スペース1999  SPACE: 1999

作曲・指揮:エンニオ・モリコーネ
Composed and Conducted by ENNIO MORRICONE

(伊Penta Music / PTM004)

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ジェリー・アンダーソンが1975〜1977年に製作した実写版のTVシリーズ(日本では1977年4月3日〜9月25日にTBSで第1シーズンが初放映された)。監督はレイ・オースティン、ボブ・ブルックス、トム・クレッグ、ケヴィン・コナー、チャールズ・クライトン、ヴァル・ゲスト、リー・H・カッツィン、ボブ・ケレット、ロバート・リン、ピーター・メダック、デヴィッド・トゥームリンが各エピソードを分担。1999年、月に捨てた核廃棄物が突然大爆発を起こし、その衝撃で月は月面基地ムーンベース・アルファを乗せたまま地球の周回軌道を離れ、宇宙をさまよい始める。コーニッグ司令官率いるムーンベース・アルファのクルーは、異星人の襲撃等の危機を乗り越えながら、放浪の旅を続けていく……。
出演はジョン・コーニッグ司令官役がマーティン・ランドー(日本でのTV放映時の吹替は瑳川哲朗)、ヘレナ・ラッセル博士役が当時ランドーの妻だった(1993年に離婚)バーバラ・ベイン(此島愛子)、ヴィクター・バーグマン教授役がバリー・モース(千葉耕市)、アラン・カーター役がニック・テイト(金内吉男)、サンドラ・ベネス役がジーニア・マートン(種谷アツ子)、ポール・モロー役がプレンティス・ハンコック(若本紀昭)、ドクター・ボブ・マシアス役がアントン・フィリップス(小出和明)、タニア・アレクサンドリア役がスザンヌ・ロークエット(三枝みち子)。第2シーズンからは異星人マヤ役のカテリーヌ・シェル(弥永和子)、トニー・ベルデッシ役のトニー・アンホルト(森 功至)、デビッド・カノ役のクリフトン・ジョーンズ(黒部 鉄)他が参加。ゲスト出演として、ピーター・クッシング、クリストファー・リー、ジョーン・コリンズ、リチャード・ジョンソン、イアン・マクシェーン、ジュリアン・グローヴァー、ジェレミー・ケンプ、レオ・マッカーン、ジュディ・ギーソン、マーガレット・レイトン、ヴァレリー・レオン、バリー・ストークス、バーバラ・ケラーマン、ダグラス・ウィルマー、フレディー・ジョーンズ、ジェフリー・ベイルドン、ステュアート・ウィルソン、サラ・ダグラス、デヴィッド・プラウズ、ヒルデガード・ニール他、当時のイギリスのSF・ホラー系俳優が各エピソードに登場。製作は第1シーズン(1975〜1976)がジェリー&シルヴィア・アンダーソン、第2シーズン(1976〜1977)がジェリー・アンダーソンとフレッド・フライバーガー(第1シーズン終了後にジェリーとシルヴィアは離婚した)。撮影はブレンダン・J・スタッフォードとフランク・ワッツ。

音楽は、TVシリーズの第1シーズンをバリー・グレイ(1908〜1984)、第2シーズンをデレク・ワズワース(1939〜2008)が作曲しているが、これはイタリアで1975年1月に劇場公開されたバージョンにエンニオ・モリコーネ(1928〜)が作曲したスコアを収録したCD。この劇場公開版は、TVシリーズ第1シーズンの「人類の危機!宇宙基地大爆発(Breakaway)」「宇宙コンピュータの反逆(Ring Around the Moon)」「月が二つに分かれる時(Another Time, Another Place)」の3エピソードを再編集したもので、その後イタリアでは1976年1月からTVシリーズの放映がスタートした。このCDにはモリコーネが作曲したオリジナル曲と、RCAレーベルがリリースしたモリコーネ作曲のライブラリ音源のプロモーションLP「Dimensioni Sonore」からのセレクションを収録。

冒頭の「Follia nello spazio」「Follia nello spazio (#2)」「Follia nello spazio (#3)」は、アブストラクトなタッチのクールなジャズで、バリー・グレイやデレク・ワズワース作曲のメインテーマとはかなり印象が異なり、意表を突かれる。「Proporzionale」も、ストリングスとパーカッションによるアブストラクトな曲。「Elettronica (#1)」「Elettronica (#2)」は、電子楽器による不気味なタッチの曲。「Convergenze」「Fasi」は、ストリングスによる不吉な曲。「Conduzione」「Parallasse」「Costante」「Studio」は、ダークで陰鬱なタッチ 「Elettronica (#3)」「Suoni di una nuova civilta」「Elettronica (#4)」「Interposizione」「Elettronica (#5)」も、アブストラクトな曲。最後の「Spazio 1999」は、エッダ・デロルソのヴォーカルを織り込んだジェントルでリリカルなエンドクレジット。このTVシリーズに親しんだファンとして、そしてモリコーネのファンとして非常に興味深いCD。
(2016年11月)

Ennio Morricone

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