死にゆく者への祈り A PRAYER FOR THE DYING
作曲・指揮:ビル・コンティ
Composed and Conducted
by
BILL CONTI
(スペインQuartet Records / QR162)
1987年製作のイギリス映画(日本公開は1989年1月)。監督は「狙撃者」(1971)「電子頭脳人間」(1974)「フラッシュ・ゴードン」(1980)「ブラック・レインボウ」(1989)「(未公開)ブラザー・ハート」(2004)等のマイク・ホッジス(1932〜)。出演はミッキー・ローク、ボブ・ホスキンス、アラン・ベイツ、サミ・デイヴィス、クリストファー・フルフォード、リーアム・ニーソン、レオナード・ターモ、カミーユ・コドゥリ、モーリス・オコンネル、アリソン・ドゥーディ、カール・ジョンソン、イアン・バーソロミュー、ペギー・アイッチソン、クリフ・バーネット、アンソニー・ヘッド他。「鷲は舞いおりた」(1976)「(TV)ナイト・オブ・ザ・フォックス」(1990)「(TV)密約の地」(1995)「(TV)嵐の眼」(1995)「(TV)サンダーポイント」(1997)等のイギリスの冒険小説作家ジャック・ヒギンズの原作を基にエドモンド・ワードとマーティン・リンチが脚本を執筆。撮影はマイク・ガーファス。アイルランド共和国軍(IRA)の兵士マーティン・ファロン(ローク)は、誤って子供たちの乗ったスクールバスを爆破してしまったことから罪の意識にさいなまれ、以後事件の容疑者として警察や軍、そしてIRAの仲間たちからも追われる身となる。表向きは葬儀屋で実はギャングのボスであるジャック・ミーアン(ベイツ)から、国外脱出のパスポートと引き換えに敵対するボスの暗殺を依頼されたファロンは、依頼どおり相手を射殺するが、その現場をマイケル・ダ・コスタ神父(ホスキンス)に目撃されてしまう。神父を殺すことなくその口を封じるために、懺悔の内容を誰にも漏らしてはならないというカトリックの掟を逆手にとったファロンは、教会の懺悔室で神父に殺人の罪を告白する……。当初はアラン・ベイツが神父、ボブ・ホスキンスがギャングのボスにキャストされていたが、監督のホッジスが役柄を交代させたという。「96時間」シリーズのリーアム・ニーソンと「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」のアリソン・ドゥーディ(いずれもアイルランド出身)がIRAでのかつてのファロンの仲間を演じている。
音楽はビル・コンティ。「Main
Titles」は、トラジックでドラマティックなイントロからオーケストラにペニー・ホイッスル、ハープ、ダルシマーをフィーチャーしたメランコリックかつストイックなメインの主題へと展開するメインタイトル。「The
Raid」は、口琴(Jew's Harp)をフィーチャーしたダイナミックなサスペンス音楽。「Graveside
Hit」は、メインの主題のバリエーションから後半サスペンス音楽へ。「Martin Waits / Martin's
Confession / Billy &
Jenny」は、メランコリックな主題からサスペンス音楽へ展開。「Malachi's
Meeting」は、メランコリックでストイックなタッチ。「Martin Meets Anna / Meehan the
Malevolent」「Meehan at Church」「Meehan Gets Anna / The
Boat」は、ダークなサスペンス音楽。「Trashing the Church / Da Costa's Agony /
Message for Martin」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「It's All Right
Malachi / Malachi's Murder」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Martin &
Anna」は、メインの主題のドラマティックなアレンジメントから後半フルートによるジェントルでリリカルなラヴ・テーマへ。「Billy
Goes Away」は、サスペンス音楽から後半メインの主題へ。「Martin & Meehan / Martin on
the Cross」は、クライマックスのダイナミックなサスペンスアクション音楽でラストはドラマティックに盛り上がる。「End
Credits」は、メインの主題からジェントルなラヴ・テーマへと展開するエンドクレジット。孤高の主人公を描写したストイックでドラマティックなタッチが秀逸なスコア。
この映画は当初イギリス人の作曲家ジョン・スコットが音楽を担当したが、彼のスコアが地味すぎてアメリカの観客に受けないと考えたプロデューサーのサミュエル・ゴールドウィン・Jrが、よりエモーショナルなスコアをつけるためにアメリカ人のビル・コンティに作曲をアサインしたもの。このジョン・スコットによるリジェクテッド・スコア(こちらも傑作)は彼自身のレーベルJOS
Recordsから1989年にCDがリリースされている(英JOS Records / JSCD
102)。また、コンティのスコアは過去にアメリカで11曲収録の海賊盤CDが出ていたが、このQuartetレーベルのCDは正規盤の初リリースで、1000枚限定プレス。
(2014年12月)
Bill Conti
Soundtrack
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