サイコ2 PSYCHO II
作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY
GOLDSMITH
(米Intrada / Intrada Special Collection Vol.273)
1983年製作のアメリカ映画。監督は「(未公開)パトリック」(1978)「(未公開)ロードゲーム」(1981)「(未公開)ビデオゲームを探せ!」(1984)「リンク」(1986)「F/X2
イリュージョンの逆転」(1991)「(TV)ザ・ロストワールド/失われた恐竜王国」(1998)「(未公開)ゴーストアビス」(2003)等のリチャード・フランクリン(1948〜2007)。出演はアンソニー・パーキンス、ヴェラ・マイルズ、メグ・ティリー、ロバート・ロッジア、デニス・フランツ、ヒュー・ギリン、クローディア・ブライアー、ロバート・アラン・ブラウン、ベン・ハーティガン、リー・ガーリントン、ティム・メイアー、ジム・キャロル、クリス・ヘンドリー、マイケル・ロマゾウ、トム・ホランド他。脚本は「フライトナイト」(1985)「チャイルド・プレイ」(1988)「スティーヴン・キング/痩せゆく男」(1996)といったホラー映画の監督・脚本を手がけているトム・ホランド(1943〜)。撮影はディーン・カンディ。ロバート・ブロック(1917〜1994)の原作をアルフレッド・ヒッチコック監督が映画化した傑作「サイコ」(1960)から23年を経て製作された続編。前作で助監督だったヒルトン・A・グリーンがプロデューサーを務めている。前作で起こした事件で精神疾患の患者として病院に収容されていたノーマン・ベイツ(パーキンス)は、病気が治癒したとして、主治医のビル・レイモンド(ロッジア)とともに自宅に戻ってくる。レイモンドの尽力で近くの町フェアヴェイルのダイナーで働くことになったノーマンは、若いウェイトレスのメアリー(ティリー)と親しくなる。かつてノーマンが経営していたベイツ・モーテルは、病院から委託されたウォーレン・トゥーミー(フランツ)が管理していたが、モーテルの部屋にマリファナの吸殻を見つけたノーマンは、トゥーミーをクビにしてしまう。ノーマンはダイナーを辞めてモーテルの経営に専念することにしたが、何者かによってトゥーミーが惨殺される……。前作でノーマンに殺害されたマリオン・クレインの妹ライラを演じていたヴェラ・マイルズが、同じ役で出演している。ロバート・ブロックは、この映画とは全く異なるストーリー(ノーマンが病院から脱走してハリウッドに行き、彼自身を題材にしたスラッシャー映画の製作を阻止しようとする話)の続編小説を1982年に執筆しており、日本でも創元推理文庫から『サイコ2』として出版されていた。
音楽は「リンク」(1986)でもリチャード・フランクリン監督と組んでいるジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)。冒頭の「The
Murder」は、前作でジャネット・リー扮するマリオンがシャワーで殺害される有名なシーンでのバーナード・ハーマン(1911〜1975)作曲のスコアを再現。続く「Psycho
II - Main
Title」は、ショッキングなイントロからメランコリックなタッチのピアノによるノーマンの主題へと展開するメインタイトル。精神疾患を克服しようとするノーマンへの共感を込めたジェントルで美しい主題で、この主題は「The
House」「Mother's Hand」「Mother's Room」「Mother's Room #2」「Don't Take Me」「Expected
Guest」等でも登場する。「Old Weapons」「No Note」「The Peep Hole」「Toomy's
Death」「New Furniture」「It's Starting Again」「She's Not Dead」「The
Cellar」等は、ゴールドスミスが得意とするハイテンションなサスペンス音楽。「Cheese Sandwich」「Out to
Lunch」「Basement Killing」「Blood
Bath」は、シンセサイザーを織り込んだ不気味なタッチのホラー音楽。「Hello
Mother」は、ドラマティックなタッチ。「It's Not Your
Mother」は、サスペンス音楽から後半ビジーなアクション音楽へ展開。ラストの「Psycho II - End Title
(Revised)」は、ノーマンの主題のリプライズによるエンドタイトル。最後にエクストラトラックとして、ベートーヴェンのピアノソナタのソース曲や、エンドタイトルの代替バージョン等6曲を収録。
このスコアは公開当時に米MCAレーベルから30分の音楽を収録したサントラLPがリリースされており、その後同じ内容が米Varese
SarabandeレーベルでCD化されていたが、今回の米IntradaレーベルのCDは74分以上を収録したコンプリートスコアの初リリースで、限定プレス。
(2014年6月)
Jerry Goldsmith
Soundtrack
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