パラマウント西部劇映画音楽集(1) THE PARAMOUNT WESTERNS COLLECTION - CD1
ネバダ・スミス NEVADA
SMITH
作曲・指揮:アルフレッド・ニューマン
Composed and Conducted by ALFRED NEWMAN
エル・ドラド EL DORADO
作曲・指揮:ネルソン・リドル
Composed and Conducted by NELSON RIDDLE
(米La-La Land Records / LLLCD 1502)
アメリカのメジャー・スタジオの1つであるパラマウントが製作した西部劇映画11作品のオリジナル音源をCD4枚組(1000枚限定プレス)に収めたコンピレーションで、ここではその1枚目に収録された2作品のスコアを紹介。
「ネバダ・スミス(NEVADA SMITH)」は、1966年製作のアメリカ映画。製作・監督は「炎と剣」(1954)「西部開拓史」(1962)「エルダー兄弟」(1965)「勇気ある追跡」(1969)「ロンメル軍団を叩け」(1970)等のヘンリー・ハサウェイ(1898〜1985)。出演はスティーヴ・マックィーン、カール・マルデン、ブライアン・キース、アーサー・ケネディ、スザンヌ・プレシェット、ラフ・ヴァローネ、ジャネット・マーゴリン、パット・ヒングル、ハワード・ダ・シルヴァ、マーティン・ランドー、ポール・フィックス、ジーン・エヴァンス、ヴァル・アヴェリー、L・Q・ジョーンズ、ストロザー・マーティン他。「冒険者」(1970)「(TV)燃える世界の男」(1978)「ベッツィー」(1978)等のハロルド・ロビンズ(1916〜1997)の原作『大いなる野望(The
Carpetbaggers)』に登場するネヴァダ・スミスを主人公として、「裏窓」(1954)「知りすぎていた男」(1956)「噂の二人」(1961)「白銀に燃えて」(1993)等のジョン・マイケル・ヘイズ(1919〜2008)が脚本を執筆。撮影はルシアン・バラード。製作総指揮は「冬のライオン」(1968)「イルカの日」(1973)「遠すぎた橋」(1977)「マジック」(1978)等のジョセフ・E・レヴィン(1905〜1987)。
白人の父とインディアンの母の間に生まれたマックス・サンド(マックィーン)が16歳の時、両親は3人の悪党ジェシー・コー(ランドー)、ビル・ボウダー(ケネディ)、トム・フィッチ(マルデン)によって殺されてしまう。やがてマックスは悪党たちに復讐するために旅立ち、道中出会った鉄砲鍛冶屋のジョナス・コード(キース)から銃の扱い方を習得する。遂に悪党の1人ジェシーを見つけたマックスは、壮絶な死闘の末に彼を倒すが……。ハワード・ヒューズをモデルとしたハロルド・ロビンズの原作『大いなる野望』を、同じジョセフ・E・レヴィン製作、ジョン・マイケル・ヘイズ脚本で1964年に映画化した「大いなる野望」(監督:エドワード・ドミトリク、主演:ジョージ・ペパード、音楽:エルマー・バーンステイン)では、この“ネヴァダ・スミス”ことマックス・サンドをアラン・ラッドが演じており、続編(前日譚)に当たるこの映画にも同じ役でラッドが出演する予定だったが、彼が50歳で突然死去したため、スティーヴ・マックィーンが主役を演じた。
音楽は、20世紀フォックスの音楽総括部長を20年間にわたって務め、「怒りの葡萄」(1940)「わが谷は緑なりき」(1941)「聖処女」(1943)「王国の鍵」(1944)「征服への道」(1947)「聖衣」(1953)「慕情」(1955)「追想」(1956)「西部開拓史」(1962)「偉大な生涯の物語)」(1965)「大空港」(1970)等多数の映画音楽を手がけたハリウッド黄金期の巨匠アルフレッド・ニューマン(1901〜1970)で、これは彼の晩年の傑作スコア。「Nevada
Smith Main Title」は、ニューマンの個性が明確に表れた豪快かつ大らかなメインタイトル。「The
Desperados Ride Off / Death and Desolation」は、ダイナミックなアクション音楽から抑制されたサスペンス音楽へ展開。「The
Lonely Prairie」は、静かにドラマティックな曲。「The Next Morning」「Going West」は、メインの主題のバリエーション。「Neesa,
the Indian Girl」は、ドラマティックなタッチからジェントルで大らかな主題へ。「Mississippi River
Boat」は、陽気なダンスミュージック。「Pilar, the Cajun Girl / Second
Meeting」「Pilar's Death and Burial」は、ジェントルなタッチの曲。「Escape Through
the Swamp」は、抑制されたサスペンス音楽から後半ダイナミックなアクション音楽へ。「Eldorado Country /
Eldorado Frontier」は、明るく快活な曲。「The Mission Chapel / The Padre's
Parable」は、ジェントルなタッチから抑制されたサスペンス音楽へ。「Fitch's Hideout」も、サスペンス調の曲。「The
Gold Wagon」は、ヒロイックで躍動的なアクション音楽。「Nevada Smith End Title」は、メインの主題のリプライズによるエンドタイトル。
このスコアは公開当時の1966年に米Dotレーベルが全12曲/約31分のサントラLP(Dot Records DLP
25718)をリリースしているが、これは再録音盤だった。今回のCDはオリジナル音源からの全15曲/約51分のスコアを収録。
「エル・ドラド(EL DORADO)」は、1966年製作のアメリカ映画。製作・監督は「三つ数えろ」(1946)「赤い河」(1948)「リオ・ブラボー」(1959)「ハタリ!」(1962)「リオ・ロボ」(1970)等のハワード・ホークス(1896〜1977)。出演はジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、ジェームズ・カーン、シャーリーン・ホルト、ポール・フィックス、アーサー・ハニカット、ミシェール・ケリー、R・G・アームストロング、エドワード・アズナー、クリストファー・ジョージ、ロバート・ドナー、ジョン・ガブリエル、ジョニー・クロフォード、アダム・ロアーク、ジョン・ミッチャム他。「硫黄島の砂」(1949)「陽のあたる場所」(1951)「オーシャンと十一人の仲間」(1960)等のハリー・ブラウン(1917〜1986)の原作を基に、「三つ数えろ」(1946)「リオ・ブラボー」(1959)「ロング・グッドバイ」(1973)「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」(1980)等のリー・ブラケット(1915〜1978)が脚本を執筆。撮影はハロルド・ロッソン。
ハワード・ホークス監督がジョン・ウェイン主演で撮った西部劇3部作の1つで、もう2本は「リオ・ブラボー」(1959)と「リオ・ロボ」(1970)。各作品でウェインは別のキャラクターを演じているが、味方に頼りになる旧友(本作ではミッチャム)、若者(カーン)、爺さん(ハニカット)がいて、共に敵と闘うというパターンはどれも同じで、いずれも豪快なタッチの傑作。特にこの「エル・ドラド」は共演の名優ロバート・ミッチャムの存在が大きく、個人的にも大好きなウエスタン。テキサスの町エル・ドラドに久しぶりにやって来た早撃ちガンマンのコール・ソーントン(ウェイン)は、シェリフになった旧友J・P・ハラー(ミッチャム)と再会する。コールは牧場主バート・ジェイスン(アズナー)に頼まれて水利権の争いの助太刀にやって来たが、新参者のジェイスンが昔からの地主ケヴィン・マクドナルド(アームストロング)から悪辣な手口で土地を奪おうとしているとハラーから聞かされ、手を引くことにする。コールはジェイスンの牧場に仕事を断わりに行った帰りに、突然狙撃してきた男に反射的に応戦して重傷を負わせるが、彼はマクドナルドの息子ルークで、コールが目を離した隙に苦痛に耐えかねて自分の銃で自殺してしまうのだった……。製作費は約465万ドル。
日本でのテレビ放映時の吹替キャスト(フジテレビ版)はジョン・ウェイン(小林昭二)、ロバート・ミッチャム(浦野 光)、ジェームズ・カーン(青野
武)、シャーリーン・ホルト(平井道子)、アーサー・ハニカット(永井一郎)、ミシェール・ケリー(藤田淑子)、R・G・アームストロング(宮川洋一)、エドワード・アズナー(大平
透)、クリストファー・ジョージ(小林清志)他だった。
音楽は「オーシャンと十一人の仲間」(1960)「七人の愚連隊」(1963)「華麗なるギャツビー」(1974)「ラフ・カット」(1980)等のネルソン・リドル(1921〜1985)。「El
Dorado Main Title」は、ジョージ・アレクサンダーのヴォーカルによる大らかなタッチの主題歌。作詞は劇中で悪役の1人ペドロを演じているジョン・ガブリエル。「Hasta
Luego」「Luke's Life Lingers」「Come Get Your Boy / Ambush / Cole's Misery」「Message
from Maudie / McLeod Catches Cole」「The Farewell」は、サスペンス音楽。「Hasta
La Vista / San Miguel」は、ギターとハーモニカによる静かにドラマティックなタッチの曲。「La
Cantina」は、トランペット・ソロをフィーチャーした酒場音楽。「Charlie's Demise / The First
Stroke」は、メインの主題を織り込んだサスペンス音楽。「Ride, Boldly Ride」も、メインの主題のバリエーション。「The
Night and the Stars」は、アコーディオンとギターによるメランコリックな曲。「Maria Informs /
Outmaneuvered」は、ジャズ・ベースのサスペンス音楽。「Bugle Call / Shootout」は、トランペットの短いフレーズからダイナミックなアクション音楽へ。「El
Dorado Finale」は、メインの主題のリプライズによるフィナーレ。最後にボーナストラックとして、ジョン・ガブリエルのヴォーカルによる主題歌「El
Dorado Main Title (alternate)」と、メインタイトルの別テイク「El Dorado - Main
Title Theme」を収録。
このスコアは公開当時の1967年に米Epicレーベルが全10曲/約26分のサントラLP(Epic Records FLM
13114)をリリースしているが、これは再録音盤で、同じ内容のLPが1981年にオーストラリアのCBSレーベルからも再発されている(CBS Records
LAALP 1007)。今回のCDはオリジナル音源からの全16曲/約28分のスコアを収録。
尚、この4枚組CDの収録作品は以下の通り:
DISC 1
・ネバダ・スミス(作曲:アルフレッド・ニューマン) NEVADA SMITH (Alfred Newman)
・エル・ドラド(作曲:ネルソン・リドル) EL DORADO (Nelson Riddle)
DISC 2
・三人のあらくれ者(作曲:ウォルター・シャーフ) THREE VIOLENT PEOPLE (Walter
Scharf)
・ゴールデン・キッド(作曲:ジョニー・ダグラス) KID RODELO (Johnny Douglas)
・(未公開)WALK LIKE A DRAGON(作曲:ポール・ダンラップ) (Paul Dunlap)
DISC 3
・ウィル・ペニー(作曲:デヴィッド・ラクシン) WILL PENNY (David Raksin)
・決断(作曲:ハリー・サクマン) THE HANGMAN (Harry Sukman)
・烙印(作曲:ロイ・ウェッブ) BRANDED (Roy Webb)
DISC 4
・(未公開)復讐の荒野(作曲:フランツ・ワックスマン) THE FURIES (Franz Waxman)
・銅の谷(作曲:ダニエル・アンフィシアトロフ) COPPER CANYON (Daniele
Amfitheatrof)
・テキサス決死隊(作曲:ヴィクター・ヤング) STREETS OF LAREDO (Victor Young)
(2020年3月)
Alfred Newman
Nelson Riddle
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