(未公開)ラブ・フィールド LOVE FIELD
作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH
演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony
(米Varese Sarabande / VCL
0821 1216)
1992年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でビデオ発売済)。監督は「レベルポイント」(1978)「告発の行方」(1988)「バッド・ガールズ」(1994)「(TV)イーストエンドの魔女たち」(2013)「(TV)クライアント・リスト」(2013)等のジョナサン・カプラン(1947〜)で、彼は映画音楽作曲家ソル・カプランの息子。出演はミシェル・ファイファー、デニス・ヘイスバート、ステファニー・マクファデン、ブライアン・カーウィン、ルイーズ・ラサム、ペギー・レエ、ベス・グラント、ジョニー・レイ・マクギー、クーパー・ハッカビー、トロイ・エヴァンス、マーク・ジェフリー・ミラー、パール・ジョーンズ、ジャネル・マクロード、ボブ・マイナー、ローダ・グリフィス他。脚本はドン・ルース。撮影はラルフ・D・ボード。
テキサス州ダラスに住むヘアスタイリストのルリーン・ハレット(ファイファー)は、ジョン・F・ケネディ大統領の暗殺現場に立ち会ったことで衝撃を受け、夫レイ(カーウィン)の反対を振り切って葬儀に参列するためにバスでワシントンD.C.へと向かう。そこで黒人青年のポール・カーター(ヘイスバート)とその娘ジョネル(マクファデン)と出会うが、ルリーンはポールがジョネルを誘拐したのだと勘違いし、少女を救おうとする。一方、ルリーンの帰りが遅いことを案じたレイが警察に通報し、彼女も誘拐犯に囚われたと誤解され、全員が追われる身となるが……。製作費は約1800万ドル、全世界興行収入は約101万ドル。ポール役には当初デンゼル・ワシントンがキャストされていたが“クリエイティヴ面の意見の相違”から降板し、ヘイスバートが起用された。ミシェル・ファイファーが、1992年度アカデミー賞の主演女優賞と同年のゴールデン・グローブの女優賞(ドラマ)にノミネートされ、1993年度ベルリン国際映画祭の女優賞を受賞している。
タイトルの「ラブ・フィールド」はダラス空港の名称。1963年11月22日にジョン・F・ケネディ大統領がエアフォースワンでラブ・フィールドに到着し、ジャクリーン・ケネディ夫人と笑顔で降り立ったが、その直後のダラス市内の自動車パレードで銃撃され、パークランド記念病院で死亡が確認された。同大統領の遺骸はエアフォースワンが駐機していたラブ・フィールドに運ばれ、機中に安置された。
音楽は「バッド・ガールズ」(1994)でもジョナサン・カプラン監督と組んでいるジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)。このスコアは、1993年にVarese
Sarabandeレーベルが全9曲/約28分半収録のサントラCD(Varese Sarabande VSD
5316)を出しているが、これは同じVareseレーベルが2021年8月にリリースした“CD Club”盤で、全32曲/約72分を収録。2000枚限定プレス。
「Family Album」は、ジェントルなジャズ・ベースのピアノからリリカルなフルートとストリングスによるメインの主題に展開する曲。「The
Posters」は、ジェントルなタッチから快活なジャズ・ベースのピアノへ。「The Assassination」は、重厚でドラマティックなサスペンス音楽。「The
Note」「We're Not Alone」は、静かにドラマティックなタッチの曲。「On the Bus」は、快活なジャズ・ベースのピアノから静かにジェントルなタッチへ。「You
Win」「First Words」「I Don't Mind」は、ジェントルなタッチの曲。「The Accident」は、ジェントルなタッチからサスペンス調へ展開。「The
Photos」「What's Going On?」は、重厚なサスペンス音楽。「Lost Luggage」は、抑制されたサスペンス調からメインの主題を織り込んだ静かにドラマティックなタッチ、躍動的なサスペンス音楽へと展開する曲。「Repairs」は、ややメランコリックなタッチの曲。「The
Map」は、ジェントルで快活な曲。「Roadside Incident」は、抑制されたタッチから重厚なサスペンス調へ。「The
Visitors」は、抑制されたサスペンス音楽。「Pretending」は、フルートによるメインの主題。「Staying
Behind」「The Locket」「Together Again」は、メインの主題を織り込んだジェントルなタッチの曲。「The
Motel」は、パーカッシヴでダイナミックなサスペンス音楽で、ゴールドスミスの個性が出た曲。オーケストラにシンセサイザーを加えた、ジェントルなアメリカーナ音楽。オーケストレーションはアレクサンダー・カレッジ。ジョナサン・カプランは、父のソル・カプランから「ジェリー・ゴールドスミスと仕事するチャンスがあったなら、受けるんだ」とアドバイスされていたという。
最後にボーナス・トラックとして、アメリカのロック&ブルース・ピアニスト、ビル・ペイン(1949〜)の作曲・演奏による快活でジェントルなタッチのピアノ曲「Sweet
Girl Blues」「Travelers Blues」「America: Thunder, Tears, Defiance (version
one)」「Night Rollin' On」「Mixed Signals」「America: Thunder, Tears, Defiance
(version two)」「Boogie On Out a Here」「So Long Blues」「L.F. Blues - America:
Thunder, Tears, Defiance」「L.F. Blues - America: Thunder, Tears, Defiance
(alternate take)」を収録。映画の最終版ではゴールドスミスのスコアの一部がペイン作曲のピアノ曲に差し替えられた。
(2022年4月)
Jerry Goldsmith
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