チェイサー MORT D'UN POURRI

作曲:フィリップ・サルド
Composed by PHILIPPE SARDE

指揮:カルロ・サヴィーナ
Conducted by CARLO SAVINA

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

(仏Music Box Records / MBR-206)

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1977製作のフランス映画(日本公開は1978年11月/英語題名は「DEATH OF A CORRUPT MAN」)。監督は「愛人関係」(1973)「警部」(1978)「(未公開)ジャン=ポール・ベルモンドの道化師/ドロボー・ピエロ」(1980)「プロフェッショナル」(1981)「レプスキー絶体絶命/その男凶暴につき」(1989)等のジョルジュ・ロートネル(1926〜2013)。出演はアラン・ドロン、オルネラ・ムーティ、ステファーヌ・オードラン、ミレーユ・ダルク、モーリス・ロネ、ミシェル・オーモン、ジャン・ブイーズ、ダニエル・セカルディ、ジュリアン・ギオマール、クラウス・キンスキー、フランソワ・ショーメット、グザヴィエ・ドゥプラ、アンリ・ヴィルロジュー、コレット・デュヴァル、カロール・ランジュ他。ラフ・ヴァレ(ジャン・ラボルド)の原作を基にミシェル・オーディアールとクロード・ソーテが脚本を執筆。撮影は「太陽がいっぱい」(1960)「サムライ」(1967)「シシリアン」(1969)「仁義」(1970)等のアンリ・ドカエ

パリの朝5時。実業家のグザヴィエ・マレシャル(ドロン)が恋人のフランソワーズ(ダルク)といるところに、親友の代議士フィリップ・デュバイエ(ロネ)が訪れると、同僚のセラノ議員を殺害したと告白し、グザヴィエにアリバイ作りを依頼した。親友の依頼を承諾した彼は、翌日犯行現場に向うが、そこにはモロー警視(オーモン)とペルネ警視(ブイーズ)がいて、ある重要な書類がなくなっているという。それは政治家たちの汚職を暴露した“セラノ文書”と呼ばれる書類で、フィリップはセラノを殺害してその文書を奪い、愛人のヴァレリー(ムーティ)のアパートに持ち込んでいた。グザヴィエはモンパルナス駅でヴァレリーと落ち合うことにして、フィリップの事務所を訪れ、そこで彼が殺害されているのを発見する。ヴァレリーと会って文書を読んだグザヴィエは、フィリップが脅迫の対象となっていたことを知るが……。“セラノ文書”の標的の1人である国際企業の社長ニコラス・トムスキーを演じたクラウス・キンスキーが、非常に気難しい俳優との評判を聞いて心配していた監督のロートネルは、実際に彼と仕事をし、極めて協力的で友好的な人物だと知ったらしい。

音楽は「愛人関係」(1973)「警部」(1978)「(未公開)ジャン=ポール・ベルモンドの道化師/ドロボー・ピエロ」(1980)「ソフィー・マルソー/恋にくちづけ」(1984)「ラ・メゾン/惨劇の館」(1988)等でもジョルジュ・ロートネル監督と組んでいるフィリップ・サルド(1948〜)。このスコアは、公開当時の1977年にフランスのMelbaレーベルから全12曲/27分半収録のサントラLP(Melba LDA 20314)が出ており、2002年にUniversal Franceレーベルが全12曲(LPと一部内容が異なる)収録のCD(Universal France 017 177-2)を出しているが、Music Boxレーベルが2022年6月にリリースしたこのCDはコンプリートスコア(全19曲/約49分半)を初収録し、オリジナル・ステレオ・ミックスからリマスターされている。750枚限定プレス。

「Paris, cinq heures du matin (version film)」は、スタン・ゲッツのテナーサックスによるインプロヴァイズ風のイントロからストリングスによるドラマティックな主題へと展開するメインタイトル。これ以降、全編を通してゲッツのサックスをフィーチャーした曲が続く。「Partie de chasse / Souvenirs / Adieu Christiane」「Rocquencourt」は、静かにドラマティックな曲。「Valérie」「Christiane et Lucien / L'attente」「Montparnasse」「Corruption et vertu」「Les aveux」「Les camions」「Xav」「Arrestation」「Tout est tranquille」は、メランリックなタッチの曲。「Getz o mania」は、クールなタッチのジャズで、この曲のみユベール・ロスタンが作曲し、ジャン・ダルセルが編曲。「Mort d'un pourri」「Dans le regard d'Alain Delon」は、ピアノとサックスによるジェントルなジャズ。「Cafétéria」も、サックスによるジェントルなジャズ。「Adieu Valérie / Xav et Kébir」は、ストリングスによるメランコリックなタッチの曲。「Élysée-Matignon」は、ライトなタッチのジャズ。「Adieu Philippe」は、サックス・ソロからストリングスによるドラマティックな主題へ展開する曲。

気だるいタッチのジャズ・ベースのスコアで、オーケストレーションはユベール・ロスタン。ピアノはアンドリュー・ラヴァ―ン、ベースはリック・レアード、ドラムスはビリー・ハート、パーカッションはエフレイン・トロ、バンドネオンはマルセル・アッゾーラの演奏。

尚、Universal Franceが2011年にジョルジュ・ロートネル監督とフィリップ・サルドのコラボレーション作品を集めたコンピレーションCD「Le Cinéma de Georges Lautner」(Universal France 2769790)をリリースしており、以下の作品が収録されている。

・(未公開)La valise(1973)
・愛人関係 Les seins de glace (1974)
・(未公開)Pas de problème! (1975)
・(未公開)On aura tout vu (1976)
・(未公開)Ils sont fous ces sorciers! (1978)
・(未公開)Attention, une femme peut en cacher une autre! (1983)
・ソフィー・マルソー/恋にくちづけ Joyeuses pâques (1984)
・ラ・メゾン/惨劇の館 La maison assassinée (1988)


(2022年10月)

Philippe Sarde

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