悪魔のシスター SISTERS

作曲・指揮:バーナード・ハーマン
Composed and Conducted by BERNARD HERRMANN

(仏Music Box Records / MBR-246)

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1972年製作のアメリカ映画(日本公開は1974年8月)。監督は「愛のメモリー」(1976)「フューリー」(1978)「殺しのドレス」(1980)「スカーフェイス」(1983)「アンタッチャブル」(1987)「ミッション:インポッシブル」(1996)「ファム・ファタール」(2002)「ブラック・ダリア」(2006)「パッション」(2012)等のブライアン・デ・パルマ(1940〜)。出演はマーゴット・キダー、ジェニファー・ソルト、チャールズ・ダーニング、ウィリアム・フィンレイ、ライル・ウィルソン、バーナード・ヒューズ、メアリー・ダヴェンポート、ドルフ・スウィート、キャシー・ベリー、エディ・カーメル、オリンピア・デュカキス、アート・エヴァンス、キャサリン・ガフィガン、ジャスティン・ジョンソン、ジェームズ・メイプス他。ブライアン・デ・パルマの原案を基にブライアン・デ・パルマとルイザ・ローズが脚本を執筆。撮影はグレゴリー・サンダー。

フランス系カナダ人のファションモデル、ダニエル・ブルトン(キダー)は、広告代理店に勤めるフィリップ・ウッド(ウィルソン)と知り合ってクラブで夜更けまで語り合っていたが、そこにダニエルの前夫エミール(フィンレイ)が現われ、ダニエルに早く帰宅するよう忠告した。エミールの影に脅えるダニエルを、ニューヨーク郊外スタテン島の彼女のマンションまで送ったフィリップは、彼女に誘われるままその夜を共にした。翌朝、ひとり住まいのはずのダニエルが若い娘と口論するような声に眠りを破られた彼は、その内容から相手が妹のドミニクであると悟った。フィリップはダニエルに頼まれ薬を買いに外出したが、部屋に戻ったところをナイフを持った女に襲われた彼は、血みどろになって窓ぎわで息絶える。この殺害現場を、真向いのマンションから目撃していた新進気鋭の女流記者グレース・コリアー(ソルト)は、警察に通報するとともに、自らもダニエルのマンションに駆けつけたが、そこに殺人の痕跡は何もなかった。グレースの証言は、日頃の警察弾劾の急進的な記事の影響もあり、白昼夢として処理されてしまう。納得のいかないグレースは、新聞社から当てがわれた私立探偵ジョセフ・ラーチ(ダーニング)とともに調査に乗り出すが……。製作費は約50万ドル。ジェニファー・ソルトは当時マーゴット・キダーのルームメイトで、マーゴットはデ・パルマと付き合っており、2人へのクリスマスプレゼントとしてこの映画の脚本がデ・パルマから贈られたという。ソルトはこの後女優としての出演作は少ないが、「(TV)アメリカン・ホラー・ストーリー」(2011〜)の製作総指揮と脚本を手がけている。

音楽はブライアン・デ・パルマ監督の「愛のメモリー」(1976)のスコアも手がけているアメリカ映画音楽界の巨匠バーナード・ハーマン(1911〜1975)。このスコアは1975年に米Entr'acteレーベルから全15曲/約41分収録のサントラLP(Entr'acte ERQ-7001)が出ており、2001年にオーストラリアのSouthern Crossレーベルが同内容のCD(Southern Cross SCCD 903)を出しているが、Music Boxレーベルが2024年11月にリリースしたこのCDは、同内容をリマスターしたもので、1000枚限定プレス。「Prelude (Main Title)」は、唸るホルンにティンパニの強打、テルミンのようなモーグ・シンセサイザー、チャイムを加えたフルオーケストラによるダイナミックでパワフルな前奏曲で、まさにハーマンにしか作曲できない強烈なインパクトの曲。「The Dressing Room」「The Ferry / The Apartment / Breton」「The Plastic Bag / The Dress / The Cake Box」は、抑制されたサスペンス音楽。「The Scar / The Pills / Duo」「Apartment House / The Windows」「The Couch」「The Dream / The Syringe」は、不吉なタッチのサスペンス音楽。「The Cake / The Car / The Candles」「Clean-Up / Split Screen / The Search」は、メインの主題を織り込んだ抑制されたサスペンス音楽。「Phillip's Murder / Window View」は、不気味なサスペンス調から、モーグ・シンセサイザーを加えたメインの主題へ。「The Siamese Twins」は、メインの主題のバリエーション。「The Solution / The Clinic / Hypnotic Trance」は、不吉なサスペンス調から後半ダイナミックなタッチ、モーグ・シンセサイザーを加えた不気味なタッチへ。「Separation Nightmare / Breton's Murder / Dirge」は、メインの主題からモーグ・シンセサイザーを加えた不気味なサスペンス音楽へ。「Aftermath / Finale」は、静かにドラマティックな主題から不吉なタッチへと展開するフィナーレ。

モーグ・シンセサイザーの演奏は「デュエリスト/決闘者」(1977)「失われた航海」(1979)等のスコアの作曲も手がけているハワード・ブレイク(1938〜)。ハープはスカイラ・カンガの演奏。
(2025年3月)

Bernard Herrmann

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