レア・サウンドトラックス Volume 8(1) LES B.O. INTROUVABLES - VOLUME 8 / CD1

宮廷円舞曲 DAMES GALANTES
(未公開)PRIEZ POUR NOUS

作曲・指揮:レイモン・アレッサンドリーニ
Composed and Conducted by RAYMOND ALESSANDRINI

演奏:パリ・オペラ座管弦楽団(「宮廷円舞曲」)
Performed by l'Orchestre de l'Opera de Paris (DAMES GALANTES)

(仏Music Box Records / MBR-B8)

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フランスのMusic Boxレーベルが、あまり知られていないマイナーなフランス映画音楽をシリーズで紹介しているサウンドトラック集の第8弾(300枚限定プレス)で、1982年から1994年の間に作曲されたスコアを集めたコンピレーション。CD3枚組となっており、ここではその1枚目に収録されたレイモン・アレッサンドリーニ(1948〜)作曲の2作品のスコアを紹介。いずれもスコアリング・セッションの素材からリマスターされている。

「宮廷円舞曲(DAMES GALANTES)」は、1990年製作のフランス=イタリア=カナダ合作映画(英語題名は「GALLANT LADIES」/日本公開は1992年6月/日本でのビデオ発売時の邦題は「レディー・イン・ベッド/宮廷円舞曲」)。監督は「さよならの微笑」(1975)「C階段」(1985)「巴里を追いかけて」(1987)等のジャン=シャルル・タケラ(1925〜)。出演はリシャール・ボーランジェ、イザベラ・ロッセリーニ、マリアンヌ・バスレール、ラウラ・ベティ、ロバン・ルヌッチ、マリー=クリスティーヌ・バロー、アンヌ・レトゥールノー、アラン・ドゥテイ、エヴァ・グリマルディ、フランソワ=エリック・ジャンドロン、アリエル・セムノフ、アリックス・ドゥ・コノプカ、ナタリー・マン、ローラン・ルサッフル、シリル・オーバン他。脚本はジャン=シャルル・タケラとジャック・エマニュエル。撮影はドミニク・ル・リゴルール。

16世紀フランスの伝記作家“ブラントーム”ことピエール・ドゥ・ブールデイユ(1540〜1614)の女性遍歴を描いたコメディ。カトリックとプロテスタントの間に起きた宗教戦争で分裂状態のフランス。40歳になった田舎貴族で兵士のブラントーム(ボーランジェ)は、いつも女性のことしか考えていない男で、残りの人生を女たちに捧げようと決意し、宮廷中のすべての女たちと関係を持とうとする――感傷的で情熱的なヴィクトワール(ロッセリーニ)、魅惑的で謎めいたマルゲリート王妃(バスレール)、等々。1589年に落馬したことで兵役から引退した彼は作家となり、彼女たちとの情事を永遠に残すために自叙伝を書き始めるのだった……。

レイモン・アレッサンドリーニのスコアは「Générique début」が、快活なファンファーレ調のイントロからフルートとストリングスによるドラマティックな主題へと展開するルネサンス音楽風のメインタイトル。「Brantôme fait la guerre」「Henri III et sa royale famille」「Toujours la guerre」「Paris, le purgatoire des solliciteurs」は、荘厳なマーチ調の曲。「Les femmes de Brantôme」は、ストリングスによるストイックでドラマティックなタッチの曲。「Madame de la Rivière」は、快活で躍動的な曲。「Victoire se marie」「Les Gelosi」「Soirée chez Madame de Retz」「Entrée de Marguerite de Valois」「La volte」「Brantôme est fiancé」「Pose pour Monsieur de Caullery」「Les mémoires de Brantôme」「Le bal imaginaire」は、ジェントルかつ快活なタッチのルネサンス音楽風の曲。「Victoire, Brantôme et leurs amours」「Victoire se meurt」は、メランコリックかつドラマティックなメインのバリエーション。「Ces demoiselles de l'escadron volant」は、ギターをフィーチャーしたメランコリックなタッチの曲。「L'accident」は、ドラマティックなサスペンス音楽。「Les confidences de Marguerite」「Solitude de Marguerit」は、メランコリックかつドラマティックな曲。「Les cauchemars de Brantôme」は、抑制されたサスペンス音楽。「Les confessions de Victoire」は、快活でドラマティックな曲。「Le château d'Usson」は、ダークなタッチの曲。「Générique fin」は、ドラマティックなメインの主題から後半ルネサンス音楽風に展開するエンドタイトル。リコーダーとクラムホルン(ルネサンス期の木管楽器)の演奏はドゥニス・ウォルフカリウス。

「(未公開)PRIEZ POUR NOUS」は、1994年製作のフランス映画(英語題名は「PRAY FOR US」)。監督はジャン=ピエール・ヴェルニュ(1946〜2014)。出演はデルフィーヌ・リシュ、サミュエル・ラバルト、デルフィーヌ・ル・ゴフ、トマ・ロッシュフォール、ジャック・ドゥ・カンデ、ガストン・ドール、エルワン・ドゥモール、マチルド・ロベール、レオポルディーヌ・セル、エステル・マイエ、エレーヌ・スコット、ジョフロイ・ティエボー、ジャニーヌ・ダリセイ、ブリューノ・シャペル、イザベル・タナキル他。リオネル・デュロイの原作を基にジャン=ピエール・ヴェルニュとシャルル・ガソーが脚本を執筆。撮影はウィリー・クラン。

1960年のフランス。ギドン・ドゥ・ルペイニャク家の男爵であるラウール(ラバルト)、その妻シュザンヌ(リシュ)と8人の子供たちは、株の暴落により高級住宅地ヌイイ=シュル=セーヌの瀟洒な邸宅から、労働者階級が住む郊外の街へと引っ越さざるを得なくなる。シュザンヌは新しい生活になかなか適応できずに苦労するが、ラウールは債権者たちからの追求をかわしつつ、なんとか危機を切り抜けようとしていた。やがてラウールと子供たちは、生活費を稼ぐために裏稼業にも手を染めはじめるが……。

レイモン・アレッサンドリーニのスコアは「Générique」が、ハープシコードをフィーチャーした躍動的でドラマティックなタッチのメインタイトル。「L'école」は、ピアノとストリングスによる明るく快活なタッチの曲。「Baron Guidon de Repeygnac」は、メインの主題のジェントルなアレンジメント。「Arrivée dans le HLM」は、ややとぼけたタッチの曲。「Sortie de l'école」「Les enfants font des affaires」「Bidons d'huile contre pneu」「La campagne et voiture en panne」は、明るく快活なタッチの曲。「C'est la fête」は、アコーディオンをフィーチャーした陽気なワルツ。「Crucifix contre couscous」は、ジェントルなタッチの曲。「Rien ne marche」は、チェロによる優雅で美しい主題から明るく快活なタッチへ。「À l'église」は、オルガンをフィーチャーした荘厳なタッチの曲。レイモン・アレッサンドリーニ自身がハープシコード(チェンバロ)を演奏している。


レイモン・アレッサンドリーニは、1948年にドイツのコブレンツで生まれ、フランスのパリ国立高等音楽院で音楽の教育を受けた。1969年に映画音楽作曲家のミシェル・マーニュと知り合った彼は、マーニュのオーケストレーターとなり、それ以来、エルマー・バーンステイン、ラロ・シフリン、ジョルジュ・ドルリュー、アルフレッド・ニューマンといった映画音楽作曲家からピアニストとして雇われるようになった。1982年に、ドルリューの紹介により初のテレビ映画の仕事となる「(未公開/TV)Les joies de la famille Pinelli」のスコアを作曲。ジャン=シャルル・タケラ監督とは、「C階段」(1985)「巴里を追いかけて」(1987)「宮廷円舞曲」(1990)等、いくつかの作品で組んでいる。

レイモン・アレッサンドリーニが手がけた作品には
「(未公開)Chobizenesse」(1975)
「(未公開)Deux heures moins le quart avant Jésus-Christ」(1982)
「(未公開/TV)Les joies de la famille Pinelli」(1982)
「(未公開)Le voyage à Deauville」(1983)
「(未公開/TV)Fabien de la Drôme」(1983)
「(未公開/TV)Jeu, set et match」(1985)
「(TV)ミステリー/牝狼(Les louves, aka Letters to an Unknown Lover)」(1985)
「(未公開/TV)Les colonnes du ciel」(1985)
「(未公開/TV)Félicien Grevèche」(1986)
「巴里を追いかけて(Travelling avant)」(1987)
「(未公開)La maison de Jeanne」(1988)
「(未公開)Pleure pas my love」(1989)
「宮廷円舞曲(Dames galantes)」(1990)
「(未公開/TV)Le roi de Patagonie」(1990)
「(未公開/TV)Les cavaliers aux yeux verts」(1990)
「(未公開/TV)Coup de foudre」(1990〜1991)
「(未公開)Triplex」(1991)
「(未公開/TV)Aldo tous risques」(1991〜1992)
「(未公開)L'homme de ma vie」(1992)
「(未公開/TV)Prêcheur en eau trouble」(1992)
「(未公開/TV)Jenny Marx, la femme du diable」(1993)
「(未公開/TV)Un crime de guerre」(1994)
「(未公開)Priez pour nous」(1994)
「(未公開)Tous les jours dimanche」(1994)
「(未公開/TV)Le marché du sport」(1996)
「(未公開)Les gens qui s'aiment」(1999)

等がある。


尚、この3枚組CDの収録作品は以下の通り:

DISC 1
・宮廷円舞曲 DAMES GALANTES(作曲:レイモン・アレッサンドリーニ)
・(未公開)PRIEZ POUR NOUS(作曲:レイモン・アレッサンドリーニ)

DISC 2
・(未公開)L'ADDITION(作曲:ジャン=クロード・プティ)
・美しさと哀しみと TRISTESSE ET BEAUTÉ(作曲:ジャン=クロード・プティ)


DISC 3
・(未公開)L'AMOUR PROPRE NE LE RESTE JAMAIS TRÈS LONGTEMPS(作曲:ジャン=クロード・ヴァニエール)
・(未公開)SALUT... J'ARRIVE(作曲:クリスチャン・ペガン)


(2024年8月)

Raymond Alessandrini

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