ラスト・キャッスル THE LAST CASTLE

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 451)

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2001年製作のアメリカ映画(日本公開は2002年11月)。監督は「ザ・コンテンダー」(2000)「(未公開)サミュエル・L・ジャクソン in ザ・チャンプ 伝説のファイター」(2007)「(未公開)ザ・クリミナル 合衆国の陰謀」(2008)「(未公開)わらの犬」(2011)等のロッド・ルーリー(1962〜)。出演はロバート・レッドフォード、ジェームズ・ガンドルフィーニ、マーク・ルファロ、スティーヴ・バートン、デルロイ・リンドー、ポール・カルデロン、サミュエル・ボール、ジェレミー・チャイルズ、クリフトン・コリンズ・Jr、ジョージ・W・スコット、ブライアン・グッドマン、マイケル・アービー、フランク・ミリタリー、モーリス・ブラード、ニック・コキッチ他。デヴィッド・スカルパの原案を基にデヴィッド・スカルパとグレアム・ヨストが脚本を執筆。撮影はシェリー・ジョンソン。輝かしい戦歴を誇るユージーン・アーウィン陸軍中将(レッドフォード)は、軍法会議にかけられて部下を失った罪を認め、軍刑務所に収監される。そこでは刑務所長ウインター大佐(ガンドルフィーニ)が囚人達を虫けらのように扱う非人道的な管理が行われていた。アーウィンもそれまでの地位や名誉を剥奪され、一兵卒と同様の扱いを受ける。そして、ある悲劇をきっかけに、囚人たちはアーウィンの指揮のもとに一致団結して立ち上がる決意を固める……。製作費は約7200万ドル、全世界興行収入は約2764万ドル。本作のアメリカ公開(2001年10月19日)1カ月ほど前の9月11日に、アメリカ同時多発テロが発生したため、当初の逆さまに掲揚されたアメリカ国旗(危機が迫っているときの救難信号を意味する)の宣伝用メインヴィジュアルは変更された。

音楽はジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)。このスコアは公開当時の2001年に米Deccaレーベルが全13曲/約43分収録のサントラCD(Decca 440 016 193-2)をリリースしているが、このIntradaレーベルのCDは2枚組(全46曲/約139分)で、1枚目にコンプリートスコアとエクストラ・トラック、2枚目に劇中で流れたクラシック音楽と上記Decca盤の内容(リマスター済)を収録。限定プレス。

CD1枚目の冒頭「The Castle」は、静かにダークなタッチのイントロから、マルコム・マクナブのトランペット・ソロによる荘厳なメインの主題へと展開する曲。「Irwin Arrives」は、メインの主題からスリリングなタッチへ展開。「The Cell Block」「My Turn」「The Dog Tags」「Fading Away」「Military Justice」等も、メインの主題のバリエーション。「Rain」は、ジェントルなタッチの曲。「The Rock Pile」は、静かにドラマティックな主題から、後半はアーロン・コープランド的なヒロイックかつダイナミックなファンファーレへ。「My Mission (Original)」は、メインの主題から後半ダイナミックなタッチへ。「No Wall」は、不気味なサスペンス音楽。「Let's Go Ladies」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「The Salute」は、メインの主題からジェントルなタッチへ。「Winter's Report」は、サスペンス音楽からファンファーレ風の主題へ。「Full Alert」は、静かなイントロからメインの主題を織り込んだミリタリスティックでダイナミックなサスペンス音楽へ展開。「The Count Down / Hold Them」「Taking Command」は、ゴールドスミスの個性が出たダイナミックなサスペンス音楽。「Battle for the Castle」は、ダイナミックでビジーなアクション音楽で、作曲はスコアのオーケストレーションも担当しているマーク・マッケンジー「Fall In」は、ヒロイックなファンファーレ。「The Flag (Revised No. 2)」は、ダークなタッチのイントロからサスペンス音楽、メインの主題へ展開。「September 11, 2001 Theme from The Last Castle」は、メインの主題のリプライズで、上述した事情から“2001年9月11日”とのタイトルが付けられている。最後にエクストラとして、代替テイク等5曲を収録。

「危険な道」(1965)「脱走特急」(1965)「ブルー・マックス」(1966)「パットン大戦車軍団」(1970)「トラ・トラ・トラ!」(1970)「マッカーサー」(1977)といった戦争映画のスコアを多数作曲しているゴールドスミスが、ミリタリーのジャンルでキャリアの最後に手がけた、重厚かつ荘厳なオーケストラル・スコア。

CD2枚目の前半には、劇中でウインター大佐が聴く以下のクラシック音楽を収録(監修とオーケストラの指揮はジェリー・ゴールドスミス、ピアノの演奏はマイク・ラング)。

「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲 交響曲第40番ト短調 K. 550 第2楽章 アンダンテ(Wolfgang Amadeus Mozart Symphony No. 40 In G Minor, K. 550 Movement II, Andante)」
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲 ピアノソナタ ハ長調 K. 545 第2楽章 アンダンテ(Wolfgang Amadeus Mozart Piano Sonata In C Major, K. 545 Movement II, Andante)」
「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲 ピアノソナタ 変ロ長調 K. 570 第3楽章 アレグレット(Wolfgang Amadeus Mozart Piano Sonata In B-Flat Major, K. 570 Movement III, Allegretto)」
「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲 ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 第3変奏(Johann Sebastian Bach Goldberg Variations, BWV 988, Variation 3)」
「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲 ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 第7変奏 ロング版(Johann Sebastian Bach Goldberg Variations, BWV 988, Variation 7 Long)」
「ヨハン・ゼバスティアン・バッハ作曲 ゴルトベルク変奏曲 BWV 988 第7変奏 ショート版(Johann Sebastian Bach Goldberg Variations, BWV 988, Variation 7 Short)」
「アントニオ・サリエリ作曲 オーボエ、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ニ長調 第1楽章(Antonio Salieri Concerto For Oboe, Violin, Cello And Orchestra In D Major Movement 1)」

(2020年12月)

Jerry Goldsmith

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