<収録曲>
1. 賭博師ボブ BOB LE FLAMBEUR (1956)
・Theme de Bob
2. マンハッタンの二人の男 DEUX HOMMES DANS
MANHATTAN (1959)
・Deux hommes dans Manhattan
・Deambulation nocturne
・Filature
・Street in Manhattan
3.(未公開)モラン神父 LEON MORIN PRETRE
(1961)
・Leon Morin
4. いぬ LE DOULOS (1962)
・Le doulos
・Jazz rapide
・Final
5.(未公開)フェルショー家の長男 L'AINE DES
FERCHAUX (1963)
・Les Appalaches
6. サムライ LE SAMOURAI (1967)
・Le samourai
・Fatalite / Le blessure
7. 影の軍隊 L'ARMEE DES OMBRES (1969)
・Theme de Gerbier
・Le 20 Octobre 1942
・Mathilde / Les barraquements
8. 仁義 LE CERCLE ROUGE (1970)
・Le cercle rouge
・Quand les hommes ont rendez-vous
・Final inedit
9. リスボン特急 UN FLIC (1972)
・Un moniseur distingue
・Un casse
・C'est ainsi que les choses arrivent
10. 仁義 LE CERCLE ROUGE(リジェクテッド・スコア)
・Chasses-croises
・Visions
・Engrenages (Final)
“ヌーヴェル・ヴァーグの父”と呼ばれ、「サムライ」「仁義」等のフィルム・ノワール(犯罪映画)の傑作で知られるフランスの名匠ジャン=ピエール・メルヴィル(1917/10/20〜1973/8/2)監督作品の音楽を集めたコンピレーション。
メルヴィルは、アメリカ映画の熱狂的なファンで、監督としては特にフランク・キャプラ、ジョン・フォード、ウィリアム・ワイラー、ジョン・ヒューストンを高く評価していた。本名は、ジャン=ピエール・クロード・グルムバッシュ(Jean-Pierre Claude Grumbach)だったが、崇拝する作家ハーマン・メルヴィル(『白鯨』)に因んでジャン=ピエール・メルヴィルと名乗るようになる。1945年に短編「(未公開)ある道化師の二十四時間(Vingt-quatre heures de la vie d'un clown)」で監督デビュー。1947年に自らの撮影所「ステュディオ・ジェンネル」を設立し、長編処女作「(未公開)海の沈黙(Le silence de la Mer)」を監督する。この作品を見たジャン・コクトーに依頼されて「恐るべき子供たち(Les enfants terribles)」(1950)を監督。1953年には、自身が唯一脚本を担当しなかった「(未公開)この手紙を読むときは(Quand tu liras cette lettre)」を発表。1956年、モンマルトルの暗黒街を舞台とした「賭博師ボブ(Bob le flambeur)」を監督。この作品以降、「いぬ(Le doulos)」(1962)「ギャング(Le deuxieme souffle)」(1966)「サムライ(Le samourai)」(1967)「影の軍隊(L'armee des ombres)」(1969)「仁義(Le cercle rouge)」(1970)「リスボン特急(Un flic)」(1972)と、暗黒街を舞台としたフィルム・ノワールの傑作を次々と手がける。
メルヴィルは私の大好きな監督で、独特の抑制されたタッチの緻密な演出と、後期のカラー作品でのブルー系寒色による美しい映像が素晴らしい。暗黒街に生きる男たちのプロフェッショナリズムとストイシズムを描かせれば、彼の右に出る者はいないだろう。ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォーといった“ヌーヴェル・ヴァーグ”の映画作家をはじめ、ジョン・ウー、クエンティン・タランティーノ、マイケル・マン、フォルカー・シュレンドルフ、ジョニー・トー、マーティン・スコセッシ等の監督が、メルヴィルから強い影響を受けている。
30年近いキャリアで14本の作品しか残さなかった寡作家だが、特定の作曲家とずっとパートナーを組むようなことはなく、作品毎に異なる作曲家を起用しているところが興味深い。
1. 賭博師ボブ BOB LE FLAMBEUR
1956年製作だが、日本初公開は1989年12月(英語題名は「Fever Heat」)。出演はイザベル・コレイ、ダニエル・コーシィ、ロジェ・デュシェーヌ、アンドレ・ガレ、ジェラール・ブール、ギイ・ドゥコンブル、クロード・セルヴァル他。脚本は、メルヴィルとオーギュスト・ル・ブルトン。撮影はアンリ・ドカエとモーリス・ブルテリー。製作はメルヴィルとセルジュ・シルベルマン。賭博に明け暮れるやくざ者のボブ(デュシェーヌ)は、彼を慕う青年パオロ(コーシィ)や昔の仲間を誘い、ドーヴィルのカジノの金を強奪する計画を立てる。しかし、決行の当夜、いつになくルーレットのツキがまわった彼はすっかり勝負にのめり込んでしまう……。この映画は、1997年にジョン・アーヴィン監督/ハーヴェイ・カイテル主演の「バッドデイズ(CITY OF INDUSTRY)」(音楽はスティーヴン・エンデルマン)、2002年にニール・ジョーダン監督・脚本/ニック・ノルティ、チェッキー・カリョ、エミール・クストリッツァ出演の「ギャンブル・プレイ(THE GOOD THIEF)」(音楽はエリオット・ゴールデンタール)として2度リメイクされている。音楽はジョ・ボワイエとエディー・バークレイが担当しているが、ここではボワイエ作曲のドラマティックなジャズ「Theme de Bob」を収録(演奏はエディー・バークレイのオーケストラで、トランペットはジョ・ボワイエ)。エディー・バークレイは1921年1月26日生まれのフランスの作曲家/ジャズ・ピアニスト(2005年5月12日没)で、「狂った本能(L'ile du bout du monde)」(1959)等の音楽を手がけている。
2. マンハッタンの二人の男 DEUX HOMMES DANS MANHATTAN
1959年製作だが、日本初公開は1990年1月(英語題名は「Two Men in Manhattan」)。メルヴィルがニューヨークに渡り、長年の念願であったアメリカ・ロケで撮った作品で、彼は主役の1人であるモロー役を自ら演じている。共演はピエール・グラッセ、クリスティアーヌ・ユード、ジンジャー・ホール、コレット・フルーリー、モニーク・エヌシー、グレンダ・リー、ジャン・ダルカント他。撮影はニコラ・アイエ。ニューヨークの国連本部本会議に出席しているはずの仏代表ベルティエの不在を怪しんだジャーナリストのモロー(メルヴィル)は、相棒のカメラマン、デルマス(グラッセ)と共に行方を追い、彼が愛人の女優の部屋で死亡しているのを発見する……。音楽は、クリスチャン・シュヴァリエとマルシアル・ソラルが担当しているが、ここではシュヴァリエ作曲の4曲を収録。「Deux hommes dans Manhattan」「Filature」は、ダイナミックでパンチの効いたジャズ。「Deambulation nocturne」は、気だるいタッチ。「Street in Manhattan」は、映画に出演もしているグレンダ・リーのセンシュアルなヴォーカルによる挿入歌。このCDのライナーノーツに記されたクリスチャン・シュヴァリエのコメントでは、曲の書き直しを際限なく要求してくるメルヴィルに愛想をつかしたシュヴァリエが途中で降りてしまい、最後の1曲のみマルシアル・ソラルが作曲したという。
クリスチャン・シュヴァリエは、1930年7月12日生まれのフランスの作曲家で、「(未公開)Le triomphe de Michel Strogoff」(1961)「ドリアン・グレイ/美しき肖像(Il dio chiamato Dorian)」(1970)「(未公開)Le voyage de noces」(1976)「(未公開)Charlie Dingo」(1987)「フレンチなしあわせのみつけ方(Ils se marierent et eurent beaucoup d'enfants)」(2004)等のスコアを手がけている。
3. (未公開)モラン神父 LEON MORIN PRETRE
1961年製作のフランス=イタリア合作映画(英語題名は「The Forgiven Sinner」)。出演はジャン=ポール・ベルモンド、エマニュエル・リヴァ、イレーヌ・テュンク、ニコール・ミレル、ジゼル・グリム、マルコ・ブアール、フォルカー・シュレンドルフ他。ベアトリクス・ベックの自伝的小説を基にメルヴィルが脚本を執筆。撮影はアンリ・ドカエ。製作はカルロ・ポンティ。第二次大戦下フランスのアルプス地方の田舎町で、幼い娘と暮らす共産主義者の未亡人バルニー(リヴァ)は、教会で適当に選んだ神父に宗教批判をぶつけるが、その若くてハンサムな神父モラン(ベルモンド)は全く動じる気配を見せなかった……。レジスタンス運動を母体としながら、“女性映画”の秀作として高い評価を受けた作品で、1961年度ヴェネチア国際映画祭のヴェネチア市賞を受賞(メルヴィルが生前に受賞した唯一の映画賞)。音楽はマルシアル・ソラルが作曲しており、ここではドラマティックな「Leon Morin」を収録。
マルシアル・ソラルは、1927年8月23日、アルジェリア生まれの作曲家で、「マンハッタンの二人の男(Deux hommes dans Manhattan)」(1959)「(未公開)Match contre la mort」(1959)「オルフェの遺言-私に何故と問い給うな-(Le testament d'Orphee, ou ne me demandez pas pourquoi!)」(1960)「勝手にしやがれ(A bout de souffle)」(1960)「(未公開)Si le vent te fait peur」(1960)「艶ほくろ(L'affaire d'une nuit)」(1960)「(未公開)Les ennemis」(1962)「(未公開)Svenska flickor i Paris」(1962)「(未公開)Le bougnat」(1963)「(未公開)Le temps d'une nuit」(1964)「黄金の男(Echappement libre)」(1964)「マンハッタンの哀愁(Trois chambres a Manhattan)」(1965)「(未公開)Timber - OK i Canada」(1967)「(未公開)Ballade a blanc」(1983)「(未公開)Les acteurs」(2000)等のスコアを手がけている。
4. いぬ LE DOULOS
1962年製作(英語題名は「The Finger Man」)。出演はジャン=ポール・ベルモンド、セルジュ・レジアニ、ミシェル・ピッコリ、ジャン・ドザイー、ルネ・ルフェヴル、マルセル・キュヴリエ、フィリップ・マルシュ、ファビエンヌ・ダリ他。ピエール・ルズーの原作を基にメルヴィルが脚本を執筆。撮影はニコラ・アイエ、製作はカルロ・ポンティ。刑務所から出所したばかりのモーリス・フォージェル(レジアニ)は、仲間と共にヌイイの邸宅に強盗に入るが、何者かの通報により駆けつけた警察と銃撃戦になり、肩を撃たれる。モーリスは、仲間の1人であるシリアン(ベルモンド)が密告者(いぬ)で、犯罪計画を警察に通報したと怪しむが……。日本で初めて公開されたメルヴィル作品で、ベルモンドの超然としたクールな演技が秀逸な傑作。音楽はポール・ミスラキが作曲しており、ここでは、明るいタッチのジャズ「Le doulos」、スリリングな「Jazz rapide」、ドラマティックでややメランコリックな「Final」を収録。
ポール・ミスラキは、1908年1月28日、トルコのコンスタンチノープル(現イスタンブール)生まれの作曲家(1998年10月29日没)で、「情婦マノン」(1948)「バルテルミーの大虐殺」(1954)「素直な悪女」(1956)「モンパルナスの灯」(1958)「殺人鬼に罠をかけろ」(1958)「危険な遊び」(1958)「お嬢さん、お手やわらかに!」(1958)「いとこ同志」(1959)「アルファヴィル」(1965)「木洩れ日」(1991)等、数多くのフランス映画の音楽を手がけている。
5.(未公開)フェルショー家の長男 L'AINE DES FERCHAUX
1963年製作(英語題名は「An Honorable Young Man」)。出演はジャン=ポール・ベルモンド、シャルル・ヴァネル、ミシェル・メルシエ、マルヴィナ・シルベルベルグ、ステファニア・サンドレッリ、バーバラ・ソマーズ、ジンジャー・ホール他。ジョルジュ・シムノンの原作を基にメルヴィルが脚本を執筆。撮影はアンリ・ドカエ。老企業家デュードンヌ・フェルショー(ヴァネル)と、彼の秘書兼ボディガードの若者ミシェル・モーデ(ベルモンド)のアメリカでの逃避行を描いたロードムービー風のドラマ。アメリカを舞台としたメルヴィル初のカラー作品で、「(未公開)モラン神父」「いぬ」に続き、本作でもベルモンドと組んでいる。2001年にベルナール・ストラ監督によりフランスのテレビ映画としてリメイクされており、ここではベルモンドがフェルショーを、「TAXi」シリーズのサミー・ナセリがモーデを演じている。音楽はベテランのジョルジュ・ドルリューが担当しているが、これはドルリューがメルヴィルにスコアを提供した唯一の作品。ハーモニカをフィーチャーした牧歌的でジェントルな「Les Appalaches」を収録。
6. サムライ LE SAMOURAI
1967年製作(英語題名は「The Godson」)。出演はアラン・ドロン、ナタリー・ドロン、フランソワ・ペリエ、カティ・ロジェ、ジャック・ルロワ、ミシェル・ボワロン、ロベール・ファヴァール、ジャン=ピエール・ポジエ、カトリーヌ・ジュールダン、ロジェ・フラデ他。アゴアン・マクレオの原作を基にメルヴィルが脚本を執筆。撮影はアンリ・ドカエ。一羽の小鳥とともにアパートに暮らす孤独な殺し屋ジェフ・コステロ(ドロン)。ある仕事の現場でピアニストのヴァレリー(ロジェ)に顔を見られてしまった彼は、刑事(ペリエ)の執拗な捜査により徐々に追い詰められていく……。メルヴィルが以前から熱望していたアラン・ドロンを初めて主演に迎えて撮った傑作で、リュック・ベッソン監督の「レオン」や、ジョン・ウー監督の「男たちの挽歌」シリーズにも強い影響を与えた作品。厳格なストイシズムに貫かれたクールで孤独な殺し屋像が素晴らしく、ドロンにとってもベスト作の1つだろう。音楽はフランソワ・ド・ルーベの傑作で、ここでは寂寥感に満ちたハモンドオルガンによるメインの主題「Le samourai」と、サスペンスフルな「Fatalite / Le blessure」の2曲が収録されているが、同じフランスのUniversal EmArcyレーベルより、「冒険者たち」とカップリングになったサントラCDがリリースされている。
7. 影の軍隊 L'ARMEE DES OMBRES
1969年製作(英語題名は「Army of Shadows」)。出演はリノ・ヴァンチュラ、シモーヌ・シニョレ、ジャン=ピエール・カッセル、ポール・ムーリス、クロード・マン、ポール・クローシェ、クリスチャン・バルビエ、セルジュ・レジアニ、アンドレ・ドワヴラン、ナタリー・ドロン他。ジョセフ・ケッセルの原作を基に、メルヴィルが脚本を執筆。撮影はピエール・ロム。1942年、ドイツ占領下のフランス。レジスタンスのリーダーで表向きは技師のフィリップ・ジェルビエ(ヴァンチュラ)は、裏切り者による密告でゲシュタポに捕えられるが、辛くも脱走し、マルセイユにいる同士たちと合流して裏切り者を処刑する……。メルヴィルが自らのレジスタンス活動を反映させて撮った力作で、2006年に初めてアメリカでも公開され、LA批評家協会賞の特別表彰を受けている。音楽はエリック・ドマルサンが作曲しており、これは彼の劇場映画デビュー作。ここでは、ピアノとオーケストラによるメランコリックなタッチのジェルビエのテーマ「Theme de Gerbier」、サスペンスフルな「Le 20 Octobre 1942」、メランコリックな「Mathilde / Les barraquements」の3曲が収録されているが、同じフランスのUniversal EmArcyレーベルより、「仁義」とカップリングになったサントラCDがリリースされている。
8. 仁義 LE CERCLE ROUGE
1970年製作(英語題名は「The Red Circle」)。出演はアラン・ドロン、イヴ・モンタン、ジャン・マリア・ヴォロンテ、ブールヴィル、フランソワ・ペリエ、ポール・クローシェ、ポール・アノット、ピエール・コレット、アンドレ・エクヤン、ジャン=ピエール・ポジエ他。脚本はメルヴィル自身、撮影はアンリ・ドカエ。殺人犯ヴォーゲル(ヴォロンテ)は、マッテイ警部(ブールヴィル)に逮捕されるが、列車で護送される途中で脱走を図り、逃走の過程でコレイ(ドロン)の車のトランクに忍び込む。コレイはプロの泥棒で、偶然知り合ったヴォーゲルと、元警官のジャンセン(モンタン)を仲間に引き入れて宝石店襲撃を決行する。一方、執念の鬼と化したマッテイ警部はコレイたちを追う……。メルヴィルの集大成とも言えるフィルム・ノワールの名作で、個人的にも彼のベスト作だと思う。一流のキャストだが、特にアル中に苦しむ射撃の名手を演じたモンタンが素晴らしい。ジョン・ウー監督が「Red Circle」として本作をリメイクするとの話があり、一時期リュック・ベッソンのヨーロッパ・コープにも製作の話が持ち込まれていた。メルヴィルに強い影響を受けたベッソンとウーが組んで本作をリメイクするという話に個人的にも非常に期待したが、その後、監督候補はジョニー・トーに引き継がれ、出演者候補にはオーランド・ブルーム、チョウ・ユンファ、リーアム・ニーソンの名前が挙がっているらしい。
この映画のスコアは、当初ミシェル・ルグランが作曲したが、メルヴィルが彼の音楽を気に入らなかったため、「影の軍隊」で組んだエリック・ドマルサンが急遽リプレースすることになった。ここでは、クールでややメランコリックなジャズ「Le cercle rouge」、ミステリアスな「Quand les hommes ont rendez-vous」、ストイックなタッチのジャズ「Final inedit」の3曲が収録されているが、同じフランスのUniversal EmArcyレーベルより、「影の軍隊」とカップリングになったサントラCDがリリースされている。
9. リスボン特急 UN FLIC
1972年製作(英語題名は「Dirty Money」)。出演はアラン・ドロン、カトリーヌ・ドヌーヴ、リチャード・クレンナ、リカルド・クッチョーラ、マイケル・コンラッド、ジャン・ドザイー他。脚本はメルヴィル自身が執筆。撮影はワルター・ウォティッツ。パリ警察のコールマン刑事(ドロン)は、リスボン行きの特急列車に麻薬が運び込まれるとの情報を得る。一方、コールマンの友人でナイトクラブを経営するシモン(クレンナ)も同じ情報を得て、仲間たちと列車内で麻薬を横取りする計画を立てる……。ドロンとドヌーヴの初共演が話題になった作品で、メルヴィル監督の遺作。音楽はミシェル・コロンビエが作曲しており、ここでは、メランコリックなピアノをフィーチャーした情感豊かな「Un moniseur distingue」、抑制されたサスペンス音楽「Un casse」、イザベル・オーブレのヴォーカルによるクールなシャンソン「C'est ainsi que les choses arrivent」の3曲を収録。
10. 仁義 LE CERCLE ROUGE(リジェクテッド・スコア)
最後に、上述の通りメルヴィルによってリジェクトされたミシェル・ルグラン作曲の「仁義」のスコアより「Chasses-croises」「Visions」「Engrenages (Final)」の3曲が収録されている。いずれもルグランらしいスタイリッシュで流麗なジャズだが、映画のストイックなトーンにはあまり合っていないように思える。
(2008年7月)
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