ダンケルク WEEK-END À ZUYDCOOTE
作曲・指揮:モーリス・ジャール
Composed and Conducted by MAURICE JARRE
(仏Music Box Records /
MBR-194)
1964年製作のフランス=イタリア合作映画(英語題名は「WEEKEND AT
DUNKIRK」/日本公開は1965年1月)。監督は「地下室のメロディー」(1963)「25時」(1967)「シシリアン」(1969)「華麗なる大泥棒」(1971)「恐怖に襲われた街」(1975)「追悼のメロディ」(1976)等のアンリ・ヴェルヌイユ(1920〜2002)。主演は本年9月6日に88歳で亡くなったジャン=ポール・ベルモンド。共演はカトリーヌ・スパーク、ジョルジュ・ジュレ、ジャン=ピエール・マリエル、ピエール・モンディ、マリー・デュボワ、クリスチャン・バルビエ、フランソワ・ゲラン、ケネス・ヘイ、ロナルド・ハワード、ジャン=ポール・ルーシヨン、アルベール・レミー、ナイジェル・ストック、ピエール・ヴェルニエ、フランソワ・ペリエ他。ロベール・メルル作のゴンクール賞受賞小説『Week-end
à Zuydcoote』を基にフランソワ・ボワイエが脚本を執筆。撮影はアンリ・ドカエ。第二次大戦中の1940年6月。フランス北部ダンケルクに近いジュイコット海岸で、ジュリアン・マイヤ曹長(ベルモンド)は、アレクサンドル(ペリエ)、デリー(モンディ)、ピエルソン(メリエル)たち戦友と野営していた。本国に撤退するイギリス軍はドーヴァー海峡を渡り始めていたが、フランス兵の乗船は拒否しているとのことだった。マイヤは水を求めて入った家でジャンヌ(スパーク)という娘に会う。彼はイギリス軍将校の許可を得てイギリス兵と一緒に貨物船に乗りこむが、船は弾を受けて炎上し、マイヤは海に飛び込んで火傷した兵士を助けながら海岸まで泳ぎつくが……。製作費は約1000万フラン。同じダンケルクでの戦いをクリストファー・ノーラン監督が映画化した「ダンケルク(DUNKIRK)」が2017年に製作されている(この映画のリメイクではない)。
音楽はアンリ・ヴェルヌイユ監督と「(未公開)Le
président」(1961)でも組んでいるモーリス・ジャール(1924〜2009)。このスコアは公開当時の1964年にフランスのBarclayレーベルから4曲入りのEPレコード(Barclay
70.737)が出ており、日本のSeven Seasレーベル等からもEP盤が出ていたが、このMusic
Boxレーベルが2021年6月にリリースしたCDは全26曲/約41分を収録したエクスパンデッド盤で、3000枚限定プレス。
「Générique」は、ジェントルなワルツ調の主題からダイナミックなタッチへと展開するメインタイトル。「Face au
lieutenant」「La môme」「Les rescapés」「Maillat sauve Jeanne」「La promesse」「Mort de
Maillat」は、メランコリックなタッチの曲。「Les dunes」「Hélène et John」「Dimanche
matin」は、ドラマティックな曲。「La Marseillaise」は、“ラ・マルセイエーズ”(フランス国歌)のジャールによるアレンジメント。「Hôpital
de fortune」「Dhéry et Alexandre」は、静かにドラマティックな曲。「Sergent Maillat」は、ダイナミックでドラマティックなタッチから後半メインのマーチの主題へ。「Embarcation
Office」は、マーチの主題を織り込んだ静かにドラマティックな曲。「Dans la maison」は、抑制されたサスペンス音楽。「Capitaine
Clark」は、ドラマティックで躍動的な曲。「Troupes anglaises」は、このスコアのメインの主題であるマーチで、ジャールらしい明るく快活なタッチの曲。「Embarquement」は、パーカッシヴかつ重厚でドラマティックな曲。「À
bord」は、ハーモニカによるマーチの主題。「Retour à la ville」は、ドラマティックなタッチからリリカルなピアノによる主題へ。「Jeanne
et Maillat」は、ピアノ・ソロをフィーチャーしたメランコリックな曲。「Maillat attend Jeanne」は、ダイナミックでドラマティックな曲。「Marche
militaire」は、短いファンファーレ。「Dimanche soir」は、短いスティンガー。「Final」は、メインのマーチの主題によるフィナーレ。
モーリス・ジャールはこの作品の2年前にノルマンディ上陸作戦を描いた戦争映画大作「史上最大の作戦(THE
LONGEST DAY)」(1962)のスコアも手がけている。
(2021年9月)
Maurice Jarre
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