Unreleased Scores
(that I hope to be released)


<一部の曲のみシングル盤やコンピレーション盤に収録されていたスコア>
(Scores partially available in single, compilation or bootleg album, but not in full length)


エアポート'80   THE CONCORDE... AIRPORT'79

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by LALO SCHIFRIN

名作「大空港」に始まる“エアポート”シリーズ中でもおそらく最悪の出来の作品(1979年製作)。監督はデヴィッド・ローウェル・リッチ、出演はアラン・ドロン、ロバート・ワグナー、シルビア・クリステル、ジョージ・ケネディ他。ドロンが機長でクリステルがスチュワーデスのコンコルドというのは、なんだかそれだけで不安なものがある。ラロ・シフリンのスコアはオーケストラによるダイナミックなメインタイトルや、彼らしいハイテンションなアクションスコアが秀逸。公開当時、アメリカのMCAレーベルからシングル盤(A面がメインタイトルでB面はラブテーマ調の明るい曲)が出ていたが、たった2曲だけじゃあ……。

(2012年12月追加)
「LALO SCHIFRIN: MY LIFE IN MUSIC」(米Aleph Records / 047)に新録音の組曲を収録

(2018年12月追加)米La-La Landレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


マンハッタン無宿   COOGAN'S BLUFF

作曲・指揮:ラロ・シフリン
Composed and Conducted by LALO SCHIFRIN

ドン・シーゲル監督がクリント・イーストウッドと最初に組んだハードボイルド刑事アクション(1968年製作)。共演はリー・J・コッブ、ドン・ストロード、スーザン・クラーク他。アリゾナのド田舎からNYの大都会にやってきたカウボーイ刑事という設定は、後にデニス・ウィーヴァーが主演した人気TVシリーズの「警部マクロード」に引き継がれている。ラロ・シフリンのスコアは西部劇調のメインタイトルや、クライマックスのバイクチェイスのシーンのジャズが抜群にかっこいい! 昔、アメリカのTempleというレーベルから音質の悪い海賊盤のLPが出ていて一部の曲が収録されていたが、海賊盤じゃあ……。

(2012年12月追加)
「LALO SCHIFRIN: MY LIFE IN MUSIC」(米Aleph Records / 047)に「Main Title」「Take Me to Ringerman」を収録

(2012年12月追加)米Intradaレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


ダーティハリー3   THE ENFORCER

作曲・指揮:ジェリー・フィールディング
Composed and Conducted by JERRY FIELDING

クリント・イーストウッドがサンフランシスコ市警のハリー・キャラハン刑事に扮するシリーズ第三弾。監督はジェームズ・ファーゴ。ハリーとコンビを組む女性刑事役のタイン・デイリーが良かった(この女優は後に見る影もないほど太ってしまったが……)。シリーズ中でこの作品だけジェリー・フィールディングがスコアを作曲している(その他はラロ・シフリン)が、これまた実にクールでハードボイルドなジャズ! 彼のジャズ・ベースのスコアでは「大いなる眠り」「ガントレット」等と並ぶ傑作スコア。昔、ワーナーから出ていた「THE BEST OF DIRTY HARRY」というLPに3曲だけ収録されていたが、たった3曲じゃあ……。

(2007年7月追加)米Alephレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


(TV)サンダーバード   THUNDERBIRDS

作曲・指揮:バリー・グレイ
Composed and Conducted by BARRY GRAY

言わずと知れたジェリー・アンダーソン製作のスーパーマリオネーションによる傑作TVシリーズだが、このシリーズの純粋なサントラ音源によるアルバムが未だに出ていないのはファンにとっては謎である(海賊盤は色々とあるようだが)。イギリスのSilva Screenレーベルから1988年に一応サントラCDが出ている(FILMCD 018)が、このCDにはTVシリーズのアクションやサスペンス部分の劇伴スコア(ファンにとっては最も肝心な部分)が全く収録されていない。同じSilva Screenレーベルから1992年に「FAB: MUSIC FROM THE TV SHOWS BY BARRY GRAY」という新録音のアルバム(コンスタンティン・パヴロフ指揮ロイヤル・フィル / FILMCD 124)が出ていて、ここではかなりオリジナルの雰囲気を再現しているが、やはりサントラじゃなきゃあ……。

(2003年3月追加)英Silva Screenレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


<サントラ音源が全くアルバム化されていないスコア>
(Original soundtrack recordings unavailable in any forms)


(TV)引き裂かれた祖国/ブルー&グレイ   THE BLUE AND THE GRAY

作曲・指揮:ブルース・ブロートン
Composed and Conducted by BRUCE BROUGHTON

南北戦争をテーマにした1982年製作の約6時間に及ぶTV映画。監督はベテランのアンドリュー・V・マクラグレン。出演はステイシー・キーチ、ロイド・ブリッジス、ブルース・アボット、ロリー・カルホーン、デヴィッド・ドイル、スターリング・ヘイドン、グレッグ・ヘンリー、チャールズ・ネイピア、ウォーレン・オーツ、ジェラルディン・ペイジ、グレゴリー・ペック、パトリック・スウェイジ、リップ・トーン、ロバート・ヴォーン、ジョン・ヴァーノン、ポール・ウィンフィールド他。ブルース・ブロートンの音楽は、彼の「シルバラード」や「トゥームストーン」と並ぶ豪快なウエスタン・スコア。ドイツのEdelレーベルが1993年に出した「Best of the West」という2枚組のコンピレーションCD(Edel / EDL 2657-2)にウィリアム・モツィング指揮チェコ交響楽団の新録音による4曲が収録されている(Main Title, John Leaves Home, Retreat from Bull Run, Newly Weds)が、このコンピレーションはスコアのリコンストラクトがかなりいい加減なようで、ブロートン自身が何かのインタビューで「あの演奏は間違ってる」と文句を言っている。だったらちゃんとサントラで出してほしいものである(本人もそう思っているのだろうが)。

(2008年3月追加)米Intradaレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


突破口!   CHARLEY VARRICK

作曲:ラロ・シフリン
Composed by LALO SCHIFRIN

ドン・シーゲル監督による傑作犯罪映画(1973年製作)。出演はウォルター・マッソー、ジョー・ドン・ベイカー、アンディ・ロビンソン、ジョン・ヴァーノン、フェリシア・ファー他。同じシーゲル監督とラロ・シフリンのコラボレーションによる傑作「ダーティハリー」の延長線上にあるハイテンションでシャープなジャズ。特に冒頭、マッソーたちがトレス・クルーセスの銀行を襲って車で逃亡するシーンや、ラストの複葉機と車のチェイスシーン等でのアクションスコアの緊張感は凄い。メインタイトルの音楽は美しいアメリカーナ。シフリンはこの2作品以外にも「マンハッタン無宿」「白い肌の異常な夜」「テレフォン」でシーゲルと組んでいて、どれも傑作スコアばかりだが、「ダーティハリー」以外はサントラアルバムが出ていない。その「ダーティハリー」もコンピレーションCDに幾つかの曲が入っているだけで完全盤とは言えないのだが……。

(2012年12月追加)
「LALO SCHIFRIN: MY LIFE IN MUSIC」(米Aleph Records / 047)に「Bank Robbery」「Last of the Independents」を収録

↑Top


デストラップ 死の罠  DEATHTRAP

作曲:ジョニー・マンデル
Composed by JOHNNY MANDEL

「ローズマリーの赤ちゃん」「ブラジルから来た少年」等のアイラ・レヴィンの戯曲を基にシドニー・ルメット監督が映画化したミステリドラマ(1982年製作)。出演はマイケル・ケイン、クリストファー・リーヴ、ダイアン・キャノン他。その昔アンソニー・シェーファーの戯曲をジョセフ・L・マンキーウィッツ監督が映画化した「探偵・スルース」という大傑作があった(出演ローレンス・オリヴィエ、マイケル・ケイン/音楽はジョン・アディスン。サントラLPあり)が、それをかなり意識したどんでん返しの連続するストーリー。主役のケインとリーヴはなかなか好演しているが、脇で出て来る役者たちがことごとく魅力に乏しい(特に霊媒役のおばさんは何とかしてほしい)。ジョニー・マンデルの音楽はバロック調の洒落たメインタイトルが実にいい。

↑Top


ナバロンの嵐   FORCE 10 FROM NAVARONE

作曲:ロン・グッドウィン
Composed by RON GOODWIN

アリステア・マクリーンの原作(「ナバロンの要塞」の続編)を「007」シリーズ等のガイ・ハミルトン監督が映画化した戦争アクション(1978年製作)。出演はロバート・ショー、ハリソン・フォード、エドワード・フォックス、フランコ・ネロ、バーバラ・バック、カール・ウェザーズ他。ベテランの監督、ソリッドなキャストにもかかわらず実に平凡な出来の作品。音楽は戦争映画のエキスパート、ロン・グッドウィンで、ここでも豪快なマーチによるメインテーマを提供している。このスコアにはグッドウィン自身が指揮した新録音によるCD(メインタイトル、及び組曲)があるが、完全な形ではないし、やはりサントラ音源でComplete Scoreをリリースしてほしい。

(2006年3月追加)米Film Score Monthlyレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


フレンジー   FRENZY

作曲:ロン・グッドウィン
Composed by RON GOODWIN

長らくハリウッドで映画を撮り続けていたアルフレッド・ヒッチコック監督が母国イギリスに戻って製作したオーソドックスなスリラー映画(1972年製作)。出演はジョン・フィンチ、バリー・フォスター、バーバラ・リー=ハント他。ヒッチらしい独特のブラックユーモアに満ちた傑作だった。音楽は当初アメリカ人のヘンリー・マンシーニがアサインされていたが、ヒッチのお気に召さずにリジェクトされ(マンシーニによるメインタイトルは彼の自作自演コンピレーションCDに収録されている)、生粋のイギリス人のロン・グッドウィンが雇われてスコアを書いた。冒頭のロンドンの空撮ショットにヒッチは純粋に英国的な音楽を付けたいと考えており、グッドウィンはそれにこたえて優雅で格調高い“London Theme”を作曲した(名曲)。このメインタイトルはグッドウィン自身による新録音もあるが、やはり完全なスコアのサントラ盤がほしい。

↑Top


ジャガーノート   JUGGERNAUT

作曲:ケン・ソーン
Composed by KEN THORNE

1974年製作のイギリス映画。コメディを得意とするリチャード・レスター監督が手がけたストレートなサスペンス。出演はリチャード・ハリス、オマー・シャリフ、シャーリー・ナイト、アンソニー・ホプキンス、イアン・ホルム、デヴィッド・ヘミングス、フレディ・ジョーンズ他。豪華客船に爆弾を仕掛けた犯人と、爆弾処理のプロ(ハリス)との息詰まる駆け引きを描く傑作。ラストの「赤いコードを切るか、青いコードを切るか(正しい方を切ると爆弾が停止し、間違えると爆発する)」というシーンの緊張感が最高! 音楽はレスター監督とのコンビが多いイギリス人のケン・ソーンで、寂寥感に満ちた美しいメインタイトルが印象的だった。

(2010年8月追加)米Kritzerlandレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


刑事マディガン   MADIGAN

作曲:ドン・コスタ
Composed by DON COSTA

ドン・シーゲル監督が1968年に撮った刑事ドラマの傑作。出演はリチャード・ウィドマーク、ヘンリー・フォンダ、ハリー・ガーディノ、インガー・スティーヴンス、ジェームズ・ホイットモア他。一瞬の気のゆるみから凶悪犯に自分の拳銃を奪われてしまったダン・マディガン刑事(ウィドマーク)が命懸けで犯人を追跡するという徹底してハードボイルドなストーリー。警視総監役のフォンダ、その親友の警官役のホイットモア、マディガンの相棒役のガーディノ等脇の役者たちも素晴らしい。音楽を担当しているドン・コスタはあまり聞かない名前だが、ここでは全体にジャズ・ベースのアクションスコアを提供しており、冒頭のメインタイトルがとにかく純粋にカッコいい! 彼はこの作品以外に「ジェリコ」(1967)「素敵な年頃」(1968)等の音楽を手がけているらしい。

↑Top


名探偵登場   MURDER BY DEATH

作曲:デイヴ・グルーシン
Composed by DAVE GRUSIN

これは音楽というより映画自体が大好きな作品。ニール・サイモンの脚本をロバート・ムーアが監督した1976年製作のミステリ映画だが、純粋なミステリではなく、推理小説の有名な名探偵たち(チャーリー・チャン、サム・スペード、ニック&ノーラ・チャールズ、エルキュール・ポワロ、ミス・マープル)のパロディが嵐の山荘に招かれ、殺人事件の推理合戦をするというコメディ。出演はピーター・セラーズ、ピーター・フォーク、デヴィッド・ニーヴン、マギー・スミス、ジェームズ・ココ、エルザ・ランチェスター、アレック・ギネス、アイリーン・ブレナン、トルーマン・カポーティ他。盲目の執事ベンスンマム役のギネスが最高におかしい。なんとこの映画にはニール・サイモン作・小鷹信光訳によるノヴェライズ本が存在する(三笠書房刊)。日本でのTV放映時の吹替キャストも最高。音楽はかのデイヴ・グルーシンが担当しているが、ヘンリー・マンシーニ風のオーケストラによるミステリスコアだった。

(2019年1月追加)米Varese Sarabandeレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


パワープレイ   POWER PLAY

作曲:ケン・ソーン
Composed by KEN THORNE

1978年製作のイギリス/カナダ合作映画。監督はマーティン・バーク、出演はピーター・オトゥール、デヴィッド・ヘミングス、バリー・モース、ドナルド・プレザンス他。ヨーロッパの架空の国で起きたクーデターをリアリスティックに描いたポリティカルサスペンスの傑作。クーデターの首謀者たち(ヘミングス、モース)と秘密警察の部長(プレザンス)との虚々実々の駆け引きや、クライマックスで街中を戦車隊が疾走し政府施設を占拠するシーン(カナダ軍全面協力)での冷淡なリアリズムが迫力あり。音楽はケン・ソーンが作曲しているが、非常に緊張感のあるオーケストラによるサスペンス音楽で、オトゥール率いる戦車部隊の野戦演習シーンやクーデターのシーンでのダイナミックなスコアが秀逸。彼のベストスコアの1つだろう。

(2022年8月追加)米Dragon's Domain Recordsレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


オレゴン魂   ROOSTER COGBURN

作曲:ローレンス・ローゼンタール
Composed by LAURENCE ROSENTHAL

ジョン・ウェインがアカデミー主演男優賞を授賞した「勇気ある追跡(True Grit)」の続編で、ここでも当たり役の隻眼の保安官ルースター・コグバーンを演じている。監督はステュアート・ミラー。共演はキャサリン・ヘップバーン、アンソニー・ザーブ、ストロザー・マーティン、リチャード・ジョーダン他。前作の音楽はエルマー・バーンステインだったが、ここではローレンス・ローゼンタールが音楽を担当。豪快で爽やかなウエスタン・スコアで、ローゼンタールのベストの1つだと思う。ドイツのEdelレーベルが1993年に出した「Best of the West」という2枚組のコンピレーションCD(Edel / EDL 2657-2)にウィリアム・モツィング指揮チェコ交響楽団の新録音によるメインタイトルが収録されているが、サントラ音源の演奏の方が断然良い。

(2019年11月追加)米Varese Sarabandeレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


サタンバグ   THE SATAN BUG

作曲:ジェリー・ゴールドスミス
Composed by JERRY GOLDSMITH

強力な細菌兵器の恐怖を描いたアリステア・マクリーンの傑作サスペンス小説「悪魔の兵器」の映画化(1965年製作)。スタッフは原作のマクリーン(イアン・ステュアート名義)に加え、監督ジョン・スタージェス、脚本ジェームズ・クラヴェル、エドワード・アンハルト、撮影ロバート・サーティース、音楽ジェリー・ゴールドスミスと怖いものなしの超一流メンバーだが、キャストがジョージ・マハリス、リチャード・ベイスハート、アン・フランシス、ダナ・アンドリュースとB級メンバーでショボいのが残念(映画としてはなかなか緊張感あり)。ジェリー・ゴールドスミスのスコアは彼が得意とするハイテンションなサスペンス音楽で、これはアルバム化の要望が多い作品。

(2007年6月追加)米Film Score Monthlyレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


(未公開)キャプテン・ブーリーの大冒険   SAVAGE ISLANDS (a.k.a. NATE AND HAYES)

作曲:トレヴァー・ジョーンズ
Composed by TREVOR JONES

指揮:マーカス・ドッズ
Conducted by MARCUS DODS

演奏:ロンドン交響楽団
Performed by the London Symphony Orchestra

1983年製作のアメリカ=ニュージーランド合作映画。監督はフェルディナンド・フェアファクス。出演はトミー・リー・ジョーンズ、マックス・フィップス、マイケル・オキーフ、ジェニー・シーグローヴ他。19世紀末の南海を舞台に正義の海賊“Bully”ヘイズの活躍を描いた冒険活劇。トレヴァー・ジョーンズの音楽は彼が初期に手がけた傑作大冒険活劇シンフォニック・スコアで、「ダーククリスタル」に迫る出来。でも映画はとてつもなくくだらない(だからサントラが出ないんじゃないのか!)。ドイツのEdelレーベルが1994年に出した「Best of Adventure」というコンピレーションCD(Edel / CIN 2216-2)にウィリアム・モツィング指揮プラハ市フィルハーモニー管弦楽団の新録音によるエンドクレジットが収録されていて、この演奏は悪くないが、やはりロンドン・シンフォニー演奏のサントラ音源によるComplete Scoreがほしいところ。

(2010年2月追加)米La-La Landレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


(未公開/TV)ロジャー・ムーア/シャーロック・ホームズ・イン・ニューヨーク   SHERLOCK HOLMES IN NEW YORK

作曲:リチャード・ロドニー・ベネット
Composed by RICHARD RODNEY BENNETT

指揮:レナード・ローゼンマン
Conducted by LEONARD ROSENMAN

ロジャー・ムーアがシャーロック・ホームズを演じた作品(1976年製作)。監督はボリス・セイガル。共演はパトリック・マクニー(ドクター・ワトソン役)、ジョン・ヒューストン(モリアーティ教授役)、シャーロット・ランプリング(アイリーン・アドラー役)他。ホームズとワトソンがニューヨークに渡り、アドラーの危機を救うとともに、世界中の金塊を盗もうとするモリアーティ教授の企てを阻止するというストーリーで、どちらかというと出演俳優たちの魅力で見せる映画だった。イギリスのベテラン、リチャード・ロドニー・ベネット作曲の音楽もホームズ映画にふさわしい英国調のオーケストラルスコアで、ジョン・アディスン作曲の「シャーロック・ホームズの素敵な挑戦」等と並ぶ傑作。なぜかアメリカ人のレナード・ローゼンマンがオーケストラの指揮を担当している(ちゃんとオープニングのクレジットに出る)。

(2006年10月追加)米Intradaレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


(未公開/TV)白い渡り鳥   THE SNOW GOOSE

作曲:カール・デイヴィス
Composed by CARL DAVIS

「ポセイドン・アドベンチャー」等のポール・ギャリコの原作を基にした1971年製作のTV映画。監督はパトリック・ガーランド、出演はジェニー・アガター、リチャード・ハリス他。音楽は実に情感豊かでリッチなシンフォニックスコアでカール・デイヴィスのベスト作の1つ。米DRGレーベルが出した「CARL DAVIS: MUSIC FOR TELEVISION」というLP(デイヴィス指揮ロイヤル・フィル)にこのスコアの一部の新録音が収録されていて、これだけでも素晴らしい。尚、このLPにはデイヴィス作曲の以下の作品が収録されているが、どれも傑作。

The Snow Goose (未公開/TV)白い渡り鳥
Our Mutual Friend (未公開)われらが友
Wuthering Heights (未公開)嵐ヶ丘
The Mayor of Casterbridge (未公開)
Marie Curie (未公開)キューリー夫人
The Long Search (未公開)

ついでに書いておくと、イギリスのEMIレーベルより出ていた「THE COMMANDING SEA」というデイヴィスのコンピレーションLPも素晴らしい。これには以下の作品が収録されている。

The Commanding Sea (未公開)
Fair Stood the Wind for France (未公開)
Oppenheimer (未公開)オッペンハイマー
The Old Curiosity Shop (未公開)

せめてこれらのコンピレーションLPをそのままCD化してほしいものである。

(2010年11月追加)「CARL'S WAR」(英Carl Davis Collection / CDC009)に「Rhapsody on Themes from The Snow Goose」を収録

↑Top


テレフォン   TELEFON

作曲:ラロ・シフリン
Composed by LALO SCHIFRIN

「合衆国最後の日」「ダイ・ハード2」等のウォルター・ウエイジャーの原作を、「カプリコン・1」等のピーター・ハイアムズと「ポセイドン・アドベンチャー」等のスターリング・シリファントが脚色し、「ダーティハリー」のドン・シーゲルが監督したスパイアクション映画の傑作(当初はハイアムズが監督する予定だった)。出演はチャールズ・ブロンソン、リー・レミック、ドナルド・プレザンス、タイン・デイリー他。あるキーワードによって覚醒し、破壊活動を実行するスリーパー・スパイたちと、彼らを阻止するために協力することになったKGBとCIAのスパイを描いた極めてインテリジェントなサスペンス映画だった。ラロ・シフリンの音楽も彼のオーケストラルスコア中では最も緊張感のあるサスペンスアクション音楽。

(2011年3月追加)米Film Score Monthlyレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


勝利への脱出   VICTORY (ESCAPE TO VICTORY)

作曲:ビル・コンティ
Composed by BILL CONTI

ジョン・ヒューストン監督が1981年に製作した戦争アクション。出演はマイケル・ケイン、シルヴェスター・スタローン、マックス・フォン・シドー他。第二次大戦中にドイツ軍の捕虜となった連合軍兵士たちがサッカーの試合のどさくさにまぎれて脱走を図るという荒唐無稽なストーリーで、サッカー選手のペレが役者として出演している。「ロンゲスト・ヤード」と「大脱走」を組み合わせたような映画だが、名匠ヒューストンが監督している割にはいまひとつ盛り上がらない作品だった。音楽はビル・コンティで、冒頭のパワフルなマーチがいかにも彼らしく、とにかく燃えまくるスコア。これもアルバム化の要望が多い。

(2006年1月追加)ベルギーPrometheusレーベルよりサントラ盤リリース!

↑Top


八点鐘が鳴るとき   WHEN EIGHT BELLS TOLL

作曲:アンジェラ・モーレイ(ウォルター・ストット)
Composed by ANGELA MORLEY (WALTER STOTT)

1971年製作のイギリス映画。アリステア・マクリーンの原作を彼自らが脚色した海洋冒険アクションで、監督はエチエンヌ・ペリエ、出演はアンソニー・ホプキンス、ナタリー・ドロン、ジャック・ホーキンス、ロバート・モーレイ他。マクリーンの原作の映画化としては凡作で、若い頃のホプキンスも全然かっこよくない(彼は「羊たちの沈黙」以前は全く目立たない役者だった)。音楽はイギリスのベテラン作曲家、アンジェラ・モーレイが担当しているが、ここでは性転換する前のウォルター・ストット名でクレジットされている。暗くどんよりとしたタッチのメインテーマがいかにもイギリスの冒険サスペンスという感じで印象的なスコア。

↑Top


「素晴らしき映画音楽作曲家たち」に戻る


Copyright (C) 2001 - 2022  Hitoshi Sakagami.  All Rights Reserved.