パブリック・アイ THE PUBLIC EYE

作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH

(米Intrada / Intrada Special Collection Volume 463)

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1992年製作のアメリカ映画(日本公開は1993年9月)。監督・脚本は「薔薇の名前」(1986)「誰かに見られてる」(1987)「知らなすぎた男」(1998)「ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して」(2010)等の脚本や「小さな贈りもの」(1996)等の監督を手がけているハワード・フランクリン。出演はジョー・ペシ、バーバラ・ハーシー、スタンリー・トゥッチ、ジェリー・アドラー、ジャレッド・ハリス、リチャード・フォロンジー、リチャード・リール、ブライアン・トラヴィス・スミス、マックス・ブルックス、リチャード・シフ、ローラ・セロン、チャック・ギレスピー、デヴィッド・ジアノポウロス、ドミニク・キアニーズ、ニック・テイト他。撮影はピーター・サシツキー。製作総指揮は「フライト」(2012)「ザ・ウォーク」(2015)「マリアンヌ」(2016)「魔女がいっぱい」(2020)等の監督であるロバート・ゼメキス

犯罪現場での死体や流血を生々しく撮影した写真集「裸の街(Naked City)」(1945)で知られるウクライナ出身の写真家“ウィージー”ことアーサー・H・フェリグ(1899〜1968)の生涯にインスパイアされたドラマで、1942年のニューヨークを舞台に、マフィアの抗争に巻き込まれていくフォトジャーナリストを描く。“バーンジー”ことレオン・バーンスタイン(ペシ)は、高級クラブのオーナー、ケイ・レヴィッツ(ハーシー)から、店の抵当権を持つエミリオ(ジアノポウロス)という男を調査してほしいと依頼されるが、エミリオは自宅で死体となって発見された。バーンジーはFBIによる事情聴取の後で、何者かに拉致されてマフィアのフランク・ファリネリ(フォロンジー)の事務所に連れて行かれる。やがてバーンジーは、ファリネリと対立するマフィアのボス、マーク・アンソニー・スポレト(キアニーズ)とケイの死んだ夫がガソリン配給券の横流しに関わっていたことを突きとめるが……。製作費は約1500万ドル。全世界興行収入は約307万ドル。

これはジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)が作曲したが、監督のハワード・フランクリンがリジェクトしたために使用されなかったスコア。その後「リバー・ランズ・スルー・イット」(1992)「ネル」(1994)「遠い空の向こうに」(1999)「ブラック・ダリア」(2006)「メカニック」(2011)「42 〜世界を変えた男〜」(2013)等のマーク・アイシャム(1951〜)が起用されてスコアを作曲しており(フランクリンはアイシャム作曲の「運命の逆転」のスコアをテンプ・トラックに使っていた)、1992年にサントラCDが米Vareseレーベルからリリースされている(Varese Sarabande VSD-5374)。

ジェリー・ゴールドスミスのスコアは、冒頭の「Main Title」がピアノ、クラリネット、ストリングスをフィーチャーした情感豊かでドラマティックなジャズで、彼の個性が強く表われたハードボイルドなタッチが秀逸。「First Sale」「New Evidence」は、メインの主題を織り込んだドラマティックでミステリアスなタッチのジャズ。「Morning Call」も、メインの主題入りの情感豊かなジャズ。「The Body」は、ミステリアスなタッチのジャズ。「Someone to Trust」は、サスペンスフルなジャズからメランコリックな主題、メインの主題へ。「What's the Trouble?」は、ドラマティックでミステリアスなタッチのジャズ。「After Hours」「Midnight Caller」は、サスペンスフルなジャズ。「Black Gas」「Three Months Pay」「Turn It Off」は、ダークでミステリアスなタッチ。「No User」は、ピアノをフィーチャーしたメランコリックな曲。「Snapshots」は、ドラマティックでメランコリックなタッチから後半ミステリアスなタッチへ。「The Alley」「Beauty and the Beast」「Ask Me」「Protection」「The Slaughter」「Everything Is True」は、メインの主題のバリエーション。「Final Shot」は、メインの主題のリプライズによるエンディング。最後にエクストラとして代替テイク「The Slaughter (Alternate Mix)」を収録。

ジェリー・ゴールドスミスの傑作スコア「チャイナタウン」「L.A.コンフィデンシャル」に通ずるジャズ・ベースのスモーキーなタッチのスコアで、これがリジェクトされたのは不可解。コンプリートスコアの初リリースで、限定プレス。
(2021年10月)

Jerry Goldsmith

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