レア・サウンドトラックス Volume 7(3) LES B.O. INTROUVABLES - VOLUME 7 / CD3
(未公開)LES FAUSSES CONFIDENCES
(未公開)LE CŒUR À L'ENVERS
(未公開)LE BAHUT VA CRAQUER
作曲・指揮:ジャン・ミュジー
Composed and Conducted by JEAN MUSY
(仏Music Box Records /
MBR-B7)
フランスのMusic
Boxレーベルが、あまり知られていないマイナーなフランス映画音楽をシリーズで紹介しているサウンドトラック集の第7弾(350枚限定プレス)で、今回はフレンチポップスの指揮者・編曲者にスポットを当てたコンピレーション。CD3枚組となっており、ここではその3枚目に収録された「ココ・シャネル」(1981)「ベイビー・ブルース」(1988)「白い婚礼」(1989)「ホドロフスキーの虹泥棒」(1990)「ランジュ・ノワール/甘い媚薬」(1994)「はじらい」(2006)等のジャン・ミュジー(1947〜2024)による3作品のスコアを紹介。
「(未公開)LES FAUSSES CONFIDENCES」は、1984年製作のフランス映画(英語題名は「THE
FALSE CONFESSIONS」)。監督は「ベイビー・ブルース」(1982)等のダニエル・ムースマン(1936〜)。出演はジャン=ピエール・ブーヴィエ、ロジェ・コッジオ、ファニー・コタンソン、ブリジット・フォッセー、ミシェル・ガラブリュ、ポール・プレボワ、ミシェリーヌ・プレスル、ロベール・リンボー、イヴ・アリオン他。『愛と偶然との戯れ(Le
Jeu de l'amour et du hasard)』(1730)等で知られるフランスの劇作家マリヴォー(ピエール・カルレ・ドゥ・シャンブラン・ドゥ・マリヴォー/1688〜1763)による戯曲『偽りの告白(Les
Fausses Confidences)』を基にダニエル・ムースマンとベルナール・G・ランドリーが脚本を執筆。撮影はエチエンヌ・ベッケル。若くて裕福な未亡人だが、ドリモン伯爵と既に婚約しているアラミンテ(フォッセー)の会計士として雇われた文無しのドランテ(ブーヴィエ)は、アラミンテの従僕デュボワ(コッジオ)と組んで彼女を心を射止めようとするが……。同じ戯曲が「(未公開/TV)LES
FAUSSES CONFIDENCES」(2017/監督:リュック・ボンディ、マリー=ルイーズ・ビショフベルジェ、出演:ルイ・ガレル、イザベル・ユペール)として映像化されている。また、原作戯曲は『偽りの告白』として1955年に日本の岩波書店から出版されている(鈴木力衛訳)。
「ベイビー・ブルース」(1982)でもダニエル・ムースマン監督と組んでいるジャン・ミュジーのスコアは、公開当時の1984年にフランスのCarrereレーベルから全14曲/約31分収録のサントラLP(Carrere
66183)が出ていたが、このMusic BoxのCDは同内容をリマスターしたもの。「Lumière」は、ストリングスによる躍動的なイントロから女声ヴォーカルによるメランコリックなメインの主題へと展開するクラシカルなタッチの曲。「Rencontre」は、ストリングス、クラリネットによる優雅でジェントルな曲。「Invocation」「Prière」「Crépuscule」は、女声ヴォーカルをフィーチャーしたメランコリックでドラマティックな曲。「Transparence」は、メランコリックかつリリカルなタッチの曲。「Clair
obscur」は、ストリングス、クラリネットによるメランコリックでドラマティックな曲。「Sérénité」「Impressions」「Doutes」「Remords」「Attente」は、繊細でドラマティックな曲。「Allégresse」は、ストリングスによる躍動的なタッチの曲。「Joie」は、女声ヴォーカルをフィーチャーしたメインの主題のリプライズ。クラシカルでドラマティックなタッチのスコア。ヴォーカルはガエル・ドゥ・カレット、ラテン語の歌詞はロランス・マタロン。
「(未公開)LE CŒUR À L'ENVERS」は、1980年製作のスペイン=フランス合作映画(英語題名は「MY
HEART IS UPSIDE DOWN」)。監督はフランク・アプレドゥリ(1940〜)。出演はアニー・ジラルド、ローラン・マレ、シャルル・デネール、ステファーヌ・オードラン、フロランス・ペルネル、ローラン・ベルタン、セバスチャン・ドライ、コラリー・クレマン、クロード・ルグロ、ヴィクトリア・アブリル、ジュリー・ジェゼケル、ホセ・マリア・ギレン、リディア・ロペス、エドゥアルド・ベア、マリー=ジョゼ・スルム他。脚本はフランク・アプレドゥリ、オディール・バルスキとジェラール・ブラシュ。撮影はシャルレ・ルクール。45歳の心理学者ロール(ジラルド)は、23歳の息子ジュリアン(マレ)のことを知らなかったが、パリにやって来たジュリアンはロールと出会い、互いに情熱的に惹かれあうようになる……。
ジャン・ミュジーのスコアは、公開当時の1980年にフランスのSpalaxレーベルから全16曲/約32分収録のサントラLP(Spalax
6823)が出ていたが、このMusic BoxのCDは同内容をリマスターしたもの。「Le cœur à l'envers」は、ピアノをフィーチャーしたメランコリックでリリカルなメインの主題。このメインの主題は「Générique
début」「Ambiance」「Laure et Julien」「Laure」「Après le télégramme」等でも様々なアレンジメントで登場する。「Chanson
du voyage」は、コーラスを加えたジェントルでリリカルなタッチの曲。「Danse Pauline」は、ロックソングの挿入歌。「Voyage
en Espagne」「Réveil sur la plage」は、メランコリックで情感豊かな曲。「Aveux de
Julien」は、ピアノをフィーチャーしたメランコリックでリリカルな曲。「Départ de Laure」は、ドラマティックかつトラジックな曲。「Nuit
en Espagne」は、ギターをフィーチャーしたメランコリックなタッチ。「Attente」は、メランコリックでドラマティックな曲。「Jalousie
de Julien」は、ドラマティックでサスペンスフルなタッチ。「Générique fin」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。
「(未公開)LE BAHUT VA CRAQUER」は、1981年製作のフランス映画(英語題名は「SCHOOLS
FALLING APART」)。監督はミシェル・ネルヴァル(1945〜2009)。出演はミシェル・ガラブリュ、クロード・ジャド、ダリー・カウル、アンリ・ギイベ、ロベール・カステル、ダニー・キャレル、ジャック・モノド、ファニー・バスチアン、カロリーヌ・ベランジェ、クリスティアーヌ・モントモリー、ナタリー・サリマ、シャルロット・ワリオール、エリック・シヴァンヤン、アルノー=ディディエ・フシュ、ジャン=ピエール・エデルマン他。脚本はマルティーヌ・ネルヴァル。撮影はジャン・バダル。1980年代のフランスのティーンエイジャーたちによるラヴ・ストーリー。
ジャン・ミュジーのスコアは、公開当時の1981年にフランスのEMI
Pathé Marconiレーベルから全2曲/約6分収録のサントラEP(EMI Pathé Marconi 2C 008-
72402)が出ていたが、このMusic BoxのCDには、2曲のうちジェントルでリリカルなメインタイトル「Thème du film
(Instrumental)」のみを収録。
尚、この3枚組CDの収録作品は以下の通り:
DISC 1
・(未公開)LES
FOURBERIES DE SCAPIN(作曲:ジャン・ブーシェティ)
・(未公開)LE FOU DU
ROI(作曲:ドミニク・ペリエ、サム・ベルネット)
DISC 2
・(未公開)EXTÉRIEUR,
NUIT(作曲:カール=ハインツ・シェーファー)
・(未公開)POLAR(作曲:カール=ハインツ・シェーファー)
DISC 3
・(未公開)LES FAUSSES CONFIDENCES(作曲:ジャン・ミュジー)
・(未公開)LE CŒUR À
L'ENVERS(作曲:ジャン・ミュジー)
・(未公開)LE BAHUT VA CRAQUER(作曲:ジャン・ミュジー)
(2024年5月)
Jean Musy
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