(未公開)ALLONS Z'ENFANTS
(未公開)L'HONNEUR D'UN
CAPITAINE
ラ・メゾン/惨劇の館 LA MAISON ASSASSINÉE
作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE
指揮:ピーター・ナイト
Conducted by PETER KNIGHT (ALLONS Z'ENFANTS, L'HONNEUR D'UN CAPITAINE)
演奏:ロンドン交響楽団、パリ管弦楽団
Performed by the London Symphony Orchestra (ALLONS Z'ENFANTS), L'Orchestre de
Paris (LA MAISON ASSASSINÉE)
(仏Music Box Records /
MBR-190)
フィリップ・サルド(1948〜)が1980年代にスコアを作曲した3作品を集めたコンピレーション。500枚限定プレス。
「ラ・メゾン/惨劇の館(LA MAISON ASSASSINÉE)」は、1988年製作のフランス映画(日本公開は1990年12月/英語題名は「THE
MURDERED HOUSE」)。監督は「チェイサー」(1978)「警部」(1978)「(未公開)ジャン=ポール・ベルモンドの道化師/ドロボー・ピエロ」(1980)「(未公開)プロフェッショナル」(1981)「ウエディングベル/Mr.レディMr.マダム3」(1986)「レプスキー絶体絶命/その男凶暴につき」(1989)等のジョルジュ・ロートネル(1926〜2013)。出演はパトリック・ブリュエル、アンヌ・ブロシェ、アニエス・ブランショ、アングリ・エルド、ヤン・コレット、ジャン=ピエール・サンティエ、ロジェ・ジャンドリー、クリスチャン・バルビエ、マルティーヌ・サルセイ、マリア・メリコ、クロード・エヴラール、アンドレ・ルーイエ、ジェラール・カイヨー、ジェニー・クレヴ、イヴ・ヴァンサン他。ピエール・マニャンの原作を基にジョルジュ・ロートネル、ジャッキー・キュキエとディディエ・ヴァン・カウウィラールが脚本を執筆。撮影はイヴ・ロダレック。1920年、天涯孤独のセラファン・モンジュ(ブリュエル)は、第一次大戦の兵役を終えてプロヴァンス地方の故郷へ戻って来たが、そこで彼は初めて自分の出生時の秘密を知る。24年前、何者かによって一家5人が惨殺される事件が起き、その時奇跡的に救出されたのが幼少のセラファンだった。彼は廃墟となった事件の館を訪れ、犯人への復讐を誓う。やがて村で怪事故が起こりはじめ、多くの者が変死する。村人たちは24年前の呪いを恐れるが……。
フィリップ・サルドのスコアは「La
maison assassinée」が、ダークで不吉なサスペンス調から静かにドラマティックなタッチへ展開する曲。「Le
retour de Séraphin」は、ややおどけたタッチからジェントルな主題へ。「Dénouement et final」は、ジェントルなタッチからオルガンをフィーチャーした不吉でドラマティックな主題へ。リッチでドラマティックなタッチのスコア。オーケストレーションはビリー・バイヤーズ。ロジェ・ベルティエ指揮によるパリ管弦楽団の演奏。
このスコアは、2011年に仏Universalレーベルがリリースしたサルドとロートネル監督のコラボレーション作品のコンピレーションCD(Universal
EmArcy 276 979 0)に同じ3曲が収録されていた。
「(未公開)ALLONS Z'ENFANTS」は、1981年製作のフランス映画。監督は「汚れた刑事」(1970)「(未公開)ミュウ・ミュウの女刑事」(1979)「(未公開)バトルランナー2030」(1983)「(未公開)狼獣たちの熱い日」(1983)「(未公開)ハイジャック・アロー」(1999)等のイヴ・ボワッセ(1939〜)。出演はリュカ・ベルヴォー、ジャン・カルメ、ジャン=ピエール・オーモン、ジャン=フランソワ・ステヴナン、ジャック・ドゥニ、イヴ・コットン、ダニエル・メギッシュ、ジャン=ポル・デュボワ、ジャン=クロード・ドレイフ、ジャン=マルク・チボー、ジャン=ピエール・カルフォン、セルジュ・モアティ、ジャック・ザネッティ、ジャック・ドゥバリー、ロジェ・リファール他。イヴ・ジボーの原作を基にイヴ・ボワッセとジャック・キルスネールが脚本を執筆。撮影はピエール=ウィリアム・グレン。1932年のフランス。反暴力主義の知的な若者シモン(ベルヴォー)は、父(カルメ)によって強制的に軍隊学校に入れられてしまい、在学中に上官や先輩から執拗な虐待を受ける。ようやく卒業の日がやって来るが、その前日に第二次大戦が勃発し、シモンはドイツ軍との戦闘の最前線に送り込まれる……。
フィリップ・サルドのスコアは「Ouverture」が、大らかなメインの主題による序曲で、このメインの主題がスコア全体を通して様々なアレンジメントで登場する。「Fuite
vers Paris」「Allons z'enfants」は、荘厳でヒロイックな曲。「Marche sous la
neige」は、静かに荘厳な曲。「Les vendanges」は、大らかで流麗な曲。「Exercices」「Départ
au front」は、ミリタリスティックなマーチで、サルドはこの主題を1984年の「フォート・サガン」でも流用していた。「Vertige」「Sous
la mitraille」は、抑制されたサスペンス音楽。「À l'ouest rien de
nouveau」「L'amitié」は、ジェントルな曲。「La religieuse」は、サックスをフィーチャーしたややメランコリックなタッチ。「Mobilisation
générale」「La mort」は、ドラマティックなタッチ。「Générique de fin」は、メインの主題によるエンドタイトル。荘厳で大らかなスコア。オーケストレーションとオーケストラ(ロンドン交響楽団)の指揮はピーター・ナイト。
このスコアは、2003年に仏Universalレーベルがリリースしたサルドとボワッセ監督とのコラボレーション作品のコンピレーションCD(Universal
France 038 565-2)に約7分の組曲が収録されていたが、ここでは全15曲/約24分を収録。
「(未公開)L'HONNEUR D'UN CAPITAINE」は、1982年製作のフランス映画(英語題名は「A
CAPTAIN'S HONOR」)。監督は「愛と戦火の大地」(1992)等のピエール・シェンデルフェール(1928〜2012)。出演はジャック・ペラン、ニコール・ガルシア、シャルル・デネール、ジョルジュ・ウィルソン、クロード・ジャド、ロベール・エチヴェリー、ジョルジュ・マルシャル、ジャン・ヴィニー、ジャン=フランソワ・ポロン、ユベール・ジニュー、シリル・バルブ、アラン・バスティアン=ティリー、エリック・ボージン、パトリック・ボージン、ピエール・ベロ他。脚本はピエール・シェンデルフェール、ジャン=フランソワ・ショーヴェルとダニエル・ヨネ。撮影はベルナール・リュティック。テレビの討論会でポーレ教授(ヴィニー)は、アルジェリア戦争(フランス支配に対するアルジェリアの独立戦争)時の1957年に戦死したカロン大尉(ペラン)が、地上部隊を指揮していた際に拷問を行っていたと非難する。カロン大尉の未亡人パトリシア(ガルシア)は、名誉棄損で教授を訴え、大尉の最後の2週間における日々の行動について調査が開始された……。
フィリップ・サルドのスコアは「Déclamation」が、メランコリックなタッチのヴァイオリン・ソロから荘厳なコーラスを加えたダークで重厚な主題へと展開。「Mémoire」は、静かにドラマティックな曲。「Réquisitoire」は、不安なタッチのピアノをフィーチャーした曲。「Révolte」は、コーラスを加えたドラマティックな曲。「Témoignage」「Réhabilitation」は、メランコリックなタッチのヴァイオリン・ソロをフィーチャーしたドラマティックな曲。「Plaidoyer」は、ヴァイオリン・ソロとコーラスによるダークなタッチの曲。内省的なタッチの繊細なスコア。オーケストレーションと指揮はピーター・ナイト。
(2021年10月)
Philippe Sarde
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