ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション LOONEY TUNES: BACK IN ACTION
作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH
追加音楽作曲:ジョン・デブニー
Additional Music by JOHN DEBNEY
演奏:ハリウッド・スタジオ交響楽団
Performed by the Hollywood Studio Symphony
(米Varese Sarabande / VCL 1120
1207)
2003年製作のアメリカ=ドイツ合作映画(日本公開は2004年3月)。アニメーションと実写の組み合わせにより、バッグス・バニーやダフィ・ダックといったワーナーの短編アニメ“ルーニー・テューンズ”の人気キャラクターたちが多数出演したファミリー・コメディ。監督は「ピラニア」(1978)「ハウリング」(1981)「トワイライトゾーン/超次元の体験」(1983)「グレムリン」(1984)「エクスプロラーズ」(1985)「インナースペース」(1987)「メイフィールドの怪人たち」(1989)「(TV)HAWAII
FIVE-0」(2011〜2017)等のジョー・ダンテ(1946〜)。アニメーションの監督は「ポカホンタス」(1995)等のエリック・ゴールドバーグ(1955〜)。出演はブレンダン・フレイザー、ジェナ・エルフマン、スティーヴ・マーティン、ティモシー・ダルトン、ヘザー・ロックリア、ジョーン・キューザック、ビル・ゴールドバーグ、ディック・ミラー、ロジャー・コーマン、ケヴィン・マッカーシー、マーク・ローレンス、ビル・マッキニー、ロン・パールマン、ヴァーノン・ウェルズ、ピーター・グレイヴス他。声の出演はジョー・アラスキー(バッグス・バニー/ダフィ・ダック/シルベスター)、ジェフ・グレン・ベネット(ヨセミテ・サム)、エリック・ゴールドバーグ(トゥイーティー)、ビリー・ウェスト(エルマー)、フランク・ウェルカー(スクービー・ドゥ)、ボブ・バーゲン(ポーキー・ピッグ)他。脚本はラリー・ドイル。撮影はディーン・カンディ。人気スターのバッグス・バニーの引き立て役に嫌気がさしたダフィ・ダックは、ワーナーの副社長ケイト・ホートン(エルフマン)からクビにされてしまう。スタントマン志望の警備員DJ・ドレイク(フレイザー)は、抵抗するダフィを取り押さえようとしてヘマをし、一緒にお払い箱に。自宅に戻ったDJは、スパイ映画のスター俳優である父親ダミアン・ドレイク(ダルトン)が、実は本当のスパイだったと知る。アクメ・コーポレーションの会長(マーティン)に誘拐されてしまったダミアンを救出するため、DJとダフィはラス・ヴェガスへと向かうが……。製作費は約8000万ドル、全世界興行収入は約6851万ドル。グレイヴスの最後の映画出演作。
音楽は「グレムリン」(1984)「エクスプロラーズ」(1985)「インナースペース」(1987)等でもジョー・ダンテ監督と組んでいるジェリー・ゴールドスミス(1930〜2004)で、これは彼の最後のフィルム・スコア。当時癌に罹っていたゴールドスミスの健康状態が悪化したことで、映画の最後のリールのスコアは「カットスロート・アイランド」(1995)「エンド・オブ・デイズ」(1999)「アイアンマン2」(2010)等のジョン・デブニー(1956〜)が急遽起用されて作曲した(追加音楽の作曲家としてクレジットされている)。このスコアは公開当時の2003年にVareseレーベルが全21曲/36:30収録のサントラCDを出しているが、この同じVareseレーベルによる“The
Deluxe
Edition”はCD2枚組(全79曲/約123分)で、1枚目にスコアの拡張盤、2枚目に代替テイク等と2003年盤の内容を収録。2500枚限定プレス。
CD1枚目の冒頭「Looney Tunes Opening (What's Up Doc?) / Rabbit Fire」は、過去の「ルーニー・テューンズ」シリーズのスコアを手がけたアメリカの作曲家カール・W・ストーリング(1891〜1972)作曲の明るく快活なオープニングからおどけたタッチへと展開する曲。編曲はオーストラリアのアニメ音楽作曲家キャメロン・パトリック。「What's
Up?」は、ビッグバンドジャズからサスペンス調、マーチ調へ展開。「Another Take」は、ヴァイオリン・ソロによるメランコリックな主題からダイナミックなタッチへ。「Dead
Duck Walking」は、時計のリズムを刻むような軽快なフレーズから快活なタッチ、ダイナミックなサスペンス調へ。「She
Likes You」「Wacky Marvin in the Jar」は、抑制されたサスペンス音楽。「The Shimmy /
Out of the Bag / Save Dad / The Car」は、ジャズ・ベースのスパイ映画風のダミアンの主題から明るく快活なタッチ、おどけたタッチ、「グレムリン」の主題へと展開。「Not
a Billion」は、明るく長閑なタッチ。「Blue Monkey」は、マーチ調のサスペンス音楽。「Extra
Crispy」「The Hook / Africa」は、ヒロイックな主題。「The Shower / Psycho
Parody」は、ヒッチコック監督の「サイコ」のシャワー・シーンのパロディにつけられた不気味なサスペンス音楽で、作曲はジョン・デブニー。「In
Style」は、スパイ映画風の主題からヴァイオリン・ソロによるメランコリックな主題へ。「The Bad Guys」は、抑制されたサスペンス調からリズミックで躍動的な西部劇調の主題へ。「Hit
Me」「Car Trouble / Flying High」も、躍動的な西部劇調の主題。「Hurry Up」は、ビジーなサスペンス音楽。「Nice
Hair / Burning Tail」は、ジェントルなタッチの主題からおどけたタッチへ。「A Visit to
Walmart / Free Drinks」は、女声コーラスをフィーチャーしたジェントルな曲。「Wrong Turn
Coyote」は、カール・W・ストーリング作曲のおどけたタッチのサスペンス音楽で、追加音楽はキャメロン・パトリック。「The
Launch」は、キャメロン・パトリック作曲のおどけたサスペンス音楽。「Thin Air」は、レイモンド・スコット(1908〜1994)作曲の「Powerhouse」の引用を含むリズミックな曲。スコット自身はアニメの作曲家ではなかったが、カール・ストーリングが彼の主題を多数の「ルーニー・テューンズ」作品で引用している。「Area
52 (Take 54)」は、ミステリアスなタッチの曲。「You're Next」は、ダークなサスペンス音楽。「Hot
Pursuit」は、ダークなタッチからスパイ映画風の主題へ。「We've Got Company / Man & A
Woman / I'll Take That」は、リズミックなサスペンス調からフランシス・レイ作曲の「男と女」の主題等へと展開。「The
Painting / The Scream/ It Is Spring / Bugs with Mandolin」は、ヨハン・シュトラウス2世作曲の『美しく青きドナウ』、ジョアキーノ・ロッシーニ作曲の『セビリアの理髪師』、モデスト・ムソルグスキー作曲の『展覧会の絵』、ジャック・オッフェンバック作曲の『天国と地獄』、アントニオ・ヴィヴァルディ作曲の『マンドリン協奏曲』『四季』といったクラシック音楽の主題を織り込んだ曲で、編曲はマーク・マッケンジー。「The
Red Balloon」は、ダークなタッチからリリカルな主題へ。「Paris Street」は、アコーディオンによるリリカルな主題。「Free
Fall」「Tasmanian Devil」は、ダークでダイナミックなサスペンス音楽。「Jungle
Scene」「Pressed Duck」は、大らかで躍動的なタッチの曲。「Re-Assembled」は、ダークなタッチからパーカッシヴなサスペンス音楽へ。「Waiting
for a Train」「A New Puppy」「To the Rescue」は、「Powerhouse」の引用を含むダイナミックなサスペンスアクション音楽で、作曲はジョン・デブニー。「Heroes」は、ダイナミックなサスペンス調からヒロイックなマーチ、おどけたタッチへと展開する曲で、これもデブニーの作曲。「Merry-Go-Round
Broke Down (That's All Folks!)」は、「ルーニー・テューンズ」の最後に流れる曲(作曲はクリフ・フレンドとデイヴ・フランクリン)で、編曲はキャメロン・パトリック。「End
Title Suite」は、おどけたタッチの主題やスパイ映画風の主題、西部劇調の主題等がメドレーで展開するエンドタイトル組曲。スラプスティックな“ミッキー・マウジング”音楽、アクション、コメディのタッチを組み合わせたカラフルなスコア。
追加音楽を担当したジョン・デブニーはジェリー・ゴールドスミスを尊敬しており、この仕事で初めてゴールドスミス本人に会ったというが、映画が完成した後で彼からカルティエの時計と「ありがとう」というメッセージカードが送らて来て、思わず涙したという。
(2021年2月)
Jerry Goldsmith
John Debney
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