アーネスト・ゴールド映画音楽集 THE ERNEST GOLD COLLECTION Volume 1

作曲:アーネスト・ゴールド
Composed by ERNEST GOLD

指揮:アーネスト・ゴールド、エミール・ニューマン
Conducted by ERNEST GOLD, EMIL NEWMAN

(米Dragon's Domain Records / DDR738)

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<収録曲>

1. (未公開)Exposed (1947)
2. (未公開)Smooth as Silk (1946)
3. (未公開)The Naked Street(1955)
4. (未公開)謎のUFOを追って UFO (1956)
5. (未公開)Man on the Prowl (1957)
6. (未公開)Wink of an Eye (1958)
7. (未公開)爆笑!サファリ3000 Safari 3000 (1982)


「渚にて」(1959)「栄光への脱出」(1960)「ニュールンベルグ裁判」(1961)「おかしなおかしなおかしな世界」(1963)「愚か者の船」(1965)「戦争のはらわた」(1977)「さよならミス・ワイコフ」(1979)等のオーストリア出身の作曲家アーネスト・ゴールド(1921〜1999)が手がけた、キャリア初期の低予算作品のスコアを中心に集めたコンピレーションCD。500枚限定プレス。

1. (未公開)Exposed (1947)

1947年製作のアメリカ映画。監督は「(TV)スーパーマン」(1952〜1958)「密林の豹人」(1956)「(未公開)殺意の報酬」(1959)等のジョージ・ブレア(1905〜1970)。出演はアデル・マーラ、マーク・ロバーツ、ローナ・グレイ、ロバート・アームストロング、ウィリアム・ハード、ボブ・スティール、ハリー・シャノン、チャールズ・エヴァンス、ジョイス・コンプトン、ラッセル・ヒックス他。チャールズ・モランの原案を基にロイヤル・K・コールとチャールズ・モランが脚本を執筆。撮影はウィリアム・ブラッドフォード。実業家のベントリー大佐(ヒックス)は、私立探偵のベリンダ・プレンティス(マーラ)を雇って、口座から多額の資金を引き出している義理の息子ビル・フォレスマン(ロバーツ)を調査させるが……。当時リパブリック・ピクチャーズが量産していた低予算犯罪映画の1つ。アーネスト・ゴールド作曲の「Main Title」は、ビジーでサスペンスフルなイントロからドラマティックなタッチへ展開するメインタイトル。

2. (未公開)Smooth as Silk (1946)

1946製作のアメリカ映画。監督は「凸凹幽霊屋敷」(1946)「(TV)わんぱくデニス」(1959)「チャイコフスキー物語」(1960)等のチャールズ・バートン(1902〜1981)。出演はケント・テイラー、ヴァージニア・グレイ、ミルバーン・ストーン、ジョン・リテル、ジェーン・アダムス、ダニー・モートン、チャールズ・トロウブリッジ、テレサ・ハリス、ハリー・チェシャイア、バート・ムーアハウス他。撮影はエルウッド・ブレデル。フロレンス・ライヤーソンとコリン・クレメンツの原作『Notorious Gentleman』を基にデイン・ルシアーとケリー・ショーが脚本を執筆。弁護士のマーク・フェントン(テイラー)は、飲酒運転で人を殺してしまったドン・エリオット(モートン)を裁判で無罪にするが、ドンの叔父スティーヴン・エリオット(リテル)は演劇のプロデューサーで、女優志願であるマークの婚約者ポーラ(グレイ)を次回作に起用することにする。打算的なポーラは、マークを見限ってスティーヴンに取り入り、彼との結婚を勝ち取るが、彼女に裏切られたと知ったマークは復讐を開始する……。ゴールドのスコアは、劇中のライトなダンス・ミュージック「Dinner Music」「Private Party」を収録。これは彼が映画音楽の作曲を始めて2本目に手がけたスコア。

3. (未公開)The Naked Street (1955)

1955年製作のアメリカ映画。監督は「摩天楼の影」(1953)「(未公開)悪夢の殺人者」(1956)等のマックスウェル・シェーン(1905〜1983)。出演はファーリー・グレンジャー、アンソニー・クイン、アン・バンクロフト、ピーター・グレイヴス、エルシー・ネフト、サラ・バーナー、ジェリー・パリス、ホイット・ビッセル、ジョン・ラーチ、リー・ヴァン・クリーフ他。レオ・カッチャーの原案を基にマックスウェル・シェーンとレオ・カッチャーが脚本を執筆。撮影はフロイド・クロスビー。ギャングのフィル・リーガル(クイン)は、未婚の妹ロザリー(バンクロフト)が、元犯罪者で政治家を目指しているニコラス・ブラドナ(グレンジャー)に妊娠させられたと知る……。ゴールドのスコアは「The Cheating Husband」「The Baby Dies」が、ジェントルでドラマティックな曲。「Hijacking」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Brother and Sister」は、ジェントルなタッチ。音楽監督はアルフレッド・ニューマンの弟であるエミール・ニューマン(1911〜1984)。

4. (未公開)謎のUFOを追って UFO (1956)

1956年製作のアメリカ映画(別題名は「Unidentified Flying Objects: The True Story of Flying Saucers」/日本では劇場未公開でテレビ放映済)。監督はウィンストン・ジョーンズ。出演はウィリス・スペリー、ニコラス・マリアナ、デルバート・ニューハウス、ウェンデル・スワンソン、トム・タワーズ、ハリー・モーガン他。ナレーションはマーヴィン・ミラー、オラン・スールとレス・トレメイン。脚本はフランシス・マーティン。撮影はハワード・A・アンダーソン、エディー・フィッツジェラルドとバート・スピールヴォーゲル。UFO目撃者へのインタビューを収録したドキュメンタリーと、エイリアンに遭遇した米空軍パイロットのフィクションを組み合わせた作品。ゴールドのスコアは、「Main Title」がヒロイックなマーチによるメインタイトル。「Washington」は、明るく快活なタッチから後半ヒロイックなマーチへ展開。「Saucer Concerto」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「Washington National」は、ドラマティックなサスペンス音楽。指揮はエミール・ニューマン

5. (未公開)Man on the Prowl (1957)

1957年製作のアメリカ映画。監督は「(TV)ソニー号空飛ぶ冒険」(1957)等のアート・ナポレオン(1920〜2003)。出演はマラ・パワーズ、ジェームズ・ベスト、テッド・デ・コルシア、ジェリー・パリス、ヴィヴィ・ジャニス、ジョシュ・フリーマン、ジェフ・フリーマン、ペギー・メイリー、ユージニア・ポール、ボブ・イーケル他。脚本はアート・ナポレオンとジョー・ナポレオン。撮影はニコラス・ムスラカ。主婦のマリアン・ウッド(パワーズ)と2人の息子たちの家を襲った色情狂の殺人鬼ダグ・ゲアハート(ベスト)を描くサスペンス。

ゴールドのスコアは、「Main Title」がダイナミックなイントロからミステリアスなタッチの主題へと展開する、オーケストラにテルミンを加えたメインタイトル。「What I've Got, Isn't for Delivery Boys」は、ジャズ・ベースの抑制されたサスペンス音楽。「A Good Angle」は、ジェントルでリリカルなタッチから後半ダイナミックなサスペンス音楽へ。「Radio Source」は、気だるいジャズのソース曲。「The End of Doug and Finale」は、ダークなタッチのサスペンス音楽から大らかなフィナーレへ展開。

6. (未公開)Wink of an Eye (1958)

1958年製作のアメリカ映画。監督は「(未公開)謎のUFOを追って」等のウィンストン・ジョーンズ。出演はジョナサン・キッド、ドリス・ダウリング、バーバラ・ターナー、アイリーン・サイドナー、ジャクリン・グリーン、ウォリー・ブラウン、テイラー・ホームズ、マックス・リッチ、ポール・スミス、ジャック・グリネイジ他。チェスター・デイヴィスとウィンストン・ジョーンズの原案を基にジェームズ・エドミストンが脚本を執筆。撮影はウィリアム・P・ホイットニー。香水会社で働く温厚な化学者アルヴィン・アターベリー(キッド)の妻(グリーン)は、彼が魅力的な同僚のミルナ(ダウリング)とメキシコに駆け落ちしてしまうのではないかとおそれていた。アターベリー家の隣人ラズロウ夫人(サイドナー)は、夫婦が口論するのを聞いていたが、ある夜悲鳴が聞こえた後、アターベリー夫人の姿が消えてしまう……。ゴールドのスコアは、「Main Title」が軽快なダンス・ミュージック風のメインタイトル。「All Is Well」も、明るく軽快なタッチの曲。

7. (未公開)爆笑!サファリ3000 Safari 3000 (1982)

1982年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済)。監督は「(未公開)オーディション」(1978)「(未公開)ローズバッド・ビーチ・ホテル」(1984)「(未公開)セクシャルコール」(1993)等のハリー・ハーウィッツ(1938〜1995)。出演はデヴィッド・キャラディーン、ストッカード・チャニング、クリストファー・リー、ハミルトン・キャンプ、イアン・ユール、ヒュー・ラウス、メアリー・アン・ビロルド、ピーター・J・エリオット、ベン・マシンガ、ジット・リー(クリストファー・リー夫人)他。ジュールス・V・レヴィ、アーサー・ガードナーとマイケル・ハーレショウの原案を基にマイケル・ハーレショウが脚本を執筆。撮影はアダム・グリーンバーグ。ロレンツォ・ボルジア伯爵(リー)とその手下フェオドール・ゴメス(キャンプ)は、2台の車でサファリ横断のラリーに参加するはずだったが、その1台を運転することになっていた元スタント・ドライヴァーのエディー・マイルズ(キャラディーン)ともめごとになり、彼をクビにしてしまう。一方、ラリーを取材することになったレポーターのJ・J・ダルトン(チャニング)は、レースに単独参加することにしたエディーのナヴィゲーターとして彼の車に同乗するが……。クリストファー・リーが、ハンナ・バーベラのアニメ「チキチキマシン猛レース」のブラック魔王のようなキャラを演じている。

ゴールドのスコアは、「Flute Source / Start Your Engines / Airport Arrival」が、リリカルなフルート・ソロ、ダイナミックでスリリングな主題、ドラマティックな主題と展開する曲。「This Is a Rented Car / Lorenzo / Get on with It / Steal That Engine」は、躍動的なタッチから、ジェントルで優雅な主題、サスペンス音楽へと展開。「Rally Party Source」「Transgression / Hotel Lounge Source」は、ロックのソース曲。「The Race Begins / Bridge Peril」は、明るくヒロイックな主題から躍動的なタッチ、明るく快活な主題へ。「Let's Dance」は、ジェントルな曲。「Meet in the Mud / Find the Salami / Take a Picture」は、ジェントルでリリカルな主題から明るく躍動的なタッチへ。「Behind You / Story Time」は、ダークで重厚なサスペンス音楽からジェントルで優雅な主題へ。「Zebras / I Hope We Win」は、ダイナミックでヒロイックなイントロから明るく躍動的な主題、ジェントルで優雅な主題へ。「Hotel Lounge Source #2 / Make Haste」は、ピアノ・ジャズのソース曲からパーカッシヴなサスペンス音楽へ。「It Doesn't Have to Be / Those Cigars Are Killing Me / Up a Willow Tree / The Moment Supreme」は、ジェントルで優雅な主題、ダイナミックで躍動的な主題、“ラ・マルセイエーズ”や“ルール・ブリタニア”の引用と、様々なフレーズがメドレー風に展開する曲。「A Short Cut / Thanks for the Push / End Credits」は、ドラマティックな主題からスリリングなタッチ、明るく快活なエンド・クレジットへと展開。本作のみゴールドがキャリア後期に手がけた作品(コンプリートスコア)だが、「おかしなおかしなおかしな世界」(1963)に通ずるカラフルで上質なオーケストラル・スコアとなっており、低予算のカーアクション・コメディにはもったいない。オーケストレーションはジェラルド・シャーマン(1924〜2020)。

(2022年6月)

Ernest Gold

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