オリエント急行殺人事件 MURDER ON THE ORIENT EXPRESS

作曲:パトリック・ドイル
Composed by PATRICK DOYLE

指揮:ジェームズ・シャーマン
Conducted by JAMES SHEARMAN

(米Sony Classical / 88985466342)

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2017年製作のアメリカ=イギリス=マルタ=カナダ合作映画。監督は「ヘンリー五世」(1989)「フランケンシュタイン」(1994)「ハムレット」(1996)「スルース」(2007)「マイティ・ソー」(2011)「エージェント:ライアン」(2014)「シンデレラ」(2015)等のケネス・ブラナー(1960〜)で、彼自身が主人公のベルギー人名探偵エルキュール・ポワロを演じている。共演はトム・ベイトマン、ペネロペ・クルス、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ、ジョニー・デップ、ジョシュ・ギャッド、デレク・ジャコビ、レスリー・オドム・Jr、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、マーワン・ケンザリ、オリヴィア・コールマン、ルーシー・ボーイントン、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、セルゲイ・ポルーニン他。「情婦」(1957)「そして誰もいなくなった」(1974)「ナイル殺人事件」(1978)「クリスタル殺人事件」(1980)「地中海殺人事件」(1982)「ドーバー海峡殺人事件」(1984)「死海殺人事件」(1988)等、多数の映画化・テレビドラマ化作品があるイギリスのミステリ作家アガサ・クリスティ(1890〜1976)の代表作の1つ『オリエント急行殺人事件』を基に「グリーン・ランタン」(2011)「LOGAN/ローガン」(2017)「ブレードランナー 2049」(2017)等のマイケル・グリーンが脚本を執筆。撮影はハリス・ザンバーラウコス。イスタンブールからパリ経由でカレーに向かう大陸横断国際列車オリエント急行を舞台に、密室の車内で起きた殺人事件を巡って、容疑者である乗客全員にアリバイがあるという難事件に挑む名探偵エルキュール・ポアロの活躍を描く。同じ原作が「オリエント急行殺人事件」(1974/監督:シドニー・ルメット、主演:アルバート・フィニー)、「(TV)オリエント急行殺人事件 〜死の片道切符〜」(2001/監督:カール・シェンケル、主演:アルフレッド・モリーナ)として映像化されている他、デヴィッド・スーシェがポワロを演じたイギリスのテレビシリーズの1篇としても2010年にドラマ化されている。ケネス・ブラナー演じるポワロは原作のイメージよりも立派で颯爽としており、アクションシーンまであるが、共演者の豪華さではジャクリーン・ビセット、アンソニー・パーキンス、ローレン・バコール、イングリッド・バーグマン、ショーン・コネリー、リチャード・ウィドマーク、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ジョン・ギールグッド等が名前を連ねた1974年のルメット監督版には及ばないし、作品自体の出来も見劣りする。

1974年版にはリチャード・ロドニー・ベネット(1936〜2012)が見事なスコアを作曲していたが、この2017年版のスコアはケネス・ブラナー監督作品の常連作曲家であるパトリック・ドイル(1953〜)。「The Wailing Wall」は、アラビックなタッチのダイナミックな舞踏音楽風の曲。「Jaffa to Stamboul」は、ジェントルで幻想的なタッチ。「Arrival」は、明るく躍動的な曲。「The Orient Express」「Departure」も、ドラマティックで躍動的。「Judgement」「Geography」は、ミステリアスでメランコリックな曲。「Touch Nothing Else」は、抑制されたサスペンス音楽。「MacQueen」「Twelve Stab Wounds」「One Sharp Knife」は、ダークでミステリアスな曲。「The Armstrong Case」は、ピアノとストリングスによるジェントルでリリカルな曲。「Mrs. Hubbard」は、躍動的なハバード夫人(ファイファー)の主題。「This is True」「True Identity」「It Is Time」は、静かにドラマティックな曲。「Keep Everyone Inside」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「Confession」「Ma Katherine」は、メランコリックなタッチ。「Dr. Arbuthnot」は、サスペンス調からダイナミックなアクション音楽へ。「Justice」は、ピアノとストリングスによるジェントルでドラマティックな曲。「Poirot」は、ジャズ風のピアノ・ソロによるミステリアスなポワロの主題。「Never Forget」は、エンドクレジットで流れるミシェル・ファイファーのヴォーカルによる挿入歌で、作詞はケネス・ブラナー、作曲はドイル。最後は組曲「Orient Express Suite」で締めくくる。ピアノ・ソロはパトリック・ドイルとデイヴ・アーチ、チェロ・ソロはリチャード・ハーウッドの演奏。
(2017年12月)

Patrick Doyle

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