ジェリー・ゴールドスミスのウエスタン・スコア
The Western Film Scores of Jerry Goldsmith
ルーカス・ケンドール氏が編集する映画音楽専門紙「Film Score Monthly」では、20世紀フォックス社のアーカイヴから独自に貴重な音源によるサントラ盤をリリースしているが、このシリーズにはジェリー・ゴールドスミスのスコアが多数含まれており、特に「ビッグトレイル」「リオ・コンチョス」「100挺のライフル」「駅馬車」といった、彼のウエスタン・スコアが好んでピックアップされている。
ゴールドスミスは、デビュー作の「(未公開)片目のシェリフ(Black Patch)」(1957/監督:アレン・H・マイナー、出演:ジョージ・モントゴメリー)や、第2作の「ネバダの決闘 (Face of the Fugitive)」(1959/監督:ポール・ウエンドコス、出演:フレッド・マクマレー)も西部劇であり、その他にもこれまでに多数のウエスタン・スコアを手がけている。
どんなジャンルでも器用にこなすゴールドスミスだが、西部劇という1つのジャンルを採り上げてみても、作品毎にそのテーマにふさわしい異なったスタイルのスコアを提供しているのはさすがである。
ここでは、ゴールドスミスが西部劇を手がけた主要なスコアを紹介してみようと思う。
リオ・コンチョス
RIO CONCHOS 作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス (米Film Score Monthly / FSM Vol.2 No.8) |
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監督はゴードン・ダグラス。出演はリチャード・ブーン、ステュアート・ホイットマン、トニー・フランシオサ、エドモンド・オブライエン、ジム・ブラウン、ウェンディ・ワグナー他。南北戦争後のテキサスを舞台に、アパッチに家族を殺され、復讐の鬼と化した元兵士(ブーン)と、盗まれた2000挺のライフルを追跡する将校(ホイットマン)を主人公にしたアクション西部劇。脚本はクレア・ハフェーカーとジョセフ・ランドン。撮影はジョセフ・マクドナルドが担当。ゴールドスミスのスコアは、ギター、バンジョー、鞭等の伴奏にハーモニカによる主題がかぶさる淡々としたメインタイトルが印象的。全体に抑制されたタッチだが、「River Crossing」「Wall of Fire」といったアクション部分の音楽は、この作曲家らしく鋭い緊張感に満ちている。この「リオ・コンチョス」は、ゴールドスミス自身がロンドン交響楽団を指揮して新たに録音したアルバムが米Intradaレーベルからリリースされているが(Intrada / RVF 6007D)、このFSMによるCDはサントラの完全盤で、モノラルによるトラックが23曲+ジョニー・デズモンドによる主題歌+ステレオのボーナス・トラックが5曲収録されている。
駅馬車
STAGECOACH 作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス (米Film Score Monthly / FSMCD Vol.1 No.1) |
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監督は「リオ・コンチョス」等のゴードン・ダグラス。出演はアン=マーグレット、アレックス・コード、レッド・バトンズ、マイク・コナーズ、ビング・クロスビー、スリム・ピケンズ、ヴァン・ヘフリン、ステファニー・パワーズ、ボブ・カミングス他。1939年製作のジョン・フォード監督による西部劇のクラシックを、ワイオミングに舞台を移してリメイクした作品。アーネスト・ヘイコックスの原作を基にジョセフ・ランドンが脚色。撮影はウィリアム・H・クローシア。ゴールドスミスのスコアは、オーケストラにハーモニカやアコーディオン、バンジョー等を組み合わせた牧歌的なタッチの大らかな音楽。映画のアクション・シーンに敢えて音楽を付けなかったため、スコアだけを聴くと激しい部分が少なく、非常にのどかな印象を受ける。アーロン・コープランドの作品や、エルマー・バーンステインの明るめのウエスタン・スコアにイメージが近い。この映画のポスターやサントラLPのイラストは、有名な画家のノーマン・ロックウェルによるもの。公開当時に米Mainstreamレーベルからこのスコアのアルバムが出ていたが、これはサントラではなく再録音盤で、しかも音質が極めて悪かった。このFSMによるCDはれっきとしたサントラ盤で音質も良好。
また、このCDには「(TV)ミステリー・ゾーン」で有名なロッド・サーリングが製作し、ロイド・ブリッジスが主演したウエスタン・シリーズ「(TV)勇者コルトン (The Loner)」(1965)の音楽が3曲収録されているが、このメインテーマはストイックなタッチで良い。
墓石と決闘
HOUR OF THE GUN 作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス (米Intrada / MAF 7020D) |
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「荒野の七人」「OK牧場の決闘」「ゴーストタウンの決闘」等の名手ジョン・スタージェス監督によるウエスタン。出演はジェームズ・ガーナー、ジェイスン・ロバーズ、ロバート・ライアン、アルバート・サルミ、フランク・コンヴァース、サム・メルヴィル、チャールズ・エイドマン、オースティン・ウィリス、リチャード・ブル、ラリー・ゲイツ、ウィリアム・シャラート、ジョン・ヴォイト、スティーヴ・イーナット他。脚本はエドワード・アンハルト。撮影はサム・ペキンパー監督の諸作品で有名なルシアン・バラード。OK牧場でのクラントン一家とアープ兄弟の決闘の後日談を描いた西部劇。決闘で生き残ったアイク・クラントン(ライアン)は、仲間を集めて、アープ兄弟に復讐を開始する。ガーナーがワイアット・アープに、ロバーズがドク・ホリディに扮する。個人的にはこれがゴールドスミスのウエスタン・スコア中のベストだと思う。冒頭の「The Hour of the Gun」はメインテーマをアルバム用に現代的なアレンジで演奏したものだが、ヒロイックなタッチが抜群ににかっこいい。その次に収録されているのは映画のメインタイトルで、重く抑えた雰囲気ではじまり、徐々にサスペンスを盛り上げて行く。「Ambush」ではメインテーマがフル・オーケストラにより豪快に演奏される。まさに正統派ウエスタン・スコアの傑作。
作曲:ジェリー・ゴールドスミス
Composed by JERRY GOLDSMITH
指揮:ライオネル・ニューマン
Conducted by LIONEL NEWMAN
(米Intrada / VJF 5003D)
「シェナンドー河」等で知られる西部劇のエキスパート、アンドリュー・V・マクラグレン監督によるアクション・ウエスタン(彼はジョン・フォード作品の常連俳優として有名なヴィクター・マクラグレンの息子である)。出演はジェームズ・ステュワート、ディーン・マーティン、ラクウェル・ウェルチ、ジョージ・ケネディ、アンドリュー・プリンス、ハリー・ケリー・Jr.他。脚本はジェームズ・リー・バレット、撮影はウィリアム・H・クローシアが担当。ジミーとディノが盗賊団の兄弟を演じ、ジョージ・ケネディが彼らを追う冷酷な保安官を演じる暴力的でシニカルなウエスタン。ゴールドスミス作曲のメインタイトルは明るく親しみやすいメロディで、口笛により軽快に演奏されるが、途中の劇伴音楽はどちかといえばダークなタッチ。「El Jeffe」「Ambushed」といったオーケストラによるアクションスコアはダイナミックで力強い。アルフレッド・ニューマンの弟であるライオネル・ニューマンがオーケストラを指揮している。
100挺のライフル
100 RIFLES 作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス (米Film Score Monthly / FSM Vol.2 No.1) |
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監督は「軍用列車」「ブレイクアウト」等のトム・グライス。出演はジム・ブラウン、ラクエル・ウェルチ、バート・レイノルズ、フェルナンド・ラマス、ダン・オハーリヒー他。ロバート・マクラウドの原作をクレア・ハフェーカーとグライスが脚色。撮影はチェチリオ・パニアグア。20世紀初頭のメキシコを舞台に、黒人保安官ライデッカー(ブラウン)が、ライフルの密輸を図る混血のジョー(レイノルズ)を追跡する過程で、インディアンのゲリラ、サリタ(ウェルチ)に出会い、共にメキシコ軍の残忍な将軍(ラマス)に立ち向かう。ゴールドスミスのスコアは、ラテン風のギターとオーケストラの組合わせによるストイックなタッチのスコアで、全編の殆どがビジーなアクション音楽。メインテーマの抑制されたヒロイズムは「墓石と決闘」と並ぶかっこ良さ。このFSMのCDにはステレオのトラックが13曲、モノラルのトラックが16曲(+ソース音楽が2曲)収録されているが、モノラルの16曲中13曲はステレオと同一曲であり、要するに大半の音楽がステレオとモノラルの両方で聴くことができるという、いかにもコレクター向けの構成になっている。尚、このスコアは、アンドリュー・V・マクラグレン監督/チャールトン・ヘストン主演の「大いなる決闘 (The Last Hard Men)」(1976)という全く無関係の西部劇映画に流用されている。
夕陽の挽歌
WILD ROVERS 作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス (米Memoir / CD MOIR 601) |
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「ピンクパンサー」シリーズや「ティファニーで朝食を」で知られるブレイク・エドワーズが監督・脚本を手がけた異色西部劇。出演はウィリアム・ホールデン、ライアン・オニール、カール・マルデン、リン・カーリン、ジョー・ドン・ベイカー、レイチェル・ロバーツ、トム・スケリット、ジェームズ・オルソン他。撮影はフィリップ・H・ラスロップ。初老の男(ホールデン)と若者(オニール)が、働いていた牧場を離れてメキシコに向かい、銀行を襲って追われる身となる。ホールデンの名演と美しい冬景色の映像が見所。これはゴールドスミスのウエスタン・スコア中でも、最も明るく素朴な美しさを持った音楽。冒頭の「Medley; Early Morning 〜 The Wild Rover」での、エレン・スミスのヴォーカルによる主題歌(作詞はアーニー・シェルドン)が実に爽やか。このエレン・(ゴールド)スミスはジェリーの娘で、ここではハープとギターも演奏しているが、その後音楽の世界を離れて教職に就いたという。ロデオ風の「Wild Horses」や、「Bronco Bustin'」でのフル・オーケストラによる豪快なサウンドが素晴らしい。尚、このCDは同じゴールドスミスの「大列車強盗 (The Great Train Robbery)」とのカップリングになっている。また、後に米Film Score Monthlyレーベルより、このスコアと「ラスト・ラン/殺しの一匹狼(The Last Run)」をカップリングにしたCDがリリースされている。
ワイルドトレイル
TAKE A HARD RIDE 作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス (米Film Score Monthly / FSM Vol.3 No.1) |
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イタリア製娯楽映画を多数手がけているアンソニー・M・ドーソン監督(本名アントニオ・マルゲリティ)によるウエスタン。出演はジム・ブラウン、リー・ヴァン・クリーフ、フレッド・ウィリアムソン、ハリー・ケリー・Jr.、カトリーヌ・スパーク、ジム・ケリー、ダナ・アンドリュース、バリー・サリヴァン他。脚本はエリック・バーコヴィッチとジェリー・ラドウィッグ、撮影はリカルド・パロッティーニが担当。テキサスを舞台に、死んだ男の代わりに彼の妻に大金を届けることになった主人公パイク(ブラウン)を、金目当ての貪欲なバウンティ・ハンター(クリーフ)たちが追撃する。ゴールドスミス唯一のマカロニ・ウエスタン音楽で、ハーモニカや電子楽器の擬音等、エンニオ・モリコーネのサウンドを若干意識しているが、スコア全体はしっかりとした正統派劇音楽。マンドリンのソロからオーケストラへと発展する明るく颯爽としたメインテーマが実にいい感じ。重厚なパーカッションを駆使した激しいアクション・スコアも秀逸。このスコアは以前に「Society for the Preservation of Film Music」が出した「Tribute to Jerry Goldsmith」というプロモーション用CDに7曲のみ含まれていたが、その後、FSMが完全盤をリリースしたもの。
バッド・ガールズ
BAD GIRLS 作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス (米20th Fox / 72445-11084-2) |
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ロジャー・コーマン門下生のジョナサン・カプランが監督した異色ウエスタン。4人の女ガンマン(ガンウイメン?)をマデリーン・ストー、メアリー・スチュアート・マスターソン、アンディ・マクダウェル、ドリュー・バリモアが演じる。共演はジェームズ・ルッソ、ジェームズ・レグロス 、ロバート・ロッジア、ダーモット・マローニー他。脚本はケン・フリードマンとヨランダ・フィンチ、撮影はラルフ・ボードが担当。自分の経営するサロンで娼婦に嫌がらせをする軍人を射殺し、絞首刑を宣告されたコーディ(ストー)を、店の3人の娼婦、アニータ(マスターソン)、アイリーン(マクダウェル)、リリー(バリモア)が助け出す。4人はアニータの夫が残した土地の権利書を頼りに、そこで製材所をやろうと旅立つ。ラストはかつてコーディの愛人だったアウトローのキッド(ルッソ)一味との対決となり、ここは明らかにペキンパーの「ワイルドバンチ」のクライマックスを意識している。ゴールドスミスのスコアは、冒頭の静かなタッチの美しいメインタイトル「The John」も良いが、ストーが絞首刑寸前に3人に救出されるシーンの音楽「The Hanging」での、メインテーマのフル・オーケストラによる痛快な演奏が素晴らしい。「Bank Job」「Ambush」「Josh's Death」等の激しいアクション・スコア部分では、相変わらずのシャープさを見せる。
= 2011年8月追加 =
米La-La Land Recordsレーベルよりこのスコアの拡張盤CDがリリースされている(米La-La Land / LLLCD 1169)。3000枚限定プレス。収録曲は以下の通り。
1. The John (2:19)
2. The Hanging (2:06)
3. Which Way? * (:42)
4. The Snake (1:20)
5. The Saw Mill * (1:56)
6. Keep Moving * (:57)
7. Bank Job ** (5:16)
8. The Gang / The Posse * (:56)
9. Return to the Fold * (4:06)
10. Don't Hurt Me * (1:45)
11. Jail Break (3:27)
12. No Money (2:09)
13. The Guests * (:36)
14. Welcome to My Home * (1:20)
15. The Pleasure of Your Company * (:48)
16. Ambush (5:45)
17. What's Your Name? * (1:18)
18. The Claim * (:25)
19. Together * (:39)
20. I Shot Him ** (2:46)
21. Put It On * (1:32)
22. River Crossing * (:34)
23. Rescued * (3:03)
24. Josh's Death (3:41)
25. No Bullets (3:53)
26. My Land / End Credits (6:53)
Total Time = 60:27
* previously unreleased
** contains previously unreleased material
<Bootleg等>
作曲:ジェリー・ゴールドスミス
Composed by JERRY GOLDSMITH
指揮:ジョセフ・ガーシェンソン
Conducted by JOSEPH GERSHENSON
(独Delphi / Best.-Nr9104W)
監督はデヴィッド・ミラー。出演はカーク・ダグラス、ジーナ・ローランズ、ウォルター・マッソー、マイケル・ ケイン、キャロル・オコナー、ウィリアム・シャラート、ジョージ・ケネディ、ビル・ビクスビー他。エドワード・アビーの原作「The Brave Cowboy」を基に「ジョニーは戦場へ行った」等のダルトン・トランボが脚本を担当。撮影はフィリップ・H・ラスロップ。親友が投獄された事を知ったカウボーイ(ダグラス)が、自らも同じ刑務所に入り、一緒に脱獄を図る。ゴールドスミスが初期に手がけた作品で、ハーモニカやギターとオーケストラの組合わせによるオーソドックスなウエスタン・スコアだが、アクション部分のダイナミックなタッチには既にこの作曲家の個性が垣間見れる。これは音質の悪い海賊盤CDだが、後にSoundtrack Libraryという別の海賊盤レーベルからもこの映画のサントラが出ており、やはり音質が悪い。
※尚、本作品は2009年に米Varese Sarabandeレーベルより正規盤サントラCDがリリースされている。→ 正規盤CDのレビュー
砂漠の流れ者 THE BALLAD OF CABLE HOGUE
作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH
(米Centurion / CLP1500 :主題歌のみ収録)
「ワイルドバンチ」「ビリー・ザ・キッド 21歳の生涯」等の暴力美学で知られるサム・ペキンバーが監督した「非暴力的」なウエスタン。出演はジェイスン・ロバーズ、ステラ・スティーヴンス、デヴィッド・ワーナー、ストローザー・マーティン、スリム・ピケンズ、L・Q・ジョーンズ、R・G・アームストロング他。脚本はジョン・クロフォードとエドマン・ペニーが担当。撮影はペキンパー作品の常連ルシアン・バラード。砂漠の真ん中に駅馬車の駅を作り、仇が現れるのを悠長に待ち続けるケイブル・ホーグ(ロバーズ)の風流な復讐劇を描く。ペキンパーといえばジェリー・フィールディングの抑制された怒りに満ちたスコアが有名だが、ここでは敢えてゴールドスミスと組んでいるのが面白い。これはかつてCenturionという海賊盤レーベルから出ていたLPで、いくつかの映画の主題曲を集めたコンピレーションになっており、その中にゴールドスミス作曲の「砂漠の流れ者」の主題歌が収録されていた。のどかなタッチのウエスタンにのどかな主題歌。ペキンパーとゴールドスミスのコラボレーションとしてはかなり意表をつかれる作品だが、いい曲である。
※尚、本作品は2002年に米Varese SarabandeレーベルよりサントラCDがリリースされている。→ サントラCDのレビュー
作曲・指揮:ジェリー・ゴールドスミス
Composed and Conducted by JERRY GOLDSMITH
(米Pony Boy / PBCD 1002)
アリステア・マクリーン原作・脚本による冒険アクション。製作総指揮はエリオット・カストナー。監督はトム・グライス。出演はチャールズ・ブロンソン、ベン・ジョンソン、リチャード・クレンナ、チャールズ・ダーニング、ジル・アイアランド、エド・ローター、デヴィッド・ハドルストン、ロイ・ジェンソン、ケネシー・ティッブ、サリー・カークランド他。撮影はルシアン・バラード。伝染病で全滅しかかった山岳砦を救援に向かう軍用列車に乗り合わせた賭博師のディーキン(ブロンソン)が、列車を利用した陰謀計画を突き止める、というミステリ仕立てのウエスタン。ゴールドスミスのスコアは、疾走する列車をイメージしたスピーディでダイナミックなメインタイトルや、「Steam Rollin'」「The Gunrunners」といった武骨なタッチの重厚なサスペンス音楽がドラマの緊張感を高めている。このスコアは、以前にPooという海賊盤レーベルからサントラLPが出ていたが、このPony BoyレーベルのCDも海賊盤(全15曲収録)。カラーケント紙1枚に文字を印刷しただけのそっけないジャケットがいかにもBootlegだが、音質は良好。
※尚、本作品は2006年に米La-La Landレーベルより正規盤サントラCDがリリースされている。→ 正規盤CDのレビュー
その他、ゴールドスミスは名匠ハワード・ホークス監督の遺作でジョン・ウェイン主演の傑作ウエスタン「リオ・ロボ Rio Lobo」(1970)のスコアも担当しており、サントラではないが下記のコンピレーションCDにこの映画のメインタイトルのみが収録されている。ギターのソロによる渋いタッチのスコア。
「Best of the West」
ウィリアム・モツィング指揮チェコ交響楽団
(独Edelton / EDL2657-2)
(2000年4月)
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