レッドソニア RED SONJA
作曲・指揮：エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE
演奏：ウニオーネ・ムジチスティ・ディ・ローマ
Performed by Unione Musicisti di Roma
（スペインQuartet Records / QR499）
1985年製作のアメリカ＝オランダ＝イタリア合作映画（日本公開は1987年12月／日本でのビデオ発売時の邦題は「アーノルド・シュワルツェネッガー／キング・オブ・アマゾネス」）。監督は「海底二万哩」(1954)「バイキング」(1957)「ミクロの決死圏」(1966)「トラ・トラ・トラ！」(1970)「ラスト・ラン」(1971)「ソイレント・グリーン」(1973)「キング・オブ・デストロイヤー／コナンPART2」(1984)等のリチャード・フライシャー（1916〜2006）。出演はアーノルド・シュワルツェネッガー、ブリジット・ニールセン、サンダール・バーグマン、ポール・スミス、アーニー・レイズ・Jr、ロナルド・レイシー、パット・ローチ、テリー・リチャーズ、ジャネット・アグレン、ドナ・オスターバー、ララ・ランベルティ、ハンス・マイヤー、フランチェスカ・ロマーナ・コルッツィ、ステファーノ・マリア・ミオニ、テュティ・レムコウ他。「コナン・ザ・グレート」(1982)「キング・オブ・デストロイヤー／コナンPART2」(1984)等のロバート・E・ハワード（1906〜1936）が創造した登場人物によるロイ・トーマスとバリー・ウインザー＝スミスのコミックを基に、クライヴ・エクストンとジョージ・マクドナルド・フレイザーが脚本を執筆。撮影は「渚にて」(1959)「山猫」(1963)「天地創造」(1966)「ひまわり」(1970)「フェリーニのアマルコルド」(1974)「サブリナ」(1995)等のジュゼッペ・ロトゥンノ（1923〜2021）。
遠い昔、暴力と悪の支配する世界。悪の女王ゲドレン（バーグマン）は、万物を創造し支配する聖玉「タリスマン」を奪い、より一層の脅威となりつつあった。ゲドレンに村を焼き打ちにされたレッドソニア（ニールセン）は、剣の修業を積み、老師より名剣を与えられるが、「タリスマン」の守護者だった彼女の姉（アグレン）がゲドレンに襲われて死んでしまう。ソニアは復讐のためにゲドレンの魔城アーカベインへと旅立つ。途中、瀕死の姉を運んできてくれた戦士カリドー（シュワルツェネッガー）、ゲドレンに滅ぼされた都の王子ターン（レイズ・Jr）とその家来ファルコン（スミス）も仲間に加わるが……。「コナン・ザ・グレート」「キング・オブ・デストロイヤー／コナンPART2」に主演したシュワルツェネッガーは、製作者のディノ・デ・ラウレンティスの要請により本作にカメオ出演することにしたが、1週間のはずだった撮影が4週間に伸び、仕上がったラフカットを見た彼は、自分の役柄が単なるカメオではなく準主役級まで拡大されているのを知って驚いたという（これにより、彼はラウレンティスと締結していた10年間の契約を破棄した）。ブリジット・ニールセンは、この映画の撮影中シュワルツェネッガーと恋愛関係にあったが、その後「ロッキー4／炎の友情」(1985)「コブラ」(1986)で共演したシルヴェスター・スタローンと結婚している（19カ月後に離婚）。ニールセンは本作（と「ロッキー4／炎の友情」で）で1985年度ゴールデン・ラズベリー賞（ラジー賞）のワースト新人賞を受賞。シュワルツェネッガーも本作を自身のワースト映画の1つだと考えており、自分の子供たちを「悪いことをしたら『レッドソニア』を10回連続で見せるぞ！」と言って躾けた、と冗談で語っている。製作費は約1790万ドル、全世界興行収入は約695万ドル。
音楽はエンニオ・モリコーネ（1928〜2020）で、彼は本作の2年前に似たような題材の「ハンドラ」(1983)のスコアも手掛けている（ハンドラを演じたローレン・ランドンは、当初レッドソニア役の候補だった）。このスコアは公開当時の1985年に米Varese
SarabandeレーベルからサントラLP（Varese Sarabande STV
81248）が出ていたが、このレコードにはA面とB面に長い組曲が1曲ずつ（計約35分）収録されていた。その後、同じVareseレーベルが1990年に同内容のCD（Varese
Sarabande VCL
9001.6／「華麗なる相続人」のスコアを含む。1000枚限定プレス）を、Perseveranceレーベルが2010年に組曲を個別トラックにばらした全19曲／約38分収録のCD（Perseverance
Records PRD
035／2000枚限定プレス）を出しているが、Quartetレーベルが2022年8月にリリースしたこのCDは、前半にアルバムのプログラム20曲（ステレオ）、後半にモノラル音源のコンプリートスコア20曲（全40曲／約76分）を収録。
冒頭の「Prologue」は、コーラスを織り込んだ荘厳なファンファーレ調のプロローグ。「Main
Title」は、ヒロイックなマーチ調のカリドーの主題。「The Talisman」は、賛美歌風の荘厳なコーラスによる曲。「Temple
Raid」「Fighting the Soldiers」「Sonja Defeats the Queen」は、コーラスを織り込んだダイナミックで重厚なアクション音楽。「Touch
It」「Sonja and the Sword Master」は、コーラスによる静かに荘厳な曲。「Varna's Death」は、カリドーの主題からストイックなタッチの主題へ。「The
Gate of Brytag」は、不吉なサスペンス音楽。「Sonja vs. Brytag」「Entering the
Castle」は、ダイナミックなサスペンス音楽。「The Talisman II」「The Chamber of
Lights」「Sonja Teaches Tarn」は、静かにドラマティックな曲。「Treasure in the
Cavern」は、抑制されたサスペンス調から後半ドラマティックなタッチへ。「Sonja and Kalidor」「A Fair
Fight」は、ストイックなタッチの曲で、「End Credits」も同じ主題によるエンドクレジット。ラストの「Sorcery」は、フルートによる静かに躍動的な主題。
ベテランのモリコーネだけに、「コナン・ザ・グレート」「キング・オブ・デストロイヤー／コナンPART2」のベーシル・ポールドゥーリスのスコアに全く影響を受けていない、独自の作風を展開している。
（2022年11月）
Ennio Morricone
Soundtrack Reviewに戻る
Copyright (C) 2022 Hitoshi Sakagami. All Rights Reserved.
