フィリップ・サルド=ロバン・ダヴィ監督作品集
BANDES ORIGINALES DES FILMS DE ROBIN DAVIS: MUSIQUE DE PHILIPPE SARDE

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

指揮:ピーター・ナイト、カルロ・サヴィーナ、ビル・バイヤーズ
Conducted by PETER KNIGHT, CARLO SAVINA, BILL BYERS

演奏:パリ管弦楽団(「HORS-LA-LOI」)
Performed by l'Orchestre de Paris

(仏Universal EmArcy / 532 300 0)

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<収録曲>

1. (未公開)最後の標的 LE CHOC (1982)
 ・Choc melody
 ・L'amour
 ・La malle
 ・Symphonie dindon
 ・Solitude
 ・Coup de foudre
 ・Commando Schroeder
 ・Tendresse
 ・Le danger
 ・La joie
 ・L'epopee

2. (未公開)J'AI EPOUS UNE OMBRE (1983)
 ・J'ai epouse une ombre, par Johnny Hallyday
 ・Generique debut
 ・Vignobles
 ・Substitution
 ・Final

3. (未公開)HORS-LA-LOI (1985)
 ・Hors-la-loi
 ・C'est mon village
 ・Le baiser
 ・Les bles
 ・Western

 

「(未公開)最後の標的」(1982)「(TV)暗黒の戦士/ハイランダー 超空編」(1992)「(TV)ポンパドール夫人」(2006)等の監督作が日本でもテレビ放映されているフランスの監督ロバン・ダヴィ(1943〜)と、フィリップ・サルドとのコラボレーション作品を集めたコンピレーション。

1. (未公開)最後の標的 LE CHOC

1982年製作のフランス映画(英語題名は「CONTRACT IN BLOOD」/日本では劇場未公開でビデオ発売・テレビ放映済/テレビ放映時タイトルは「必殺ビッグガン/最後の標的」)。出演はアラン・ドロン、カトリーヌ・ドヌーヴ、フィリップ・レオタール、エチエンヌ・シコ、ジャン=ルイ・リシャール、カトリーヌ・ルプランス、フランソワ・ペロー、フェオドール・アトキン、ステファーヌ・オードラン他。ジャン=パトリック・マンシェットの原作『La position du tireur couche』を基にロバン・ダヴィ、アラン・ドロン、ドミニク・ロベレとクロード・ヴェイヨーが脚本を執筆。撮影はピエール=ウィリアム・グレン。凄腕の殺し屋マルタン・テリエ(ドロン)は、組織を抜け引退を考えているが、彼のボスはそれを許さず、殺し屋たちを差し向ける……。サルドのスコアは、「Choc melody」が、ウェイン・ショーターのサックス・ソロをフィーチャーした、明るく軽快なイントロからマーチ風のストイックな主題へと展開するメインタイトル。「L'amour」は、サックスとストリングスによるジェントルでどこか懐かしいタッチのラヴ・テーマ。「La malle」「Solitude」「Le danger」は、メインの主題のバリエーション。「Symphonie dindon」「Tendresse」「La joie」「L'epopee」は、ラヴ・テーマのバリエーション。「La folie」は、ミステリアスなタッチ。「Coup de foudre」は、ジェントルでリリカルな曲。「Commando Schroeder」は、アップビートでダイナミックな曲。オーケストレーションと指揮をピーター・ナイトが担当。サルドはこのスコアの主題をマーシャル・ブリックマン監督の「(未公開)マンハッタン・プロジェクト」(1986)でも流用している(米Varese Sarabandeレーベルの「(未公開)SISTER MARY EXPLAINS IT ALL」のサントラCDに収録されている)。

2. (未公開)J'AI EPOUS UNE OMBRE

1983年製作のフランス映画(英語題名は「I MARRIED A DEAD MAN」)。出演はナタリー・バイ、フランシス・ユステール、リシャール・ボーランジェ、マデレーヌ・ロバンソン、ギイ・トレジャン、ヴィクトリア・アブリル、ヴェロニク・ジェネ、モーリス・ジャックモン、ソレン・ジャルニウー他。「幻の女」(1944)「(未公開)タイムリミット25時」(1946)「夜は千の眼を持つ」(1947)「裏窓」(1954)「黒衣の花嫁」(1968)「暗くなるまでこの恋を」(1969)等の原作で知られるウィリアム・アイリッシュ(aka コーネル・ウールリッチ/1903〜1968)の小説『死者との結婚』を基にパトリック・ローランが脚本を執筆。撮影はベルナール・ジツェルマン。粗暴な夫フランク(ボーランジェ)に捨てられたエレーヌ(バイ)は、お腹の中に赤ん坊を抱えて当てもなくボルドー行きの列車に乗るが、その列車が転覆事故を起こしてしまう。病院で目を覚ましたエレーヌは、車内で知り合った若夫婦の妻パトリシア(ジェネ)と間違われる。パトリシアは夫のメイランと一緒に彼の裕福な家族に初めて会いに行くところだったが、夫婦は事故で死んでしまう。無一文で何の未来もなかったエレーヌはパトリシアに成りすまし、未亡人としてメイラン家に受け入れられるが……。同じ原作が日本でも1960年に「死者との結婚」(監督:高橋 治/出演:小山明子、渡辺文雄、他)として映画化されている。サルドのスコアは、「J'ai epouse une ombre」が、ジョニー・アリデイ(当時ナタリー・バイと同棲していた)のパッショネートなヴォーカルによるドラマティックな主題歌(作詞はジャン=ルー・ダバディー)。「Generique debut」は、クラシカルでスリリングなタッチのメインタイトル。「Vignobles」は、スパニッシュ・フレーバーを帯びたストイックな曲。「Substitution」は、ジェントルなタッチ。「Final」は、メランコリックな主題によるフィナーレ。ヴァイオリン・ソロはマイケル・デイヴィス、オーケストラの指揮はカルロ・サヴィーナとピーター・ナイトが担当。

3. (未公開)HORS-LA-LOI

1985年製作のフランス映画(英語題名は「OUTLAWS」)。出演はクロヴィ・コルニヤック、ワデック・スタンクザック、ナタリー・スピルモン、イザベル・パスコ、パスカル・リブリッツィ、ジャン=クロード・トラン、ジョエル・フェラティ、フィリップ・シャンボン、ステヴァン・ロンソー他。脚本はパトリック・ローラン、ドニミク・ロベレとロバン・ダヴィ。撮影はジャック・ステイン。拘留施設から脱走し、逃亡生活を続けながら犯罪に手を染めていく非行少年たちを描いたドラマ。サルドのスコアは、「Hors-la-loi」が、ドン・ブルックスのハーモニカ・ソロをフィーチャーしたストイックでクールなメインタイトル。「C'est mon village」は、バンジョーとハーモニカをフィーチャーしたカントリーウェスタン調の軽快な曲。「Le baiser」は、ピアノとストリングスによるリリカルでややメランコリックな曲。「Les bles」は、サスペンス調から後半はアップビートなカントリー調に展開。「Western」も、ストイックな主題からカントリー調に。監督のダヴィはジョン・ブアマン監督の「脱出」に影響を受けてこの映画を作ったらしく、サルドは「脱出」のスコアでバンジョーを演奏したエリック・ワイスバーグをこのスコアでも起用している。オーケストレーションと指揮はビル・バイヤーズが担当。

(2010年1月)

Philippe Sarde

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