ヤング・ブラッド   THE MUSKETEER

作曲:デヴィッド・アーノルド
Composed by DAVID ARNOLD

指揮:ニコラス・ドッド
Conducted by NICHOLAS DODD

(米Decca / 440 014 920-2)

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アレクサンドル・デュマの有名な原作「三銃士」の何度目かの映画化(2001年製作)で、監督は「カプリコン・1」(1977)「アウトランド」(1981)「プレシディオの男たち」(1988)「タイムコップ」(1994)「レリック」(1997)「エンド・オブ・デイズ」(1999)等のピーター・ハイアムズ。出演はカトリーヌ・ドヌーヴ、ミーナ・スヴァーリ、スティーブン・レイ、ティム・ロス、ジャスティン・チェンバース、ビル・トリーチャー、ダニエル・メスギッチ、デヴィッド・スコフィールド、ニック・モーラン、スティーヴン・スピアーズ、ジャン・グレゴール・クレンプ、ジェレミー・クライド、マイケル・バーン、ジャン=ピエール・カスタルディ他。脚本はジーン・クインターノ、撮影は例によって監督のハイアムズ自身が担当している。1625年のフランスを舞台に、殺された両親の仇を討つためにガスコーニュの村を出て、育ての親のプランシェ(カスタルディ)と共にパリに向ったダルタニアン(チェンバーズ)は、国王の近衛銃士隊員アラミス(モーラン)、アトス(クレンプ)、ポルトス(スピアーズ)の3人や、美しいメイド、フランチェスカ(スヴァーリ)と共に、ルイ13世の側近リシュリュー(レイ)、彼の強力な軍隊を指揮するフェブル(ロス)たちとの闘いに挑む。香港アクション映画のベテラン、シャン・シンシンのスタント演出によるワイヤーアクションを駆使したファイトシーンが見所。

音楽は最近の「007」シリーズの「トゥモロー・ネバー・ダイ」「ワールド・イズ・ノット・イナフ」等を手がけているイギリスの売れっ子作曲家デヴィッド・アーノルドが担当しているが、題材にふさわしく大編成オーケストラを豪快に鳴らしたパワフルなシンフォニック・スコアで、なかなか聴き応えがある。「Main Title」はヒロイックなマーチ調のメインテーマで、ジョン・デブニー作曲の「カットスロート・アイランド」によく似ているが、これと比較すると主題のインパクトが少し弱い。「Fight Inn」「Jailhouse Ruck」「The Riot Begins」「Coach Chase」「Ride to Paris」等はダイナミックなアクション・スコアで、さすがにこういう部分は非常に上手い。「Down by the River」はロマンティックな主題。「Febre」はトラジックなタッチ。「All for One...」の後半のドラマティックな盛り上がりも良い。「Ceremony」は栄光に満ちたフィナーレ。

アレクサンドル・デュマの原作を題材にした映画音楽には傑作が多く、ミシェル・ルグラン(リチャード・レスター監督版「三銃士」)、ラロ・シフリン「四銃士」)、ジャン=クロード・プティ「(未公開)新・三銃士/華麗なる勇者の冒険」)、マイケル・ケイメン(スティーブン・ヘレック監督版「三銃士」)、リズ・オルトラーニ「(未公開)The Fifth Musketeer」)、アリン・ファーガソン「(未公開)The Man in the Iron Mask」)、ニック・グレニー=スミス「仮面の男」)といった様々な作曲家がスコアを提供しているが、個人的にはルグランとプティのスコアが特に気に入っている。イギリス人のデヴィッド・アーノルドによるこの「ヤング・ブラッド」のスコアや、アメリカ人のケイメンによるスコアも、勇壮なアドヴェンチャー・スピリットに満ちてはいるが、優雅さや気品に欠けており、やはりフランス人のルグランとプティのスコアがデュマの作品世界に一番近いという気がする。
(2001年10月)

David Arnold

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