監督マイケル・ウィナーが1970年に製作したシリアスな西部劇。出演はバート・ランカスター、ロバート・ライアン、リー・J・コッブ、シェリー・ノース、ジョセフ・ワイズマン、ロバート・デュヴァル、ジョン・ベック、ウィルフォード・ブリムリー、J・D・キャノン、リチャード・ジョーダン他。脚本はジェラルド・ウィルソン、撮影はロバート・ペインターが担当。殺人を犯した男(コッブ)を追って見知らぬ町にやってきた保安官(ランカスター)が、町の保安官(ライアン)たちの反対にもかかわらず頑なに法律の遵守を主張し、男を追いつめていく……。音楽は、 「メカニック」「妖精たちの森」「チャトズ・ランド」「(未公開)大いなる眠り」等でもマイケル・ウィナー監督と組んでいるジェリー・フィールディングが担当。彼の書くウエスタン音楽は、エルマー・バーンステインのような明るく豪快なタッチではなく、重厚な「怒り」のこもったストイックなタッチのスコアで、地味ながら極めてドラマティックなものである。1922年生まれのフィールディングは私の大好きな作曲家だが、惜しくも1980年2月17日に心臓発作で亡くなっているため、もはや彼の新作スコアを聴くことはできない。サム・ペキンパー監督やクリント・イーストウッドとのコラボレーションが有名だが、地味な作品が多いせいか、サントラアルバムはあまりリリースされていない。LP時代には、デビュー作の「野望の系列(Advice and Consent)」や、「ワイルドバンチ」「アウトロー」「ガントレット」といったサントラの正規盤の他に、米Citadelレーベルから「追跡者」「メカニック」「わらの犬」「チャトズ・ランド」の4作品を収録した2枚組のコンピレーションや、「妖精たちの森」がプロモーショナル盤としてリリースされていた。CDも大半がプロモーショナル盤で、「チャトズ・ランド」「スコルピオ」「アウトロー」「キラー・エリート」等が限定盤で出ている。この「追跡者」は、米Bay Citiesレーベルが1500枚限定プレスでリリースした2枚組のコンピレーションCDに収録されているが、これは上記Citadelレーベルの2枚組LPの内容に一部追加したもので、「追跡者」から8曲、「メカニック(The Mechanic)」から4曲、「(未公開)大いなる眠り(The Big Sleep)」から組曲(19:25)、「わらの犬(Straw Dogs)」から9曲、「チャトズ・ランド(Chato's Land)」から2曲、「妖精たちの森(The Nightcomers)」から13曲が収録されている。いずれも素晴らしいスコアである。

収録曲は以下の通り。

Disc 1
LAWMAN (1970)
1. Main Title (4:42)
2. Old Family Burial Ground (2:24)
3. Predators (4:09)
4. Branding the Cattle (1:36)
5. In Laura's Room (2:45)
6. Requiem in the Pasture (4:20)
7. Rapidly, Toward Resolution (3:28)
8. Finis (1:20)

THE MECHANIC (1972)
9. Anatomy of the Assassin (9:53)
10. Two Soliloquies (4:31)
11. The Contract in Naples (4:56)
12. Approach, Assault, Pursuit, Conquest (7:20)

THE BIG SLEEP (1978)
13. Suite (19:25)

Disc 2
STRAW DOGS (1971)
1. Prologue (1:45)
2. Dialogues (4:20)
3. Window Display (3:45)
4. The Hunting Party (2:31)
5. The Man Trap (4:14)
6. The Infamous Apassionata (8:33)
7. The Siege Begins (2:28)
8. Coda (2:24)
9. Epilogue (1:46)

CHATO'S LAND (1971)
10. Main Title (4:39)
11. Fruits of the Incursion (3:30)

THE NIGHTCOMERS (1972)
12. Main Title (2:45)
13. Bedtime at Blye House (3:01)
14. Summer Rowing (3:19)
15. Pig Sty (1:36)
16. Pas de Deux (2:23)
17. The Smoking Frog (2:08)
18. The Children's Hour (2:17)
19. Act Two Prelude Myles in the Air (2:24)
20. The Flower Bath (2:21)
21. The Big Swim (3:30)
22. Through the Looking Glass (2:41)
23. Tea in the Tree (1:53)
24. Recapitulation and Postlude (3:26)

= 2005年1月追加 =

この「追跡者」は、2004年に米Intradaレーベルより全16曲(32:31)収録のコンプリート・スコアのCDがリリースされている。

コンプリート・スコア盤(Intrada)のレビュー

Jerry Fielding

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スペースバンパイア Lifeforce

作曲・指揮:ヘンリー・マンシーニ
Composed and Conducted by Henry Mancini

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(仏Milan / CD FMC 256)

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1985年製作のイギリス映画。コリン・ウィルソンの原作小説「Space Vampires」ダン・オバノンとドン・ジャコビーが脚色し、トビー・フーパーが監督したSFホラー。出演はスティーヴ・レイルズバック、マチルダ・メイ、ピーター・ファース、フランク・フィンレイ、パトリック・スチュワート他。撮影はアラン・ヒュームが担当。ハレー彗星と共に地球に接近してきた謎の宇宙船から研究のために地球に持ち帰った生物(メイ)は、人々の精気を吸い取る宇宙の吸血鬼だった。音楽は「ティファニーで朝食を」「ピンクの豹」「酒とバラの日々」「ひまわり」「ハタリ!」「シャレード」「大洋のかなたに」「料理長殿、ご用心」等で有名なベテランのヘンリー・マンシーニ(1924〜1994)。「ティファニーで朝食を」の主題歌「ムーンリバー」等でアカデミー賞を4回受賞(ノミネートは17回)、グラミー賞も20回受賞している(同賞のノミネートはなんと65回)。 上質なユーモアのセンスに満ちた軽妙で洒落た音楽を得意とする作曲家だが、初期の頃のユニバーサルのホラー映画(「大アマゾンの半魚人」「タランチュラの襲撃」等)や、「追跡」「黒い罠」「男の闘い」等、シリアスな映画音楽も手がけており、その中でもこの「スペースバンパイア」の音楽はマンシーニらしからぬ極めて重厚なシンフォニック・スコアだった。彼の後輩にあたるジョン・ウィリアムスやジェリー・ゴールドスミスがスペースものに書いたオーケストラル・スコアを意識しているようにも思えるが、一見武骨なマーチ風のメインテーマも細部の微妙なニュアンスがいかにもマンシーニらしく、全体の印象は実に流麗なのはさすがである。1990年にマンシーニが来日してロイヤル・フィルを指揮した映画音楽コンサートを聴きに行ったことがあるが、その時にもこの「スペースバンパイア」のテーマを演奏していた。自分でもお気に入りの曲だったのだろう。

Henry Mancini

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