パラマウント西部劇映画音楽集(4) THE PARAMOUNT WESTERNS COLLECTION - CD4

(未公開)復讐の荒野 THE FURIES

作曲:フランツ・ワックスマン
Composed by FRANZ WAXMAN

銅の谷 COPPER CANYON

作曲:ダニエル・アンフィシアトロフ
Composed by DANIELE AMFITHEATROF

テキサス決死隊 STREETS OF LAREDO

作曲:ヴィクター・ヤング
Composed by VICTOR YOUNG

(米La-La Land Records / LLLCD 1502)

 ★TOWER.JPで購入


アメリカのメジャー・スタジオの1つであるパラマウントが製作した西部劇映画11作品のオリジナル音源をCD4枚組(1000枚限定プレス)に収めたコンピレーションで、ここではその4枚目に収録された3作品のスコアを紹介。

「(未公開)復讐の荒野(THE FURIES)」は、1950年製作のアメリカ映画(日本では劇場未公開でテレビ放映済)。監督は「ウィンチェスター銃'73」(1950)「ララミーから来た男」(1955)「エル・シド」(1961)「ローマ帝国の滅亡」(1964)「テレマークの要塞」(1965)等のアンソニー・マン(1906〜1967)。出演はバーバラ・スタンウィック、ウェンデル・コーリイ、ウォルター・ヒューストン、ジュディス・アンダーソン、ギルバート・ローランド、トーマス・ゴメス、ブーラー・ボンディ、アルバート・デッカー、ジョン・ブロムフィールド、ウォーレス・フォード、ブランチ・ユーカ、ルイス・ジーン・ハイド、フランク・ファーガソン、チャールズ・エヴァンス、アーサー・ハニカット他。ニーヴェン・ブッシュの原作を基にチャールズ・シュニーが脚本を執筆。撮影はヴィクター・ミルナーとリー・ガームズ。1870年代のニュー・メキシコ。独裁的な牧場主T・C・ジェフォーズ(ヒューストン)は、彼の勝気な娘ヴァンス(スタンウィック)とことごとく対立していた。ヴァンスは、父が低賃金でこき使っているメキシコ人家族の長男フアン(ローランド)と親しくしており、フアンはヴァンスに惚れていた。一方、ヴァンスは、酒場のオーナーで、ジェフォーズが父親から奪った土地を取り戻そうとしているリップ・ダロウ(コーリイ)と恋に落ちるが……。1950年度アカデミー賞の撮影賞(白黒)にノミネートされている。

音楽はドイツ(現在のポーランド)出身で、「フランケンシュタインの花嫁」(1935)「レベッカ」(1940)「フィラデルフィア物語」(1940)「断崖」(1941)「サンセット大通り」(1950)「陽のあたる場所」(1951)「炎と剣」(1954)「裏窓」(1954)「ミスタア・ロバーツ」(1955)「青春物語」(1957)「隊長ブーリバ」(1962)等、ハリウッド黄金期に多数の傑作スコアを手がけているフランツ・ワックスマン(1906〜1967)。

「The Furies Prelude / Clay's Introduction (film version)」は、ダイナミックでパワフルな前奏曲。「Juan and Vance」は、ビジーで躍動的な曲。「Posting the Invitation / A Woman Scorned」は、コミカルなタッチからサスペンス調へ。「Stay off the Furies / The Herreras' Home」は、サスペンス音楽からドラマティックなタッチへ。「Restless Love」は、静かにドラマティックな曲。「Vance's Vengeance」「Attacking the Herrera Fortress」は、ダイナミックなサスペンスアクション音楽。「The Squatters' Surrender」は、メランコリックなタッチのギターをフィーチャーしたサスペンス音楽。「Buying T.C.'s Montage」は、躍動的なタッチの曲。「The King of the Furies」は、ダイナミックかつコミカルなタッチ。「The Furies Cast」は、大らかなエンディング。ボーナストラックとして「Clay's Introduction (original version)」の別バージョンを収録。


「銅の谷(COPPER CANYON)」は、1950年製作のアメリカ映画(日本公開は1953年7月)。監督はオーストラリア出身で「夜は千の眼を持つ」(1947)「大時計」(1948)「ホンドー」(1953)「大海戦史」(1959)等のジョン・ファロー(1904〜1963/長女は女優のミア・ファロー)。出演はレイ・ミランド、ヘディ・ラマー、マクドナルド・ケアリー、モナ・フリーマン、ハリー・ケアリー・Jr、フランク・フェイレン、ホープ・エマーソン、テイラー・ホームズ、ペギー・ナッドセン、ジェームズ・バーク、パーシー・ヘルトン、フィリップ・ヴァン・ザント、フランシス・ピアーロット、エルノ・ヴェレブス、ポール・リース他。リチャード・イングリッシュの原作を基にジョナサン・ラティマーが脚本を執筆。撮影はチャールズ・B・ラング・Jr。南北戦争後にネヴァダの銅山で銅の採掘に従事していた元軍人たちは、保安官レイン・トレイヴィス(ケアリー)率いる地元の悪党どもから酷い妨害を受けていた。拳銃の曲芸撃ち芸人ジョニー・カーター(ミランド)は、元軍人たちから南北戦争の勇士デズモンド大佐だと思い込まれ、助けを求められるが……。

音楽は、ロシアのサンクトペテルブルク出身でアメリカに移住して「(未公開)奥様の冒険」(1945)「南部の唄」(1946)「忘れじの面影」(1948)「砂漠の鬼将軍」(1951)「情炎の女サロメ」(1953)「山」(1955)「グランド・キャニオンの対決」(1959)「ダンディー少佐」(1964)等、多数のハリウッド映画音楽を手がけたダニエル・アンフィシアトロフ(1901〜1983)。

「Copper Canyon Prelude / Foreword (extended)」は、ダイナミックなイントロから大らかなメインの主題へと展開する前奏曲。「Copper Valley」は、メインの主題からサスペンス調へ。「The Tale / Young and Old Love」は、ジェントルな主題からドラマティックなタッチへ。「The Informer」「Unexpected Help」は、サスペンス音楽。「A Mysterious Helper / The Chase / Johnny's Deception」は、ジェントルな主題からサスペンス音楽、ビジーなアクション音楽へ展開。「Balfour's Murder」は、静かにドラマティックな曲。「Johnny's Intrusion / Johnny Takes Command」は、サスペンス音楽から快活なマーチへ。「The Showdown」は、ダイナミックなアクション音楽。「Copper Canyon Finale / Cast」は、コミカルなタッチから大らかなメインの主題によるフィナーレへ展開。


「テキサス決死隊(STREETS OF LAREDO)」は、1949年製作のアメリカ映画(日本公開は1951年7月)。監督は「栄光への道」(1926)「非常線」(1928)「民衆の敵」(1931)「ジャバの東」(1935)等に出演したイギリス人俳優で「ダコタから来た男」(1940)「ネブラスカ魂」(1948)「黄金の大西部」(1950)等の監督作があるレスリー・フェントン(1902〜1978)。出演はウィリアム・ホールデン、マクドナルド・ケアリー、モナ・フリーマン、ウィリアム・ベンディックス、スタンリー・リッジス、アルフォンソ・ベドヤ、レイ・ティール、クレム・ベヴァンス、ジェームズ・ベル、ディック・フット、ジョー・ドミンゲス、グランドン・ローズ、ペリー・アイヴィンズ、カール・アンドレ、ハンク・ベル他。ルイス・スティーヴンスとエリザベス・ヒルの原案を基にチャールズ・マークィス・ウォーレンが脚本を執筆。撮影はレイ・レナハン。ジム・ドーキンズ(ホールデン)、ローン・レミング(ケアリー)、ルーベン・“ワフー”・ジョーンズ(ベンディックス)の3人組強盗団がテキサスを荒らしまわっていた。彼らは、恐喝屋の首領チャーリー・キャリコ(ベドヤ)に襲われていた少女ラニー・カーター(フリーマン)を救い、彼女をリント老人(ベヴァンス)の牧場に預けて、別々に逃げ去った。やがてジムとワフーはテキサス・レンジャーに採用され、一方ローンは更に悪事を重ねていくのだった……。キング・ヴィダー監督の「テキサス決死隊」(1936)のリメイク。

音楽は「80日間世界一周」で1956年度アカデミー賞の音楽賞を受賞し、「誰が為に鐘は鳴る」(1943)「皇帝円舞曲」(1948)「腰抜け二挺拳銃」(1948)「硫黄島の砂」(1949)「サムソンとデリラ」(1950)「リオ・グランデの砦」(1950)「地上最大のショウ」(1952)「シェーン」(1953)「大砂塵」(1954)「喝采」(1954)「風と共に散る」(1956)等、ハリウッド黄金期に200本以上の作品を手がけているヴィクター・ヤング(1900〜1956)。彼はアメリカ出身だがポーランド移民の家系に生まれており、音楽教育もポーランドに渡って受けている。「80日間世界一周」や「シェーン」の主題曲(「遥かなる山の呼び声」)等、親しみやすい映画音楽の名曲を残している。

「Streets of Laredo Prelude」は、大らかなメインの主題から後半サスペンス調に展開する前奏曲。「Rannie Joins Up」「Jim Proposes」は、ジェントルなタッチの曲。「Rannie and New Trouble (partial)」は、静かにドラマティックな曲。「Saloon Piano / Law & Order」は、陽気なサルーン・ピアノ曲から徐々にサスペンス調に展開。「Calico's Hacienda」は、ダイナミックでドラマティックなタッチからトラジックな主題へ。「A Ranger's Revenge」は、サスペンス調から後半ダイナミックに盛り上がる。「Jim Takes the Job」は、ダイナミックなイントロからジェントルなタッチへ。「A Tense Situation / The Last Chapter (partial) / The Cast (based on “Streets of Laredo” by Jay Livingston & Ray Evans)」は、サスペンス音楽からダイナミックに盛り上がり、メインの主題のリプライズにより締めくくる。


尚、この4枚組CDの収録作品は以下の通り:

DISC 1
・ネバダ・スミス(作曲:アルフレッド・ニューマン) NEVADA SMITH (Alfred Newman)
・エル・ドラド(作曲:ネルソン・リドル) EL DORADO (Nelson Riddle)


DISC 2
・三人のあらくれ者(作曲:ウォルター・シャーフ) THREE VIOLENT PEOPLE (Walter Scharf)
・ゴールデン・キッド(作曲:ジョニー・ダグラス) KID RODELO (Johnny Douglas)
・(未公開)WALK LIKE A DRAGON(作曲:ポール・ダンラップ) (Paul Dunlap)


DISC 3
・ウィル・ペニー(作曲:デヴィッド・ラクシン) WILL PENNY (David Raksin)
・決断(作曲:ハリー・サクマン) THE HANGMAN (Harry Sukman)
・烙印(作曲:ロイ・ウェッブ) BRANDED (Roy Webb)


DISC 4
・(未公開)復讐の荒野(作曲:フランツ・ワックスマン) THE FURIES (Franz Waxman)
・銅の谷(作曲:ダニエル・アンフィシアトロフ) COPPER CANYON (Daniele Amfitheatrof)
・テキサス決死隊(作曲:ヴィクター・ヤング) STREETS OF LAREDO (Victor Young)


(2020年3月)

Franz Waxman

Daniele Amfitheatrof

Victor Young

Soundtrack Reviewに戻る


Copyright (C) 2020  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.