狐の王子
PRINCE OF FOXES 作曲・指揮:アルフレッド・ニューマン (米Film Score Monthly / FSM Vol.2 No.5) |
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1949年製作のコスチューム・プレイ。監督は「聖処女」「征服への道」「頭上の敵機」「キリマンジャロの雪」「回転木馬」「慕情」等のヘンリー・キング。出演はタイロン・パワー、オーソン・ウェルズ、ワンダ・ヘンドリックス、マリーナ・ベルティ、エヴェレット・スローン、カティナ・パクシヌー、フェリックス・アイルマー、アドリアーノ・アンブロージ他。
16世紀ルネッサンス時代のイタリアを舞台に、チェーザレ・ボルジア(ウェルズ)の部下アンドレア・オルシーニ(パワー)が、密命を帯びてヴェラノ公(アイルマー)の城に潜入するが、公の若い妻カミーラ(ヘンドリックス)と恋に落ちてしまい、チェーザレに反旗を翻す・・・。サミュエル・シェラバーガーの史劇小説をもとにミルトン・クリムスが脚色。撮影は「聖衣」「王様と私」「クレオパトラ」「猿の惑星」等の名手レオン・シャムロイ(この映画でアカデミー賞にノミネート)。
これは20世紀フォックスで数多くの映画音楽を手がけた巨匠アルフレッド・ニューマンによるクラシック・フィルムスコアで、豪快な活劇調と華麗なロマンティシズムが素晴らしい傑作。華々しいファンファーレに続く軽快なテンポのヒロイックな「Prelude」や、優雅でロマンティックな「Romance
on the Gondola」、明るく快活な宮廷音楽「Royal Court」、コーラスによる華やかな「Festival
of Spring」、ダイナミックな戦闘シーンの音楽「Into
Battle」等、リッチでエモーショナルなドラマティックスコアを展開。このCDは、映画音楽専門紙「Film
Score Monthly」が独自にリリースしている「Golden Age Classics」シリーズの1枚で、フィルム原版の光学トラックから1999年にリミックスされたもの。
(2000年4月)
作曲・指揮:アルフレッド・ニューマン
Composed and Conducted by ALFRED NEWMAN
(米Facet / 8103)
これは「狐の王子」(1949)の2年前に、20世紀フォックス社が、原作サミュエル・シェラバーガー/監督ヘンリー・キング/主演タイロン・パワー/音楽アルフレッド・ニューマンという同じメンバーで製作したコスチューム・プレイである。共演はシーザー・ロメロ、ジーン・ピータース、リー・J・コッブ、ジョン・サットン、アントニオ・モレノ、トーマス・ゴメス、アラン・モーブレイ、バーバラ・ローレンス、ジョージ・ズッコ、ロイ・ロバーツ、マーク・ローレンス他。
1518年のスペイン;宗教裁判で追放された若き貴族ペドロ・デ・ヴァルゲス(パワー)が、兵士ガルシア(コッブ)、農民の娘カターナ(ピータース)と共にキューバに渡り、メキシコ征服を図るヘルナンド・コルテス(ロメロ)の遠征隊に入隊し、数々の冒険を繰り広げる。脚本はラマー・トロッティ、撮影はチャールズ・G・クラークとアーサー・E・アーリングが担当。
この映画のスコアはアルフレッド・ニューマンの代表作の1つで、何といってもラストの勇壮で力強い「Conquest(征服)」マーチが有名である。この曲はアメリカの映画音楽作曲家が書いたマーチとしては、エルマー・バーンステイン作曲の「大脱走」マーチ等と並んで、最も広く親しまれている曲の1つだと思う。ジョン・ウィリアムス指揮ボストン・ポップスをはじめとしたカバー演奏も多数存在する。このCDはサントラ盤ではなく、ニューマン自身の指揮による約43分の組曲が収録されているものだが、録音は古いものの音質は鮮明で、オーケストラの演奏も極めてエモーショナルで迫力がある。冒頭のスパニッシュ・フレーバーを帯びたこの上なくビジーでダイナミックな「序曲」から、ニューマンの豪快なドラマティックスコアのパワーに圧倒されてしまう。中盤のロマンティックなラブテーマや、パワフルなアクション音楽、そしてラストの「Conquest」と、最上質のクラシック・フィルムスコアの魅力に満ちた傑作。ニューマンはこのスコアで1947年度アカデミー賞の音楽賞にノミネートされている。この組曲の演奏は彼がMajesticレーベルで録音したもので、当時は78rpm盤3枚組でリリースされていたが、これを1987年にトニー・トーマス氏がDelosレーベルで復刻したもの。
アルフレッド・ニューマン(1901〜1970)は、20世紀フォックス社の音楽総括部長を20年間にわたって務め、バーナード・ハーマン、ヒューゴ・フリードホファー、デヴィッド・ラクシン、アレックス・ノースといった名作曲家たちを発掘するとともに、自らも数え切れないほど多くの映画音楽を作曲・編曲・指揮してきた巨匠である。誇り高く激しい気性の持ち主として恐れられていたバーナード・ハーマンでさえ、ニューマンの音楽家としての才能を高く評価し、尊敬しており、実際に1954年の「エジプト人」では、劇中の曲をニューマンと分担する形で共作までしている。
アルフレッド・ニューマンの主要な作品には次のようなものがある(*はアカデミー賞ノミネート、**は受賞作品):
「ゼンダ城の虜*」(1937)「ハリケーン*」(1937)「暗黒街の弾痕」(1937)「ガンガ・ディン」(1939)「ノートルダムの傴僂男*」(1939)「ボー・ジェスト」(1939)「嵐ケ丘*」(1939)「快傑ゾロ*」(1940)「海外特派員」(1940)「怒りの葡萄」(1940)「わが谷は緑なりき*」(1941)「マン・ハント」(1941)「(未公開)教授と美女*」(1941)「海の征服者*」(1942)「激闘」(1942)「聖処女**」(1943)「王国の鍵*」(1944)「荒野の決闘」(1946)「剃刀の刃」(1946)「紳士協定」(1947)「征服への道*」(1947)「海の男」(1949)「狐の王子」(1949)「頭上の敵機」(1949)「イヴの総て*」(1950)「愛欲の十字路*」(1951)「ゼンダ城の虜」(1952)「栄光何するものぞ」(1952)「人生模様」(1952)「砂漠の鼠」(1953)「聖衣」(1953)「百万長者と結婚する方法」(1953)「エジプト人」(1954)「地獄と高潮」(1954)「七年目の浮気」(1955)「慕情**」(1955)「バス停留所」(1956)「追想*」(1956)「アンネの日記*」(1959)「偽の売国奴」(1962)「西部開拓史*」(1962)「偉大な生涯の物語*」(1965)「ネバダ・スミス」(1966)「ファイヤークリークの決斗」(1968)「大空港*」(1970)
(2000年4月)
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